作品名 | Neon White(ネオン・ホワイト) |
開発 | Angel Matrix |
リリース日 | 2022年6月17日 |
ジャンル | FPSアクション、3Dプラットフォーム、パルクール |
価格 | 3,250円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/Windows) Switch/Xbox One/Series X|S PS4|PS5 |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約5.33GB |
Steam評価 | 圧倒的に好評(98%) |
プレイ時間 | 約11時間(ストーリークリア) |
- Qどんなゲーム?
- A
パルクールみたいに走ったり跳んだりする一人称視点のアクションゲーム
ストーリー:記憶をなくした死後の世界で…

──死後の世界。ここは天国……なのか?
目を覚ました主人公を待っていたのは、天国を支配する「信奉者」たちでした。彼らは神の代弁者を自称し、主人公たち罪人が救われるためには、天国へ侵入してくるデーモンを討伐しなければならないと告げます。
逃亡を防ぐため、主人公たちはマスクをつけられ「ネオン」と呼ばれることに。主人公の名は「ネオンホワイト」。自らの運命を知る間もなく、生存をかけた戦いが始まる!
ゲームの流れとシステム

本作は、ステージ制のアクションパートとストーリーパートを交互に繰り返しながら進行します。
ストーリーパートは、ほかのネオンたちとの掛け合いがメインで、主人公の生前の記憶や天国の謎に迫っていく内容。アニメ的な軽快なノリが特徴的で、会話のテンポも◎。
親友、ライバル、地雷系、クールビューティなど、個性的なキャラがそろっており、英語ながらフルボイス(日本語字幕付き)付きで迫力があります。
アクションパートは、「パルクール」のように高所から高所へ飛び移りながら、「すべての敵を倒しつつゴールを目指す」ステージ制のアクションゲーム。
「パルクール」と聞くと、スポーティな、激しいアクションを想像するかもしれませんが、本作の動きは意外にもゆったりしています。ジャンプもふんわりとした挙動で、着地もしやすく、動体視力や精密な操作を要求される場面は少なめ。誰でも挑戦しやすい難易度になっています。
カードシステムと瞬間的な判断力

最大の特徴は、「ゴールするまでにすべての敵を倒さなければならない」という点です。
武器は初期装備のカタナ以外は道中で「カード」として入手します。このカードは武器攻撃(通常使用)だけでなく、「破棄」することで特別なアクションを発動することができます。

たとえば、ハンドガンは通常攻撃では単発の低威力銃ですが、「破棄」すると「追加ジャンプ」が発動し、2段ジャンプが可能に。これを活用することで、より高所へ移動できるようになります。
「どこで攻撃し、どこで破棄アクションを発動するか」──状況に応じた瞬間的な判断を連続的に行うスピード感あるアクションが本作の醍醐味です。
ステージ構成とやり込み要素
各ステージは地域ごとに10個ずつ用意されており、1ステージのクリア時間は序盤は~30秒、それ以降は約1分程度。短時間でサクサク進められます。
クリアタイムによって、エース、ゴールド、シルバー、ブロンズのランクが設定されており、ストーリークリアのためにはゴールドランクは取りたいところ。
──難しそう。
と思った方もいるかもしれませんが、ご安心を。最短距離を突き詰めなくても、カードの使用タイミングさえ間違えなければゴールドランクは余裕で取れます。

ゴールドランクを取るとショートカットのヒントが開放され、エースランクはそのルートを通るだけで簡単に取得できます。正解ルートを走るだけでよくて、上のランクはショートカットを通るだけですから、難易度は相当寛容と言えます。
また、オンラインランキングで世界中のプレイヤーとタイムを競えるほか、ステージ内のプレゼントアイテムを集めることでキャラクターごとの個別イベントが進行。やり込み要素も十分です。
感想:丁寧につくられた超良作

良かった点はいくつもありますが、何よりもまず「酔わなかった」ことが自分にとって大きなトピックですね。
以前にパルクール系ゲームをプレイした際は、激しい動きに酔ってしまって、1時間もまともにプレイできなかった思い出があります。それが本作では約10時間のプレイ中、1度も酔うことなくクリアすることができました。
この「酔わない設計」は、主に以下の2つの要素によるものだと思われます。

1.明るくて見やすい画面設計
他の類似作品では、戦場のように薄暗くしたり、スピード感を強調するためモーションを激しくしたり、とにかく「暗くて派手」な画面になりがち。それが本作では、天国という舞台を活かし、明るく視認性の高い画面作りがされています。派手な演出には欠けるのですが、気持ちよくアクションを楽しめるという点では、こっちの方が優れていると思います。

2.ほどよいスピード感
素の移動速度はレース系にしては遅いくらい。ジャンプも月面にいるかのような、ふわりとしたもので、空中での軌道修正や着地の微調整が簡単にできます。その代わりに、動く足場、加速カード、爆風といった加速ギミックが豊富にある感じです。確かに速い瞬間はあるけれど、マリオカートのキノコ程度のもので、動体視力的にも操作的にも全然カジュアルの範疇といった手応えでした。
アクションというよりパズル的な楽しさ

じゃあ、操作の難易度が低いならやり応えはないのかというと、そんなことはなく。
アクションというよりも、パズル的な面白さに秀でた作品だなと感じました。
「熟練の操作テクニックで突破する」というよりも、「どの順番でカードを使うか」「どの方向へ進むのが正解か」 という選択に重きを置いたゲームデザインになっています。そのため、他のレースゲームでは「正解のルートは分かっているのに、操作が追いつかない」という悩みがつきものですが、本作では正解さえ見つけられれば、精密な操作はあまり求められないバランスになっています。だから言ってしまえば誰にでもクリアできる難易度で、そのカジュアルさがとても気に入りました。
たまにパリィゲーのボス戦を「音ゲーみたい」と表現する人がいますが、それに近いものがありますね。
秀逸なレベルバランス
ステージの難易度設計は秀逸の一言。その象徴とも言えるのがランクです。
クリアタイムによってブロンズ、シルバー、ゴールド、エースの4段階に評価されるのですが、これが単なる「操作スキルの差」ではなく、知識とルート理解によって段階的に上達できるようになっているのです。
- 初回プレイ(ブロンズ)→とりあえず完走を目指す
- ルート把握後(シルバー/ゴールド)→正しいルートをノーミスで走る
- ショートカットルート(エース)→ゴールド獲得後に明かされる近道を走る
- プレゼント回収→隠されたプレゼントを集め、キャラの個別イベントを進行
- タイムアタック→世界中のプレイヤーと競争
こんな感じに、進行度に応じて同じステージを異なる目的で何度も楽しめる仕掛けになっていて、自然にやり込みが進むのと同時に、ランクアップの条件が明確な点が特に素晴らしいと思います。
たとえば、ゴールドを狙っているのに、どれだけノーミスで走ってもシルバー止まりなら、「ルートの見落としがある」とすぐに気付けます。これは「ノーミスならゴールドを取れないはずがない」という基準の明確さからくるステージ設計への信頼感ゆえの気付きです。
ゲームのバランス調整は、作品の完成度を大きく左右するセンシティブな部分ですが、本作はその点を妥協せず非常に丁寧に作り込んでおり、本当に良い作品だなぁと。
息抜きとしてのストーリー
ストーリーは、特別ユニークとも言い難いありきたりな展開でしたが、ほどよく驚きや笑いも散りばめられており、攻略の合間の息抜きとして十分に楽しめました。
肌感ではダンガンロンパシリーズに近いものを感じました。学園モノのような爽やかさ、デスゲームのような緊張感、なんとなくアップテンポのBGM、ナンセンスな交流イベントなどの雰囲気が似ているなと。また、ストーリーだけでなく、アクションパートでもキャラ同士の絡みがあり、シングルプレイながらも共闘感を感じられるのも良かったです。
気になった点

欠点というほどでもないけれど気になった点。
- ルート探索の比重が高め…初見殺し多めの記憶ゲー的な要素が強く、何度もやり直す前提のデザインになっています。加速中に即座に進行方向を判断しなければならない場面が多く、瞬時に正解ルートを選び続けるのが初見ではやや厳しいと感じました。
- 終盤のステージが長め…序盤は1ステージ30秒以内でクリアできる短い構成が多く、やり直しも苦になりません。しかし、終盤になると数分レベルのステージが登場し、ミスした際のやり直しが重荷に…。たとえば、5分かかるステージで4分50秒地点でミスをすると、最初からやり直しに……。この部分だけは少しストレスを感じました。
総評:パルクールアクションの入門作として最適

FPSパルクールという一見ニッチなジャンルですが、
- 視認性の高さ(酔いにくさ)
- ライトゲーマー向けの難易度調整&熟練者向けのやり込み要素
- パズル的な要素とスピード感を両立した独自のゲーム性
これらが組み合わさった万人向けの間口の広い作品に仕上がっています。「パルクールアクションに興味があるけれど、自分に合うか分からない」そんな人にこそ、ぜひ試してほしい作品ですね。

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