父の足跡を求めて火星探索アドベンチャー【Deliver Us Mars(デリバーアスマーズ)】の感想

3.5
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荒廃する地球から火星へ

荒廃した地球

Deliver Us Mars(デリバー・アス・マーズ)は、KeokeN Interactiveによる2023年2月にリリースされたSFアドベンチャーゲーム。

舞台は近未来(2060年代)。地球の資源は枯渇し、荒廃と分断が広がる。そこで、新たなエネルギーを求めて月に行ったのが前作『デリバー・アス・ザ・ムーン』。そこでなんやかんやあり、今度は火星に行くぞ!ってのが本作です。

荒廃した地球を立て直したい組織(WSA)と、ゼロから文明を始めたい組織(Outward)の対立がある中、主人公キャシーはWSA所属の宇宙飛行士候補生。ある日、WSAが受け取った秘密通信から父親の痕跡を感じ取ったキャシーは、父親の行方を追って火星へと向かうことを決意します。

火星ではOutwardが入植を始めており、そこでは何か異変が起きた様子。手がかりとなる映像を記録したホログラムを追いながら、キャシーは火星で何が起きたかを解き明かし、Outward組織の理念や実態、そして父親の行方と目的を明らかにしようと奮闘する姿を描いたストーリー体験型のSFアドベンチャーとなっています。

前作未プレイでも大丈夫

博物館で世界観や前作のことを学べる

今回、自分は前作未プレイの状態からプレイを始めましたが、話の流れは問題なく追えました。ただ、前作で起きた出来事が単なる歴史的事件としてだけでなく、そこで描かれたドラマの影響下にいるキャラクターも登場しています。そのため、前作をプレイした方がキャラクターの動機や感情により深く共感できたかもしれません。

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約10時間でクリア+日本語完全対応

インストールサイズは12.55GBで、1周クリアまでのプレイ時間10時間半でした。

コレクション要素もあり、やり込もうと思えばもう少しプレイ時間が伸びると思います。いつでも好きなチャプターから再開できるため、回収自体は難しくないでしょう。

日本語にも完全対応しており、プロの声優陣による吹き替えはもちろんのこと、マップ上のちょっとしたオブジェクトまで日本語化されています。ローカライゼーションについてはパーフェクトと言える出来と言えます。

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ムービーゲー+軽いアクションとパズル

主人公キャシー

続いてゲームシステムについてですが、長尺のフルボイスムービーパートと3人称視点の探索パートで構成されています。基本的にはストーリーを楽しむ作品であり、ゲーム性は低めです。

ムービーはキャラクターの顔の造形にやや違和感がありますが、身振り手振りやフルボイスの演技、工夫が見られるカメラワークなど、非常に見応えがありました。

切断

探索パートでは3人称視点でキャラクターを操作し、アクションというよりも周りの景色や雰囲気を楽しむウォーキングシミュレーション的な側面が強いです。

もちろん高いところから落下したら終わり

中には「切断」「登攀」「パズル」といった特殊ギミックも組み込まれており、一発クリアが難しいエリアも多いです。しかし、パズル以外のギミックは直感的に解けるレベルであり、全体的に難易度は非常にライトですね。

感想:視覚で楽しむ作品、それ以外は普通

良い点も悪い点もあり、手放しで絶賛はできないけれども、全くの駄作というわけではない、まあまあな作品でした。

特に際立って良かったのは、その圧倒的な映像美。SFテーマなだけあり、巨大建造物や壮大な火星の風景は、ただ歩き回るだけでも感動的で、この体験だけでもプレイして良かったと思える出来でした。

一方で設定やストーリーは非常に凡庸で「この作品ならでは」といった独自性が感じられませんでした。宇宙を舞台にした壮大なアークのように思いきや、内輪の揉め事が主体で、いい意味で現実的と言えますが、わざわざ火星行ってまでやるような話でもないなと。

キャラクターについても、主人公以外の内面描写が不足しており、表面的でつまらない大人が多かったです。ただ、大筋ではまあまあ満足できました。徐々に全容が明らかになっていく過程は興味深いものでしたし、決着も好きでした。また、ムービーの出来も大変良く、カメラワークや印象的な対比など、いくつかの演出的には「おっ」と感心できる箇所がありました。

冷静に評価すると、視覚的な魅力は際立っているものの、それ以外の要素は非常に凡…あるいはそれ以下…というのがプレイ後の率直な感想ですね。

アトラクションのようで面白い

お気に入りのシーンはシャトル打ち上げ前後。シャトルに乗り込む前の緊張感を感じつつも、やっぱり映像が新鮮でスケールがすごい! 

シャトルに乗り込んだ後は「機密チェック」や「スラスター点火」などの発射準備を再現したミニタスクがあり、手の込んだ「ごっこ遊び」のような感じで、リアルかどうかはともかく気分は盛り上がる!

地球は美し…くない

そして、打ち上げ後の荒廃した地球を見るのは言葉では言い表せない感動があり、その後の船外活動も含めて、ゲーム性としては皆無に近いけれども臨場感は最高。宇宙飛行士気分を楽しめる体験型アトラクションみたいでめっちゃ楽しかったです。ずっとこんな感じのゲーム性でも良かったと思うんだよな…。

ちなみに、本作にはスクリーンショット機能(P)があり、ムービー中、アクション中、いつでも一時停止が可能です。この記事で使用している画像(左上にロゴがある)もその機能で撮影しました。

ストーリーについて

ストーリーは火星探索ミッションと父を追う娘の2つの軸があります。

火星探索ミッションの方は、

ちょっと事情が複雑ですが、①もう入植が始まっており、②そして終わっているというミステリーめいた展開。徐々に明らかになるところでは、人類に絶望した人々が別の場所でも”人類する”という良くあるヤツで、星を跨いだ話にしてはスケールの小さい話だなという気もしました。

大義のために犠牲を我慢しろという独善的なリーダーが打倒されるわけですが、そのリーダーの強迫じみた行動原理も、個人的都合に立脚しているような匂わせがありました。結局のところ、個人的都合も大義も同じ土台の上に成り立っていることが看破され、その正当性や行く末についての深い示唆があったと思います。

…と、それっぽく書いてみましたが、人類トップクラスの頭脳を持ってしても、哲学レベルは夕方アニメレベルってのはなんとも不可思議だ。

父と娘の話は、よくある「すまない」→「実は事情が」という展開で、倫理的葛藤に悩む父親と、1人置いていかれた寂しいキャシーの内面が交互に描かれていました。父親の方はリーダーと似た境遇にあり、リーダーの別の未来のような感じもありましたね。違いは助けがあったかどうかだけだと思います。その意味でも「救いに来た」と言ったキャシーのセリフには重みがありました。

「分断」が象徴的に描かれる中で、親子という絆を通して再度繋ぎ止めることに成功したということは、ディストピアに向かう世界の中の一筋の希望であり、すごくポジティブな終わり方だと思います。個人的にハッピーエンド推しなので、平凡とはいえ前向きな感じで終わったのは嬉しかったですね。分断を象徴する?橋の演出も良かった。

パズルが不要

しかし、何と言ってもこのゲーム最大の問題がストリームポイントによるパズルです。

全体的に非常に簡単なゲームで、そのことが風景や体験を楽しむ”余裕あるプレイ”を生み出しているのですが、パズルはそうした余裕を排除する不快なシステムでした。めっちゃムズい!ってわけではないんですが、露骨にゲームテンポを損う上、世界観との調和も、視認性も、操作性も悪く、存在意義が不明でした。パズル要素を削除するだけで評価もう少し上がったんじゃないかなと真剣に思います。

オートセーブやリトライの早さ、危険エリアへの警告など、ユーザーフレンドリーな仕様がたくさんあるのに、なぜこのようなストレスフルな仕様が残ったのか、謎で仕方ありません。

まあまあ満足

正直、悪くない作品でした。映像が美しく、ストーリーも理解しやすいものでした。ただ突き抜けるものがなく、パズルの不快さも相まって、評価(Steamではやや好評&Epicでリリース1年以内に無料配布)自体は妥当だなと感じました。

本作プレイ者の多くが「前作の方が良かった」「前作は傑作」と言っている中、本作でもまあまあ満足できた自分なら、前作はどれだけ感動できるんだ…?ということで前作買ってみました…。実際どうなんでしょうかね。

なお、本作も続編を示唆する終わらせ方をしており、次回作があるかもです。あるとしたら地球編かな?

Deliver Us Mars on Steam
Deliver Us Mars is an atmospheric sci-fi adventure taking you on a suspense-fuelled, high-stakes mission to recover the ...

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