テンポ改善が神!快適さが前作から段違いの大作JRPG『オクトパストラベラーⅡ』の感想

4.5
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作品名オクトパストラベラーⅡ(OCTOPATH TRAVELER Ⅱ)
開発Square Enix, ACQUIRE Corp
リリース日2023年2月25日
ジャンルJRPG、ターン制バトル
価格7,800円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam/Windows)
PS4|PS5
Switch/Xbox Series S|X
日本語対応あり
インストールサイズ約6.55GB
Steam評価非常に好評(94%)
プレイ時間約66時間(ボス撃破)
Q
どんなゲーム?
A

それぞれの物語を持つ主人公が8人いる王道のコマンド式JRPG!

Q
2からでも大丈夫?
A

大丈夫! むしろシリーズ初見なら『2』から始めるのがオススメ!

設定や名称に共通点があるだけで、キャラクターや舞台は完全新規です。どちらもプレイした身からすると、1は難易度的にシビアな部分もあるので、まずは遊びやすく改良された2で「味見」するのがオススメです。

どのキャラから進めるかは自由

ゲームシステムや進行の流れは、基本的に前作と大きく変わりません。マップ上に各キャラのストーリーごとに推奨レベルが表示されており、プレイヤーはそれらを好きな順番で進めることができます。

主人公8人それぞれに4~5個のエピソードが用意され、それらが全8人分ですので、ボリュームはかなりのもの。ただし、各キャラクターのメインストーリー中、他のキャラクターは戦闘に参加するだけで、物語上ではほとんど絡みがありません。

このパーティ間の関係の希薄さは前作でも指摘された点ですが、本作では従来の「パーティチャット」に加え、「クロスストーリー」と「エクストラストーリー」が追加されました。これらのイベントでは、パーティメンバー同士が直接語り合うシーンが描かれ、一緒に旅をしている感覚がより強く感じられるようになっています。

奥義はSPを消費せずに発動できる強力なコマンド

戦闘では、前作から引き続き、敵のシールドを削って防御を崩す「シールドブレイク」と、コマンドを強化する「ブースト」が戦略の要となります。

さらに、本作からは新たに「底力」が追加されました。これはいわば各キャラ固有の奥義で、底力ゲージがMAXになると発動できます。威力の高い攻撃や複数回行動、単体バフの全体化など、キャラごとの個性豊かな強力なコマンドが使えるようになり、戦闘の幅がより広がりました。

同じ場所でも時間帯で様相が変化

ビジュアル面では、前作で評価の高かった2Dドット絵と3D画面効果を融合させた「HD-2D」スタイルがさらに進化。新たに「昼と夜」の時間概念が導入され、町の雰囲気や人々の配置、使えるコマンドが時間帯によって変化します。

さらに、魅力的なオーケストラBGMも健在。レトロな雰囲気と現代的なクオリティが融合したハイレベルなJRPGに仕上がっています。

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感想:正当進化で遊びやすく、難易度はマイルドに

一言で言えば、1のストレス軽減版

全体的にマイルドで遊びやすくなり、プレイ中のストレスが大幅に軽減されました。とりあえずシリーズに触れてみたいという初見の方には『2』の方が圧倒的にオススメです。

良かった点

1.ヘルプが丁寧:新要素だけでなく既存のシステムについても詳しい説明が追加され、初見プレイヤーにも優しい設計になっています。たとえば、状態異常の効果や魔物捕獲の条件など、前作で説明不足だった部分もしっかり補完されていたのが嬉しいポイント。

2.ビジュアルの強化:相変わらずHD2Dは美しいです。前作に比べて2Dドット絵がくっきりと際立ち、町並みや小物の装飾など細かい部分にまで存在感があります。

戦闘背景が舞台ごとに変化するのはもちろん、船での探索中に楽しめるデフォルメされた町の風景や、一瞬のイベントで垣間見えるキャラクターの細やかな動き、昼夜で表情を変える町の雰囲気など、細部まで徹底されたこだわりに感動しました。終始視覚的な驚きが尽きない作品でしたね。

3.イベントシーンの演出強化:イベントシーンがフルボイス化され、ズームや回り込みといったカメラワークの工夫もあってイベントの見応えがアップ。モブ含め登場人物全員に声がついているってのがいいですね。また、テキスト自動送り機能(AUTO読み上げ)の追加も大変ありがたく、手を休めてストレッチするなど小休憩の時間として有効活用させてもらいました。

4.コマンドの調整:キャラ固有のコマンドを使って町で情報やアイテムを入手できるシステムにも調整が入りました。前作では成功率が低すぎてセーブ&ロードが必須でしたが、本作では1回もリセマラなしで快適に進行できました。

また、前作では似通ったコマンドが多くてバリエーション不足に感じたコマンドの種類ですが、効果が似ているのは本作でも変わらず。それでも、有効な場面が異なるという調整の仕方であり、相互に補完し合う形で活用できるのがうまい調整だなと。

発明家の全体攻撃には大変お世話になりました

5.戦闘バランスの調整:いろいろ変化があった中で、最大の改善点と言えるのが戦闘バランスの調整です。前作も悪くない作品だと思うのですが、戦闘がハードすぎるという点で、人を選ぶ作品だな~というところがありました。本作では、そんなユーザーのフィードバックを受けてか、難易度がかなりマイルドになったと思います。

顕著に変化を感じたのが被ダメージで、前作では雑魚戦であっても一撃でHPの半分を削られることが珍しくありませんでした。それが本作では、しっかり防御を固めたキャラなら、ダメージ量をわずかに抑えることが可能になっています。かなり序盤の段階から「被ダメージ1」を目撃したときは「本当に別ゲーになったな」と思いましたね。

戦闘中にゲームスピードを2倍にできる機能も

戦闘のテンポも非常に良くなっており、シールドを割らなくてもある程度ダメージが通るようになっています。序盤から全体攻撃で1ターンキルを狙えるほどスムーズで、エンカウント率が高めでも戦闘がサクサク終わるため、戦闘におけるストレスが大幅に軽減されました。

シナリオのボリュームは前作より増加しているのは間違いないと思うのですが、戦闘のテンポがいいため、クリアまでの時間が意外と短く感じられましたね。雑魚戦では序盤から1ターンキルが当たり前になり、戦闘面のやりがいという点では減少したかもしれません。しかし、個人的にはコマンドRPGに高い難易度は求めていないので、むしろちょうどよいくらいでした。

一方で、ボス戦には適度な歯ごたえが残り、全体的にバランスの取れた調整が見事です。前作から続けてプレイしたという慣れもあってか、苦戦することはなかったです。

個人的に最大の難所は各章ラストのボスでしたが、それも1度クリアすればクリア後のコンテンツとして最終装備が手に入るサブストーリーが用意されているため、ボスを倒すたびに次第に楽になっていきます。各キャラ全員のラスボスを倒す頃には、装備も整ってレベルも上がりきってそのままの足で大ボスを倒せるほどでした。クリア後コンテンツのエクストラバトルや裏ボスは難易度跳ね上がるようですが、今回そっちはやらないつもりです。

6:キャラの個性化:「底力」や「EXアビリティ」といったキャラ固有の能力が追加され、キャラクターの個性がより明確になりました。これにより、前作では同じ構成になりがちだったジョブシステムに編成の幅が広がり、戦略性が向上。単純にコマンド数が増えてやることが増えたってのが楽しいです。

その他良かった点:

  • セーブやゲーム起動が爆速で快適。
  • 昼夜がシームレスに変化し、それに伴って音楽や風景もスムーズに入れ替わる演出が素晴らしい。
  • 装備品、特にアクセサリの種類が増加し、装備構成のカスタマイズ幅が広がった。
  • 序章でストーリー専用の仲間と共闘できる。サポート職でも楽だし、ドラマ的にも◯。
  • キャラ同士の絡みが増えた(ネタバレ回避のため詳しくは語れないが直接話す場面がある)
  • 引き続きUIが親切で、ボス前のセーブポイントやクエストの目標マーキングが助かる。

各キャラ/ストーリー雑感

全体的な印象

今作ではキャラクターの心情を描くモノローグが増え、敵味方問わず動機がしっかり描かれているため、感情移入がしやすくなりました。共通の設定が物語を通じて自然と浮かび上がる構成も秀逸で、エンディングはラスボス撃破後に流れる形式に。8人の物語がひとつに収束していく流れが本筋に組み込まれています。

また、章の構成にも変化があり、各キャラが均等に4章ずつ進む形式ではなく、同じ章に前編後編があったり、3章で終わったり5章まであったりと一様ではないのも作業感が減って良い変化。

ちなみに、プレイ後に知ったことですが、キャラクターの頭文字が「OCTOPATH」となっている仕掛けがあったとか! 驚き!ということでその順に各キャラ感想!

  • オズバルド(学者):「ハーヴェイ、貴様!」前作は学者無双だったので今回も最初の主人公に選択。前作ほど圧倒的ではないけれど依然として強キャラ。冒頭から脱獄編でいきなり2章連続プレイになる構成は意表を突かれました。寡黙ながらも深みのある物言いが印象的。とにかく宿敵ハーヴェイが本当に悪い。だけど悪役としては大正解。GoTのようなテーマ曲も荘厳で熱い!
  • キャスティ(薬師):記憶喪失の薬師として、自分の過去を取り戻す旅。その記憶が予想以上にハードで、特に第3章の雨は壮絶すぎてイベント後しばらく呆然。ジーハで泣いた。マレーヤの想いにも感動。パーティの内では「みんなのおかん」として受け入れられていて、優しい世話焼きの一面がカワイイ。
  • ソローネ(盗賊):自由を求める女盗賊。ハードボイルドな雰囲気が前作のプリムロゼを思わせる。単に上層部を倒せばおkって話でもなくて、最終章で明かされる事実はいろいろぶっ飛んでるなーと思ったが王道を外した感じがむしろ好き。ファーザーが狂っちまった過去には胸が痛んだ。別の未来もあったのかなと切なくなった。「俺も自由にしてくれよ」 あと、毒盃の宴ではセーブを忘れて本気で焦ったのもいい思い出…。
  • オーシュット(狩人):肉が大好きな獣人で、旅の癒やし枠。緋月の夜なる村襲撃イベから村を守るべく、伝説の魔物を集める旅へ。獣人と人間の確執など、シリアスな展開になりかけることはあるが、本人持ち前の明るさ…というより気の抜けた反応から、シリアスになりすぎないのが良い。狩人というジョブにかなり大幅なテコ入れが入っていて、魔物召喚に使用制限がなくなっていたり直接倒すことで自動捕獲できたり、しまいには加勢すらできるという贅沢ぶりで、戦力面での存在感が大幅アップ。
  • パルテティオ(商人):前作のサイラスのような、「独占より分配」を掲げる商人。序章の完成度はピカイチ。家が建つタイムラプス的な演出に感動。サラッと流れたが本当にすごいと思う。堂々然としたリーダー的振る舞いは見ていて心地よく、仲間との掛け合いに温かみがある。そんな仲間たちがパルテティオの旅立ちを後押しするシーンは、初めて流れるメインテーマのかっこよさともマッチし、ちょっと涙ぐんでしまった。ストーリー最後に明らかになる黒幕の手記の揺れ動く感情が物悲しく、最期には報われたと信じたい、切ない物語。
  • アグネア(踊子):スターを目指す踊り子として、明るくコミカルな物語を展開。妹パーラとの掛け合いは深夜アニメ。最終決戦の展開はなぜ踊りとバトルが結びつくのかわからず奇妙に映ったが、勝てば良し! 
  • テメノス(神官):聖火教会の異端審問官として、とある事件を追う旅。相棒のクリック君との掛け合いが魅力で、アグネアとパーラに次ぐベストコンビだと思う。だんだんとクリック君が強くなっていくのがいいんだ…。
  • ヒカリ(剣士):国を奪われた王子が復権を目指す物語。勝手に優秀な部下が集まってくるのではなく、自分の器量で掴み取っている感じが好印象。群像劇としての描き方も秀逸で、敵側の動向が細かい。ライ・メイの慟哭は泣けた。最終章の手記も予想外。戦力的には、前作のオルベリクがそうであったように、やはり剣士というベースジョブはめちゃ強い。序盤は発明家、中盤からは底力で雑魚戦ワンパン祭り。

良くなかった点

プレイしていて気になる部分はいくつかありましたが、どれも致命的な問題というほどではなく、「不満ではないけれど、しいてあげるなら…」というレベルのものです。

1.町の滞在時間の長さ:昼と夜で使えるコマンドが異なるため、8人×2=16種類のコマンドを駆使することになります。機能的に重複しているものもあるとはいえ、村人ごとにそれぞれのコマンドを試す時間が長く、新しい町に到達するたびに探索疲れを感じました。この点は前作でも薄々感じていましたが、本作で戦闘がスムーズになったぶん、探索の負担が相対的に際立つ形になったように思います。

2.BGM無音時間の長さ:イベント中にBGMが流れない場面が多く、個人的に物足りなさを感じました。前作では、ストーリーが薄くても、耳に残るBGMがシーンを盛り上げてくれることが多く、そのおかげで満足感を得られることもありました。一方、本作ではセリフや環境音を際立たせるため、もしくは絶妙な曲の挿入タイミングを図らうためか、あえてBGMを無音にする演出意図が感じられました。決して手抜きではないのですが、耳的には退屈な時間が続き…少し寂しかったです。

その他の気になった点:

  • 宝箱の判定がシビア:近づいてもなかなか拾えず、微妙にストレス。
  • たまに動作が重くなる:不意に処理落ちのような動作が重くなることがあった。特に派手な演出がなくても起こることがあり、その原因がわからない点がモヤモヤ。
  • ストーリー終了後のセーブ:各エピソード終了時、町を出る演出が多め。しかし、区切りをついたところでセーブしたいため、すぐ町に戻ることに。流れとしては納得できるものの、プレイ感覚的には二度手間で煩わしい。
  • 目新しさが少ない:ストーリーやキャラ造形は良くも悪くも王道で、展開も前作と似通っている部分がある。シリーズらしさと言えるかもだが、新鮮さにはやや欠ける。

総評:手放しでオススメできる良作

とにかくプレイしやすい!というのが最大の進化と呼べる点で、リラックスしてプレイできるレトロライクなRPG、という切り口で大変オススメしやすい作品になったと思います。

一方で、ゲーム全体の進行やシナリオのトーンに目新しさは少なく、どちらかといえば「マイナーチェンジ」に近い印象も。キャラクターやストーリーは王道を丁寧になぞっており、良作と呼ぶには十分ですが、「名作」と断言するにはやや平凡に感じる部分もありました。

それでも、8つのストーリーのどれかに共感したり楽しめたりすれば、十分満足できるはず。自分は特にキャスティとヒカリの物語が心に残りました。

シリーズファンはもちろん、初めての方にも自信を持ってオススメできます。

OCTOPATH TRAVELER II on Steam
This game is a brand-new entry in the OCTOPATH TRAVELER series, the first installment of which was initially released in...

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