海外製のJRPG風作品
作品名 | Sea of Stars(Steam) |
開発 | Sabotage Studio(カナダ) |
リリース日 | 2023年8月29日 |
ジャンル | ターン制RPG、JRPG |
価格 | 4,000円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC、Switch、PS4、PS5、Xbox |
日本語 | 完全対応 |
インストールサイズ | 3.7GB |
クリア時間 | 約26時間半+α |
Sea of Stars(シー・オブ・スターズ)は、至点の戦士(救世主的な存在)として選ばれた主人公たちが、その役目を遂行する上での葛藤や試練を描いた、レトロなJRPGスタイルのターン制RPGです。
クリア時間は途中から初心者機能をオンにして約26時間半。初心者機能をオンにしてからは戦闘では負けなし、謎解きもサクサク進行でしたが、それでもこれだけの時間がかかりました。howlongtobeatでもストーリークリアまで27~29時間が平均タイムのようです。
クレジットは一応流れたものの、真エンディングというのもあるようで、それにはここからまた7~10時間ほどかけて収集要素などを進める必要があるようです。しかしモチベーション的にここでギブアップ。というわけで、真エンディング未到達時点でのレビューとなります。
感想:ビジュ◎戦闘×
JRPGの良さは、ちょうどいいプレイ感でホッと一息つけることだと思います。歯ごたえのある難易度や、絶対に感動するストーリーは必須ではなく、そこそこ楽しめて、そこからプラスαで何か感じられるものがあったら上々だなと。その観点から言うと、このゲームはギリッギリのラインでした。見た目が良くて、王道JRPGの流れに若干心が躍ったものの、戦闘システムが最後までしっくりこず、イマイチ熱中できないまま終わってしまったなーと。それでもクリアまで約30時間もプレイするほどにはそこそこ楽しめました。
こだわりを感じるビジュアル
ビジュアルはこのゲーム最大の魅力だと思います。
街や風景やイベントシーンなどは、本来一見して終わりの開発コストパフォーマンスの悪い部分です。しかし、本作ではそのバリエーションの豊富さと徹底的な作り込みが際立っており、開発チームのこだわりと熱意を強く感じられました。キャラクターの表情や動き、広い街の細部まで凝ったデザイン、そしてイベント専用のアニメーションムービーなど、これらの要素は、当時の大作と呼べるような作品にも匹敵する厚みとクオリティだと思います。
とにかくビジュアル面での繰り返しが少ないので、常に新鮮な画面が広がり、飽きを感じにくいというのが、30時間近くプレイして思ったことですね。
ストーリーは王道そのもの
ストーリーは、個性的なキャラクターが集うパーティが世界を救うという名目で、ワイワイ楽しくやりながら世界中を旅するというよくあるもので、旅先でのお使いクエストや、軽いパズルギミックで構成されるダンジョンの攻略など、まあ本当に王道JRPGという感じでした。
全体を振り返ると、序盤は主人公周辺のドラマがじっくり丁寧に描かれていたのに対し、中盤以降は各地を転々とするたらい回し的展開が続き、ややワンパターン気味でした。ラストも正直スッキリとはせず、「世界は救ったけど、、、けど!!」といった感じでモヤモヤが少し残りました。真エンドでの変化があるのかもしれませんが、そこまでのモチベが湧かなかったのでわかりません。
それでも、ストーリー構成には工夫が見られ、伏線回収的な繋げ方や要所で挿入される記録官の語りなど、一本調子ではないところは非常に良かったです。
世界観はやや神話的な要素があり、終盤はややその方向に引っ張られて、とっつきにくくなっていった印象があります。最初の方は日常の延長という感じで、すごく慣れ親しみやすいストーリーだったんですけどね。
また、これは洋ゲーあるあるですが、直接的に描かないことや解釈を委ねることが美徳とされがちで、その点でキャラクターたちが世界観や設定に対して受容的に映るというのがありますね。仲が進展するほどその傾向が強まっていき、主人公タイプは最後にはアセンションしちゃうっていう…。日本の場合は、逆にストレートな物言いやユーモラスな表現が増える傾向があり、最後は三枚目的なズッコケで終わることも多いように思えます。似たようなストーリーラインでも国民性?が表れるのは面白いなあと。
主人公2人と幼馴染
主人公と幼馴染について、個人的にはあまり気になりませんでしたが、ストアレビューなどでは、主人公の幼馴染がでしゃばってウザい的なニュアンスのレビューが多く見受けられます。確かに、幼馴染は全体を通して目立っていましたが、これは幼馴染キャラクターの問題ではなく、主人公が目立たなすぎることに起因しているように思えます。
主人公は時代を考慮してか、男女一組のセットとして登場します。自分の分身を男女どちらかから選べることは良いと思いますが、選ばれなかった方もまたストーリーに参加するのが問題で、男女主人公とも性格はわずかに異なるものの、プレイヤーの分身となるべく想定されているためか、常識的で控えめな点では似通っています。これが原因で、陽気で社交的な幼馴染が相対的に目立ちすぎてしまうのかなと。
幼馴染との絆を描くドラマにおいても、主人公が2人いる2:1の構図のせいで、個人的因縁がやや薄まってしまったように思います。
幼馴染は本当に可哀想なキャラクターだと思いますよ。ゲームでは幼少期から過酷で、パーティでは変人扱いされ、レビューでは酷評され…。寡黙な主人公と陽気な幼馴染による緩急の効いた掛け合いはたまにクスッとくるものがあったし、社交性が主人公を大いにサポートしてたし、結構重要な役割を果たしていたと思うんですけどね。最後の見せ場くらい…別にいいじゃないか。
生きガラスとは…
ちなみに個人的なお気に入りキャラクターは、学院長と生きガラスです。学院長は人にも自分にも厳しい頑固爺のようで、その実メンタルの弱さがギャップ萌えで愛らしかったです。生きガラスは序盤からその名前が登場し、ずっとなんだ?と思っていましたが、ついに姿を表したときのキモカワさに思わず笑ってしまいました。ファイトスタイルもなんか変だし。なんだあれ?
戦闘は面白くない
本作最大の問題は…戦闘が面白くないことに尽きますね。
RPGはストーリーと戦闘システムのどちらも楽しいというのが理想ですが、戦闘が楽しすぎてストーリーはオマケ!って思える作品も多いです。そういう作品だと、御託(ストーリー)はいいからさっさと進ませろ!ってな感じで思うものですが、本作の場合はそれがまったくの逆で、イベントが完全に息抜きになるほど戦闘がとにかく苦痛でした。
システム自体はコマンドバトル+ダメージを与えるor受ける瞬間にボタンを追加入力することでダメージが増減するというマリオRPGスタイルです。しかし標準バランスがかなり挑戦的で、雑魚戦でも余裕で負けます。キャラクターの防御力が低いのか敵の攻撃力が高いのか…被ダメージが高く、序盤はジャストガードでも半分~三分の一が削られます。こうなると1戦1戦が修羅場で、気が抜けない戦いが続きます。
相当ハードなバランスだなぁと思っていたら、レベルが上がって防御力が上昇していくと、被ダメージが顕著に減っていきました。序盤で50~70食らっていたのが、終盤は20とかになるんですよ。レベルアップでHPも上昇していることも加味すると、明らかなバランス調整の失敗…というか未施行?とも思える変化でした。
さらに問題だと思うのが、ステージ設計もこのハードなバランスが前提となっていること。回復ポイントに対してエンカウントする敵の数が少なく、連戦でも多くて3戦くらいしかありません。基本的に1回倒したら再び湧くことはないため、1回倒すごとに回復ポイントに戻って、全回復状態で戦うことが多くなります。そうなると、回復アイテムの使用タイミングや長期戦を見据えたMP運用に悩むことがなく、戦略性に欠けてつまらないバトルだなぁと。
一応本作独自のシステムとして、詠唱ロックという機能があります。これは敵の呪文詠唱中に表示される特定の属性の攻撃を当てることでその呪文を阻止できるというもので、相手の攻撃をなかったことにできる最強の防御手段です。呪文阻止に集中するか、呪文を受け入れて他の行動に専念するかという選択を迫られる戦略的に面白いシステムですが、出現タイミングや属性分配などの調整が微妙で、あまり有効的に機能していませんでした。
これがギミックと呼べるほどシステムに噛み合っていたのはボス戦くらいで、比較的上品に戦えるボス戦はやり甲斐があって好きでした(なぜかHPを見れないのはストレスでしたが…)。それに比べて雑魚戦は理不尽に感じることが多く、回復ポイントの多さとスキルの少なさなども相まって、単調でやり甲斐がなく、それでいて作業的にやるにもタイミング操作がシビアで非常に疲れました。
総評:見た目はいいが面白さは別
総評すると、ビジュアルや演出には目を見張るものがありましたが、戦闘のつまらなさがすべての足を引っ張っているという非常に惜しい作品でした。自分はストーリーやキャラクターに関してはどうでもいいという考え方なので、シンプルにゲームとして面白ければ良いのですが、そのゲーム性の部分が面白くなかったというのが本音ですかね。
とはいえ、駄作と言い切るには惜しいほどビジュアル面の作り込みは素晴らしく、そのこだわりの数%でも戦闘システムに向けられていたら、もっとすごい作品になっていたのになーと思います。難易度調整であったりとか、店で装備品を新調する時に、装備し直してかつ古い装備を同時に売ってくれるとか、そういう細かい気配りはできるのに、なぜ戦闘については何も思わなかったのか本当に疑問ですね。
幻想水滸伝とかクロノトリガーのような昔のRPGが好きな人が雰囲気を味わう分には、とても良い作品だと思います。
似たようなレトロJRPG風洋ゲーだとEvoland2が面白かったです。
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