というわけで、新作ひぐらしアニメ完結しました~。DVD情報から残り3話と推察してましたが、まさかの4話構成! 内容もジャンプかこれ?ってほどの少年漫画的超展開。いろいろ思うところがありますが、振り返ってみましょう。
神楽し編の流れ
羽入視点を含めた猫騙し編の解答とその続きといったところでした。最後は羽入vsエウア、梨花vs沙都子のバトルとなり、梨花vs沙都子はドロー、エウアvs羽入は羽入が勝ってエウアは退場。梨花と沙都子はループ前の雛見沢に。そこで一旦休戦と仲直り。また過去に飛んでルチーア入学のため雛見沢を去る梨花を見送る沙都子。再会を約束してサヨウナラ。沙都子は雛見沢で鉄平、詩音、そしてまもなく再会するであろうサトシとの楽しげな生活を予期させるハッピーエンド。羽入も健在でよかったよかった。
うん、とても分かりづらいので深堀りしていきます。
鬼狩柳桜の行方
卒で明らかになったように、エウアと沙都子は羽入の世界を眺めることができる=羽入梨花の戦略は筒抜けだったわけです。繰り返す者を殺す剣、鬼狩柳桜(おにがりのりゅうおう)も沙都子が先んじてたからこそなかったのですね。ただ沙都子が手に入れる際に破損させてしまい、一欠片残ったことが後々響くことに。
猫騙し編ラストの続き
猫騙し編ラストのビックリ箱のトラップ――といっても梨花が意図的に仕掛けたわけではありませんでしたが――によって沙都子が黒幕だと明らかになりました。神楽し編はその続き、「繰り返す者」であるとバレて梨花に銃を突きつけた後が描かれました。沙都子は突き抜けた銃をそのままぶっ放しで梨花を殺し、即座に自分も後追い、狼狽する部活メンバーそっちのけで次のループに飛びました。
綿騙し以降死ぬ直前の記憶継承がバッチリな梨花は沙都子が黒幕だと確信しますが、考えをまとめる暇もなく、ループ後即殺害という、いわばリスキルを食らい続けることになります。沙都子としては、正体がバレてしまい上手に立ち回ることができなくなったので、真正面から力押しで心を折りに来たというわけですね。
梨花vs沙都子
沙都子の一方的な攻勢に最初は戸惑っていた梨花でしたが、徐々にその熱にあてられたのか感情が昂って反撃に出ます。互いに手持ちの鬼狩柳桜を取り出してジャンプさながらの能力バトルに突入しました。以前から梨花と沙都子の言い合いみたいなことが起こって雨降って地固まる……のようになると予想してましたが、こんな露骨に雨が降るとは……そしてまさかこんな少年漫画的なノリになるとは思いませんでした。
2人の主張は「あなたのためにやってるのに分からず屋~」ということで共通していて、まあ独りよがりなんですよね。これは原作ひぐらしの到達点である「ちゃんと仲間と相談しようよ」という教訓に背いた典型的なやらかし悲劇だったわけです。
能力バトルに呼応して鬼狩柳桜は1つとなり、戦いはその剣をめぐる戦いへと移っていきます。これこそ1話の”宝探し”の伏線だったのでしょうね。勝ったのは梨花。しかし梨花は剣を放り投げ、ただ沙都子を殴るだけ。それもそのはず。2人とも互いが大好きで本当にこの世から消し去るつもりはありませんから。凶器を使用した高度なじゃれあいだったわけですから。力で相手の言うことを聞かせることはできないってことですね。
羽入vsエウア
梨花に記憶継承の能力を与えたあとの羽入は消えたのではなく、移動していただけでした。向かったのは繰り返し者を生み出したエウアのいる世界。そこでエウアと対峙するわけですが、力の差は明らかでまるで相手にならない。それでも奇跡奇跡と繰り返し唱えていたら、梨花が放り投げた鬼狩柳桜が現れるという奇跡が本当に起こり、それを手にエウアに一撃を加えます。角に傷を負ったエウアは羽入のように幼体化し、満足したからと自ら退場したのでした。
ポイントは、エウアは本当にただ観劇しに来ただけってのと、角に傷を受けて幼体化したってことですね。エウアは舞台装置的役割に終始しましたね。今作の事件を作り上げるきっかけでありましたし、魔女を生み出す元凶であることや、角の傷を受けると幼体化するという実例も示しました。
あらためて語られてましたが、羽入は実の娘に鬼狩柳桜で殺してもらい封印されたという過去があります。その際に角に傷を受けて幼体化したという裏設定のようなものがありました。それが公式で明らかにされたのは意味あることだったと思います。
羽入はエンディングで健在だったことから、”消える”というのはただ梨花の前から姿を消すという意味だったのでしょう。梨花が雛見沢に縛られる原因のひとつとして羽入の存在があったでしょうから、羽入のほうから縁切りをしてあげたということになります。これもまた卒業ということなのでしょうね。
ループ後の世界
激闘の末、梨花と沙都子はループ前の姿に戻っていました。圭一たちもあの時と同じ格好でしたし何より魅音が運転していたことからも、あの時に戻ったことは間違いないかと。険悪なムードの2人を見て車中では親友についての話に。一時の別れは別れではないと。親友だと信じ続けていれば会ってなくても親友だと。こんな感じで前向きの別れを押しだ感じの話でした。それを聞いた梨花と沙都子は顔こそ背けていたものの、手を重ねていたことから、心の底のほうでは通じている=仲直りという演出だったのではないかと思います。
新たな世界で
そして1987年3月!そう、またループしているのです。あの後また死んじゃったのか、魔女の力でどうにかしたのか。いずれにせよ沙都子がルチーアに進学しないという世界が最終的な到達点でした。
そして別れの時ですよ。新幹線に乗り込む梨花に、沙都子はまだ不服な様子で、さぁここで真の仲直り!爽やかな別れ!と思っていたら、2人とも赤目になって、
「わたしたち繰り返す者は……」
え!?と思いましたね~。要は私たちは特別だからまた会えるよってことでした。先の車内の話の流れを汲まずに繰り返す者という特殊な宿命を背負った者同士の別れみたいで、正直残念でしたね~。
沙都子は雛見沢で白くなった鉄平、詩音、そしてまもなく再会するであろうサトシとの楽しげな生活を予期させるハッピーエンド……かと思いきや再び赤目になり
「そろそろ追いかけますよ梨花…」
「北条沙都子、あんたにあんたを返す……」
そして毒気が抜けたように純白な笑顔の沙都子が帰ってくる。
その光景を眺める笑顔の羽入……という終わり方。
時系列
ここで作品全体としてどういう流れだったか再度振り返ってみます。
→原作祭囃し
→梨花沙都子ルチーア進学
→校風に馴染めないことや梨花がそっけないことで沙都子がグレる
→雛見沢での同窓会のあとエウアとの邂逅
→沙都子が繰り返す者となり梨花がルチーアに進まない世界線を探求
→梨花を苦しめる過程で沙都子の中で魔女誕生
→引き分け
→ループして再度梨花はルチーア進学し沙都子は雛見沢(興宮?)に留まる
→沙都子の中の魔女が再度惨劇を企てようとするが気が変わって沙都子の身体からおさらば
感想
2クール、1クールあけてまた1クールと、丸1年追ってたわけです。長丁場でしたね。毎週追う楽しさ、考察する楽しさ。それを共有する楽しさがありました。作品全体としての評価はおいておいて満足感は十分あります。
本作は業、卒という副題からも明らかなように卒業がテーマだったと思います。雛見沢から巣立ちはしたものの、精神的には縛られていて、それを克服して真に雛見沢から卒業するという筋書きを沙都子にフォーカスして描いたものだと思っていました。しかしその舞台装置としてうみねこ要素を組み入れた結果、整合性を意識するあまりドラマ性が薄れてしまったように思われます。特に卒は全体的に駆け足で尺不足な感じでしたから、魔女設定は重荷になったなぁと。具体的には最後の梨花と沙都子の別れのシーンなんかは、今作最後のカタルシスが味わえる最高のポイントのはずで「じゃあながんばれよ」的なやつでよかったのに、「私たち繰り返す者は……」と説明口調が挟まってガーンときました。卒業って……人間からの卒業のほう!? 沙都子の態度は最後までスッキリとしないもので、社会の荒波を知ったということも1つの成長と呼べるかもしれませんが、明確に、はっきりとした成長の姿というのがなかったのがとても残念でした。一応、鉄平が白くなっていたので、洗濯活動を頑張ったということを間接的に描いていた……と深読みすることはできなくもないですが……。本作のMVPは鉄平です。
エウアが出始めの頃にも書いたと思いますが、魔女とかそういうのは裏設定で良くて、ひぐらしのみで完結して欲しかったな~と。匂わせを超えて真正面からうみねこ要素をぶちこんできたことに正直驚きましたね。本作はひぐらし続編というより、うみねこエピソードゼロという感じの着地になったと思います。
やってくれたな。やっちゃったな。
梨花や沙都子が雛見沢に対するのと同じような程よい距離感でこれからも「なく頃にシリーズ」を見守っていきたいと思いました。(^O^)/
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