良い面も悪い面も受け止めて。幻想水滸伝の精神的続編『百英雄伝』60時間プレイしての感想

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幻想水滸伝プレイ済み、百英雄伝Rising(前日譚)プレイ済み

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幻想水滸伝のクリエイターによる新作RPG

作品名百英雄伝(ひゃくえいゆうでん)
開発Rabbit & Bear Studios
リリース日2024年4月23日
ジャンルJRPG、ターン制コマンドバトル
価格5,680円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam、Epic、Windows、GOG)
Xbox、PS5|PS4、Switch
日本語完全対応
インストールサイズ25.11GB
プレイ時間約60時間

幻想水滸伝1~3のディレクション、ゲームデザイン、シナリオを担当した村山吉隆氏が設立したRabbit & Bear Studiosによる完全新作RPG。100人を超える仲間を集めて大軍を編成するという幻想水滸伝シリーズのコンセプトを引き継いでいます。

2020年の企画発表から、キックスターター(約5億の資金調達!)を経て、ついに今年リリースされました。

本作でもゲームデザインとシナリオを担当した村山氏が、今年2月に多臓器不全のために急逝したことは、本当に驚きましたし残念でなりません。1

プレイ時間:シナリオクリアまで約50時間、それからクリア後データで約10時間、合計約60時間。ストーリー以外のコンテンツをどれだけやり込むかで変動すると思いますが、仲間コンプリートのためのコンテンツはすべてやりました。

Risingをプレイするべきか?:『百英雄伝Rising』という2年前にリリースされた前日譚があります。本編とは違ってメトロイドヴァニア(がっつりアクション)のお使いゲーで、「CJ」「イーシャ」「ガルー」の3人のトリオ芸を楽しみつつ、最後の方にちょこっと本編のヒントがあります。

本編にも登場する3人のバックボーンを知る上ではプレイした方がいいですが、本筋に大きく関わってくるわけでもないので、3人に興味がなければスルーしてもいい作品かなと思います。ちなみにRising全クリアまで15時間でした。

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感想:絶賛はできないけど悪くもない

Steamでは「やや好評(78%)」、メタスコアでは80を切っていて、及第点か、やや下くらいってのが現時点での世間の評価です。

これについては、まあそうだろうなと。

正直、現時点では手放しでオススメはできないですね…。

マイナス評価の方向性が「クリアしたけどなんとも思わなかった」ではなく、「そもそもクリアしたくない」気持ちになるタイプの、なんとも悩みが深い作品。

個人的には、全否定するほど悪い作品だとは思いません。

悪いは悪い。でも、良い点があるのも事実。この記事では、両者を別々に評価し、バランスよく提示することを目指しました。

良かった点
良くなかった点
  • ビジュアル全般
  • 演出
  • JRPG的なキャラクター
  • 多彩なミニゲーム
  • ストーリー
  • システム全般
  • セーブポイントの配置
  • 難易度設計が微妙
  • 戦争パートの戦略性
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良かった点

  • ビジュアル面で大きく進化
  • 個性的なキャラクターたち
  • 多彩なゲーム性
  • ストーリーはまあまあ

ビジュアル面で大きく進化

スケール感と光の陰影がすげー

レトロ感あるドット絵と奥行きのある背景が見事に調和し、2Dでは感じにくかったスケール感や世界の広がりをより鮮明に感じられます。

町の雰囲気やデザイン、繊細な小道具の描写は、まさにJRPGらしいこだわり。

また、ビジュアルを生かした演出も素晴らしく、一騎打ちシーンのスピード感にはハラハラしたし、ただの会話だけの町イベントでも、キャラの動きやカメラワークに工夫が見られ、没入して楽しめました。

そして、幻想水滸伝シリーズでお馴染みの拠点育成要素も安定の面白さでしたね。発展していくにつれ賑わっていく様子は、城というより街づくりゲームのようで華やかでした。ややマップが広すぎるようにも感じられましたが、拠点内ファストトラベル機能もあるので安心。

城レベルが上がると外観が一新されるだけでなく、拠点BGMもスケール感を増していくのが好きでした。成長を実感すると同時に気が引き締まるような気持ちにもなりました。

100人を超えるキャラクター数

やっぱり特筆すべきはキャラクターが100人以上登場することですね。戦闘に参加しないキャラもいますが、それでも膨大な作業量だと思います。しかもキャラクター全員ボイス付きという。

キャラクターたちは際立って個性的ってわけでもないですが、言い回しやリアクションが面白く、生き生きと描かれていました。こうしたキャラクターの魅力こそがJRPGの醍醐味だと思います。似たような洋ゲーよりずっと身近で馴染みやすく、感情移入もしやすいです。

多彩なミニゲーム

釣り、演劇、ベーゴマ対決、カードバトル、料理対決、演劇、レースなど、様々なミニゲームが用意されています。

ビジュアルのクオリティは高いものの、ゲーム性はそこまでかなぁ?というのが正直な感想。それでも本編中の気分転換に役立ちました。

個人的に気に入ったのは演劇とカードゲーム。

演劇では、どの台本や配役でも全員にボイスがあり、それもキャラによって言い回しに変化があるのがすごいなと。棒っぽい演技や、逆に熱すぎるオーバーな演技など、「演技を演じる」声優さんたちの演技力の高さにも感心。

カードゲームは戦略性は低かったものの、パックを開封してデッキを組んで勝てば報酬という構造はめっちゃ好き。キラカードがちゃんと強いのも良き。

全体的に、ちょっとしたミニゲームにしてはあまりにもビジュアルが素晴らしすぎて、それを活かすゲーム性がないのが非常にもったいないなと。「まだまだ良くなりそうだけど空虚」ってのが現時点での感想。

ストーリーについて

幻想水滸伝といえばストーリー。本作に関してはまあまあという印象。悪くはないけれども、十分とは言えず、1と2には及ばなかったなと。

全体的に過去作のリブートのような内容で、既視感のある展開が多かったことが一因です。友情、裏切り、和解、団結など、定番の要素はあるものの、広く浅くという感じで本作独自のオリジナリティを感じることができませんでした。

セイとのエピソードもその一例。導入は非常に丁寧で、「あぁ友情の物語なんだな」と期待させますが、中盤あたりであっさりと決着が着き、その後はスーッと存在感が薄くなっていきました。ジャケット絵にいるもう1人の少女メリサについても、たまたまフォーカスされた仲間の1人に過ぎませんでした。

そんなストーリーで特に印象に残ったのは、黒幕の存在。よくある逆転物でありながら、典型的なやられ役ではなく、最後まで手強い存在として君臨し続けました。悪役として100点。それだけに最後はやや呆気ない…。なぜこれだけ手段を選ばない男になったのか、動機や内面についての深堀りがもう少し欲しかったですね。

Risingとの関係:より詳しい事情が明らかになったものの、根本的な解決の糸口が見いだせなかったことは残念です。追加DLC(3つリリースされる予定)でこれらの点が補完される可能性がありますが、現時点では不明です。

それでも、知っているメンツが登場した時の喜びは大きかったですね。Risingではなかったボイスもほぼイメージ通り。ガルーの子も登場し、ガルーの子煩悩ぶりが大いに見られたのも微笑ましかったです。

良くなかった点

  • システムが壊滅的
  • セーブポイントの配置位置
  • 難易度設計が微妙
  • 戦争パートの戦略性が皆無

これが元凶:システムが壊滅的

自動戦闘設定も痒いところに手が届かない仕様

今回PC版でプレイしたのですが、起動してまず衝撃的だったのがキーコンフィグがなかったこと。

しかも初期キーコンフィグが

  • メニュー(T)
  • メニュー切り替え(O)
  • マップ(R)

というPCゲームでは馴染みのない配置で、まるで意味がわからない。でもまあ、これはコントローラーや外部ツールの使用などで対応できることです。

ラグについて

問題はUI全般の動作が著しく遅いこと。メニューを開いたり、ページを切り替えたりする際にわずかなラグがあります。このラグはキーの予約受付もない本当にただの遅延であり、オプションメニューだけでなく画面が切り替わるあらゆるタイミングで発生します。

特に気になったのは戦闘時です。敵のHPが0になってから消滅するまで若干のラグがあるのは奇妙としか。ケンシロウ状態。ターン開始前の微妙な遅延も気になりました。

このUIクオリティには本当に愕然としましたね~。コマンドバトルRPGというジャンルで、これほどまでに遅くてプレイしにくいUIは初めてでした。さすがに50時間もプレイする頃には慣れましたが、50時間以上もプレイする大作ゲーにしては、なんともお粗末な、もったいない仕様ですね。

セーブポイントの配置

拠点のセーブポイントも微妙に距離がある…

他にもUI関連で気になるポイントがいくつかありますが、その中でもあえて挙げるならセーブポイントの配置です。

基本的にセーブは宿屋で行いますが、本作は街がかなり広くなったため、宿屋まで到達するのに時間がかかります。加えて、イベントは宿屋から離れた場所で進行することが多く、そうなると「次のイベント先<近くのセーブポイント」という状況が起こりがちです。

これにより、

  • セーブしたいけど遠いから後回し
  • イベント進める
  • セーブ遠いから後回し
  • イベント進める

というサイクルに陥り、中断するタイミングに困ることがありました。まあ、これは面倒くさがりの自分の責任であるとはいえ、イベント間の道中にセーブポイントがないのは不親切だなと。

イベントもフルボイスになったためか、非常に長いんですよ。見応えがあって良いことですが、連続するとさすがに疲れます。本作全体の傾向として、合間を開けずに長いイベントが続くというケースが多く、ダイジェスト的というか、緩急がなさすぎるようにも感じられました。一段落つく暇がないというか。

面白いは面白いのだけど、休憩したいと思っても、気を抜くとすぐにイベントが始まり、「あぁ時間かかる」「しかも連戦だ…」みたいな。これで30~40分ですからね。

難易度設計が微妙

遺跡ボス…泣けるほど強い

個人的に本作をオススメしにくいのは、システムの劣悪さ以上に難易度が大きな理由です。

特に序盤の難易度が異常。雑魚との1戦1戦が他のゲームでいうイベントバトルのような重みがあり、ボス戦に至ってはレイドバトルのようでした。わりと序盤で戦う遺跡ボスは特に厳しく、その時点で手に入る回復薬の倍ダメージが毎ターン飛んでくる状況はバグかと思うほど。

標準のエンカウント率が低いため、レベル上げやお金稼ぎもままならず、装備の更新や回復薬の調達も難航。いやーしんどい。過去作のノリでカジュアル難易度だと思っていたので度肝を抜かれました。

これはおそらくダメージ計算式が単純で、ステータスによる影響が如実に表れているからだと思います。同じレベルでも100近い数値差があることが珍しくないですし。

算出される数字が素直に表れすぎるため、HPの低い序盤は致命的になりやすいのでしょう。ピーキーというか…。もうちょっとマイルドな補正があれば良かったのに…と思います。

中盤以降はHPが伸びてくるため、相対的に難易度は下がります。防御力特化のキャラクターだと被ダメージをほぼゼロに抑えることも容易です。…ということからして、序盤の高難易度は意図したものではなく、バランス調整の甘さによるものであることがうかがえます。

バランスほぼノータッチ?:全体的に、UIの出来やミニゲームも含めて、バランス調整に振り向ける開発リソースを軽視していたか、あるいは間に合わなかったか、そんな感じがしました。ボスの登場ムービーやギミックなど数値以外の部分は本当に良く出来ているだけに残念ですね。

戦争パートの戦略性はほぼ皆無

剣がぶつかるガチャガチャ音と魔法がビュンビュン飛び交う戦場の雰囲気はFEZっぽい

個人的に幻想水滸伝シリーズで好きだったのは、大軍同士の衝突が楽しめる戦争パート。これをさらに発展させれば、面白いだろうな~とずっと思ってました。

で、本作。見た目がトータルウォーシリーズのようで期待が高まりましたが、単純にまっすぐ進んで特性を発動させるだけであり、戦略性はほぼ皆無でした。迫力はあるものの、もっと戦略的な、あるいはもっとキャラゲー感を押し出したゲーム性が欲しかったです。

総合:ガワはいいけど調整不足

シリーズファンには懐かしさも感じられる内容で、そこそこ楽しめると思います。自分もまさにそうで、う~んと思いながらも最終的には60時間もプレイしてしまいました。

ただ、完成度の低さは否めないかな、というのが正直な感想。見た目は良いですが、調整不足の印象を持ちました。UIは使いにくく、ストーリー間の休憩ポイントの配置や導線が不親切。戦闘やミニゲームのバランスもおかしい。

小手先のパッチでは解決できないほどのスケールの調整が必要だと思われます。逆に言うと、それだけ良くなる余地を考えられる程度には、良い要素は揃っているということでもあります。かなり困難な道でしょうが、今後の改善や新たな展開に期待しています。

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  1. 皆様へ大切なお知らせ ↩︎

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