幻想水滸伝のクリエイターの新作前日譚はライトなメトロイドヴァニア『百英雄伝 Rising』の感想

3.5
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薄味だったけれども、本編に期待は持てる。

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『百英雄伝』前日譚

作品名百英雄伝 Rising(ひゃくえいゆうでんライジング)
開発Natsume Atari
リリース日2022年5月11日
ジャンルメトロイドヴァニア
価格1,580円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam、Epic、Windows)、Switch
XboxONE/X/S(ゲームパス対応)、PS4、PS5
日本語完全対応
インストールサイズ4.38GB
プレイ時間約15時間半(スタンプ全コンプリート)

百英雄伝 Rising』は、2024年4月リリース予定の『幻想水滸伝』のクリエイターによる新作『百英雄伝』の前日譚として、2022年5月にリリースされました。本作では『百英雄伝』本編に登場する予定のキャラクターが一部登場し、世界観を事前に知ることができるだけでなく、リンク要素も存在し、事前にプレイしておくことで、本編プレイ時に「ちょっとした特典が得られるかもしれません」とのことです。1

典型的なメトロイドヴァニアを思わせるマップ

ジャンルはメトロイドヴァニア:『百英雄伝』本編がコマンドバトルRPGなのに対し、本作はメトロイドヴァニア風のアクションRPGとなっています。メトロイドヴァニアとは、『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラ』風につくられた2Dマップ探索アクションゲームを指します。

ざっくりとしたストーリー:キーアイテムはレンズ。これが幻想水滸伝でいうところの紋章に相当する代物で、このレンズを用いることで魔法が扱えるようになり、これを求めて人々は狂喜乱舞するのですが、当然悪用する人も出てきて…というお約束展開。

舞台はそのレンズが発掘できると評判の古代遺跡近くの村。主人公CJは、上等なレンズを求めるスカベンジャー(遺跡漁り)の一族であり、代々伝わる「成人の儀」を成し遂げるために村にやってきました。そんな彼女とレンズ需要を村の発展に結びつけたい村の人々との交流を描きながら、物語は次第にレンズを巡る陰謀に近づいていくことになります。

プレイ時間:特につまづくところもなく、約14時間(実時間)でクリアし、そこから全スタンプ(サブクエスト)コンプリートするために約1時間半かかり、総プレイ時間は約15時間半でした。

クリアした後には、強力なアクセサリーが解禁され、それを活かすための難易度ハードモードが追加されます。

ちなみに交換屋の「獲得スタンプ数」は、条件を満たすことで無料でもらえる。交換だと思って最後まで渋っていた…。

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ゲームの流れ

ゲームシステムはライトなメトロイドヴァニアに村発展お使いゲームを組み合わせたもので、基本的には以下の流れを繰り返します。

  • 村人から依頼を受ける
  • ダンジョンを攻略する
  • 報酬+村発展

依頼を受ける:依頼にはメインクエストとサブクエストがあり、メインクエストは連続したストーリーを進めるもので、サブクエストはザ・お使いゲーといった感じの独立した単発の依頼です。

ダンジョンを攻略する:軽いアクションで攻略できるダンジョンは小部屋で区切られていて、特にギミックもなく、敵も平均的な動きばかり。難易度はかなり易しめ。

ボス戦も。

報酬+村発展:村に帰還して依頼を完了すると、報酬としてお金と経験値を得るだけでなく、村の発展にも貢献します。村の発展によって新たな施設が建築または増築され、人もどんどん増えていきます。

依頼を完了すればするほど活気づいていく村。

通れない壁

さらに、その発展した村で装備品をアップグレードすることで、アクションの幅が広がり、通れなかった障害物を乗り越えられるようになり、探索がより捗るようになります。

──こんな流れで、村人の要求を聞くことで村を発展させ、発展した村でより強い装備を手に入れて、どんどん先に進もう!といった感じのゲームですね。

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感想:気軽にプレイできるメトロイドヴァニア

スタンプ=お使い

全体的な評価:独立した作品として評価すると正直微妙ですね。ノーストレスで気軽にプレイできる反面、ストーリーもゲーム性も内容が薄く、非常に淡白に感じられました。描かれるドラマや道中にやりがいを感じられれば、お使いゲーでも問題ないと思うのですが、本作の場合は、徹底的に中身のないお使いばかりで、そのあまりのスカスカさとその分量には逆に感心する程でした。

まったくつまらないわけではないものの、プレイする価値があるかどうかは際どいところです。それでも、世界観の予習のための体験版としては一定の参考になり、本編には大いに期待を持てるなぁと感じられた作品でもありました。

古き良きJRPG的キャラクター像:『百英雄伝』がどのようなストーリーになるかはわかりませんが、固有グラフィック+フルボイスという事前情報から、キャラの魅力を全面に出した作品になることに間違いないでしょう。問題はそのキャラのノリや空気感についていけるかというところで、どんなものかと注目していましたが、概ね期待通りの良い印象でした。

全体的にほのぼのとした気楽なノリながらも、シリアス展開になると真摯に向かい合う姿勢を見せ、闇堕ちすることもなく、良くも悪くも予定調和感のある古き良きJRPGのキャラクターでした。最初はなんとも思わなかった掛け合いも、何回も見ているうちに徐々にクセになり、もう終わりとなった時はちょっと寂しさすら感じる程でした。

最後には本編で描かれるであろう裏事情も明らかになり、メインキャラクターたちの行く末はぜひとも本編で確認してみたいですねー。

主人公の特性:ダッシュ回避

低い難易度とユーザーフレンドリーな仕様:アクションゲームとしてはかなり難易度が低いです。ダンジョンにはギミックがなく、敵のHPは低く、動きも素直で見破りやすいです。被弾してもHPポーションが用意されており、それもゲームを通して1度か2度くらいしか使用しなかったと思います。そもそも装備が強力すぎて、被弾ダメージが痛くないからです。

セーブポイントもこまめに配置されていて、1度到達したらファストトラベルで帰還も再訪も楽々。クエストは依頼元と目的地がはっきりと示され、迷うことなく進められます。

こんな気配りがある足場アクションは初めて

細かい仕様では、主人公操作時にギリギリ足場に届かなかった場合に、ツルハシっぽい武器を使用してヒョイ!と乗り越えてくれるのが嬉しかったですね。狭い足場でのアクションが多いのに、落下によるストレスが一切ありませんでした。

また、リンク攻撃というキャラクターを瞬時に切り替えて連続コンボを決められるシステムがあり、これを発動すると、広範囲の攻撃を行い、なおかつ敵の動きがスローになるという効果まで付与されていて、困ったら一掃できる無敵技として超爽快でした。

キャラクターの切り替えは、周囲の状況に応じて「移動速度の速い万能タイプ」、「装甲を破りやすいパワータイプ」、「バリアを破れるマジックタイプ」と使い分けることを意図されています。しかし、一部の敵を除いては万能タイプで事足りることが多く、それぞれの特性を生かす必要性はあまり感じれれませんでした。なんかもう全員強すぎてサクサク攻略できてしまうため、より時短が捗る足が速い万能タイプでいいよね──というヌルゲーゆえの選択。

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低難易度設定について思うこと:あくまでも本編の前日譚として、最も重要な情報はエンディング前後に公開されます。したがって、「まずはエンディングを見てくれ!」ってことなんでしょうね。アクションゲーム的なやりごたえは、クリア後のハードモードで補足するとして、「クリア前提」いやむしろ「クリアしてくれ!」というデザイナーの思いが伝わってくる作品でした。

個人的には、この低い難易度は物足りなさを感じざるを得ませんでしたが、ありがたくもありました。ストレスなしで新作の雰囲気を味わえるのは素晴らしい体験です。あと最近難しいゲームばかりをプレイしていたので、たまにはこういうのもいいな、と気分転換にもなりました。

ストーリーが盛り上がるのは終盤:本編前の前日譚といっても、大部分は「なんとなく不思議だなぁ~」といった感じにマップ探索を重ねていくというもので、中心的に描かれているのはストーリーというより、村発展お使いゲーム中のドタバタコメディでした。

なんかイマイチ盛り上がらないな~と思っていたら、終盤にかけて本編に直接繋がりそうな重要な固有名詞がポンポン登場し、雰囲気が一変。帝国や諸国連合といった組織の陰謀や、一部キャラクターの謎が次々に明らかになり、主人公たちに冒険する意味が生まれました。幻想水滸伝を彷彿とさせるスケールの大きさを感じさせ、いよいよ面白くなりそうだな、となってきたところで前日譚は終了。いやはや、なんだかんだ本編への興味は一段と増しました。

総評:本編に期待は持てるけど本作自体は薄味

本編で使いたいなぁ

総合すると、1本の作品としては不足を感じるけども、ライトに遊べるのは良かったですね。バグもなかったし、ビジュアルも綺麗。ストーリーやキャラクターは本編にも期待を持てる出来。ゲームパス対応で、Steamではセールで500円を切る作品だし、値段相応と言えるかも。

ガルディア帝国、諸国連合、ヒュースバインといった名は覚えておこうかな。あと公開されている情報を見ると、本作の主人公が本編の主人公ではなさそうなんですよね。とはいえ、持っている武器は似ていて、何らかの関係性はあるかも? CJたちに会えるのはいつになるのか…それも本編の楽しみ。

  1. 百英雄伝公式サイト ↩︎

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