『龍が如く8』とその外伝も出ている今、今更7かよって感じですが。

作品名 | 龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル |
開発 | Ryu Ga Gotoku Studio |
リリース日 | 2020年1月16日(PS4) 10月11日(Steam) |
ジャンル | RPG、アドベンチャー、ターン制バトル、オープンワールド |
価格 | 1,980円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/Windows) PS4|PS5 Xbox Series S|X |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約56.3GB(DLC込) |
Steam評価 | 非常に好評(94%) |
プレイ時間 | 約70時間(ストーリークリア) |
- Qどんなゲーム?
- A
ドタバタヤクザアドベンチャーをドラクエ風に
「龍が如くシリーズ」は0~2だけプレイ済み。
プレイのきっかけは、コマンドJRPG風なのがお手軽そうで、なおかつ安かったから。
ちなみに、ナンバリングタイトルですが、シリーズ初見でも大丈夫です。従来キャラも登場しますが、少なくとも知らないことでストーリーについていけないことはなかったです。
新主人公で横浜が舞台

これまでのシリーズでは堂島の龍・桐生一馬が主人公だったのに対し、本作では新キャラ・春日一番(かすがいちばん)が主人公。

始まりはいつもの神室町。
しかしメイン舞台は横浜。

大雑把なストーリーは、
- なんやかんやヤクザに
- なんやかんや裏切られ
- なんやかんや横浜で生きることに
- なんやかんや裏切られの真相へ
てな感じ。
※ネタバレを避けるため、大まかな流れのみ。
テーマは出自や境遇による「光と闇」。人生の荒波に揉まれながら、グレーゾーンで必死に生き抜く人々の姿が描かれます。裏社会では、東城会や近江連合といったいつもの組織に加え、横浜では「日本、中国、韓国」の各国の裏社会組織が三すくみのバランスを繰り広げるという、新旧勢力入り混じるドロドロの様相。
まあでも、「あそことあそこが繋がっている!」とか「あいつは裏切り者だ!」みたいないつものやつです。
システム:オープンワールド✕コマンドバトル

オープンワールドと寄り道
これまでのシリーズと同様に、日本の(一部の特殊な)町並みを再現したオープンワールドゲームとなっており、マップは横浜、神室町(歌舞伎町)、蒼天堀(道頓堀)の3種類。それぞれ昼と夜の顔を持っており、時間帯限定のサブストーリーがあったり出現する敵が変わったりします。
「龍が如く」といったら!の寄り道要素も豊富。

サブストーリー…

将棋(画像は詰将棋)…

麻雀…

パチスロ…

ゲーセン…

マリオドラゴンカート…
変わったところでは資格試験なんてのも。

!?
メインストーリーそっちのけで遊べるコンテンツがた~くさん。
戦闘はコマンド式

戦闘は従来のアクションから一転し、JRPG風のコマンド入力方式になりました。
属性による弱点や、MPを消費して必殺技を繰り出すなど、基本的なシステムは一般的なRPGと大きく変わりません。しかし、ユニークな点として、コマンド選択中も敵も味方も常に動き続け、戦場の状況が刻一刻と変化するのが特徴です。

タイミングが大事
コマンド選択中にも敵は集まったり離れたりと配置を変え続け、「範囲攻撃」を仕掛けるにも「今!」という瞬間を狙う必要があります。通常攻撃の場合も、攻撃までのルート上に他の敵がいると攻撃キャンセルをくらうことも。
こうした仕様から、単にコマンドを選ぶだけでなく、敵の動きや配置を観察し、「ここだ!」という最適なタイミングをうかがう必要があり、コマンドを吟味しながらじっくりプレイするというよりかは、わりとせかせかとしたプレイ感の戦闘となっています。
プレイ時間と難易度について

クリアまでには大体70時間かかりました。寄り道次第ですかねー。自分の場合は、サブストーリーはすべて消化し、それ以外のコンテンツはやったりやらなかったりというスタイルでした。
難易度的に詰まったところも特になし。基本的にレベル&装備ゲーなので、ゲームオーバーになってもレベル上げを頑張ればなんとかなります。ただ、超カンタンってほどではないです。

装備品は進捗に合わせて段階的に配置されているわけではなく、自力で探し出す努力が必要ですし、ダンジョンやボスステージなどでは、ステージ入場前にしかセーブできない仕様が妙にハード。敵のアジトに乗り込んで30分以上かけた末に到達したボス戦で敗北し、再挑戦はまた入口から……ってのは心理的にくるものがあります。
それでも、個人的な感覚では詰むことはないだろうなってくらいの手応えのまま完走できました。
ダブルボスのところはマジで大変だった。あそこがピーク。
感想:大ハマリはしなかったが、そこそこ楽しめた

うーん、まあまあ。
たとえるなら、大盛り店。味的にはまあまあだったけれど、お腹いっぱいにはなったから満足感はある。
リアルな町のオープンワールド
現代日本を舞台にしたオープンワールドというだけで既に面白い。細部の作り込みが素晴らしく、入れない場所であっても、看板や店内の風景に凝ってるのが凄いなと。ただ歩き回るだけでも観光気分で楽しめました。
マップは非常に広大で、特に横浜はタクシー(ファストトラベル)が必須。最初は広すぎて戸惑いましたが、次第に土地勘が身についてきて、町にも馴染みを感じるほどに。横浜だけでも十分に楽しめるのに、さらに東京や大阪といった他のエリアまであって驚きました。

で、龍が如くといえばの寄り道要素。将棋、麻雀、ゲーセン、パチスロ、カラオケなど、多彩なコンテンツが用意されています。ただ、正直な感想を言うと、どれもミニゲームレベルなので、あえてやりたいってほどのものはそんなになかったかな。別にこのゲーム上でやらなくても…って思っちゃう。その中でも、会社経営シミュレーションは結構好きでした。普通に遊びごたえもあったし、金策としても優秀で、本編を進めず丸1日会社経営シミュだけ遊ぶ日もありました。
ストーリー:シリアスさが足りなかったかなと思う!

ストーリーはイベントムービー中心に進行します。そのムービーはフルボイスで顔グラも表情豊かで、見応えは十分。ただちょっと長かったかな。ムービー終わって次のムービーみたいなコンボもあり、序盤は特になかなか操作ターンがこなくてヤキモキしました。
中身の方は…もともとヤクザファンタジーと称されるくらい、あり得ない話のシリーズなのは前提として、その中で登場人物たちが大真面目に取り組む姿勢が健気であり、それがシリアスな笑いを生むこともありました。むしろシリアスな展開よりも、ギャップ笑いを求めるファンの方が多いかもしれません。自分もどちらかというとそっち側。にしても、今回の作品はややオーバーに感じられました。
やはり新主人公となった春日一番の影響が大きく、彼が基本的に根明なのと、周囲の仲間も第三勢力的な立ち位置で、変なしがらみがない分、緊張感に欠ける軽いノリのやり取りが多め。そのため「ザ・ファンタジー」といった感じが際立ち、修羅場感というか…緊迫感が薄くて、いまいち没入できませんでした。

また、主人公はドラクエに強い思い入れがあり、自分を勇者にたとえて鼓舞する面があるのですが、演出やゲームシステムもそれに呼応しているところがあります。システムに収まっているならまだしも、ストーリーにおいても「勇者とパーティ」という善良なる枠組みが正義という体を押し付ける傾向があり、様々な事情が「仲間だから」「勇者だから」で包摂されていく過程がやや強引。なんというか、少年漫画的すぎて、生死がかかっている状況下にしては単純すぎるかなと。グレーゾーンを取り上げるなど、物事の表裏を単純に判断すべきではないと訴えるストーリーとのミスマッチも感じました。

だからといって、ストーリーすべてを受け入れられなかったわけではなく、ストーリーの大枠や細部のトリックは結構好きでした。
伏線が明らかになったときの「推理小説のようなすっきり感」は極上でしたし、ある福祉施設にフォーカスした際の二転三転とした展開は、普通に話として面白く、潜入捜査のドキドキ感もあって、興味深く追えました。「いつメン」の登場シーンも熱かった!!
そして、キャラクターが良い。主人公の春日一番…いいキャラだったな~。いわゆる三枚目的な役回りだけれども、前向きに問題に向き合っていく姿勢が魅力的。1番ハードな人生を歩んでいる彼自身の生き様が答えなんだよね……。ラスボスとの感情のぶつけ合いは特に印象的で、カッコ悪いのがカッコ良かった! こういう真っ直ぐなキャラ大好き。
他にも策略の甘い足立さんや、ホームレスのナンバ、ムードメーカー兼ツッコミ役のサッチャン。ここらへんの中心メンバーが、ただ駄弁っている時間が『龍が如く7』って感じがします。銀魂みたいな。駄弁ってる時間は面白いけれど、シリアスになりすぎるとおっとっと、みたいな。本当しょうもないやり取りが多い。リアルに歳を重ねてもこんなノリで続いていくのだろうか、と自分に重ねてしみじみ思ったりして。
戦闘は地味

個人的に最も残念だったのが戦闘システムでした。プレイのきっかけにもなったシステムではありますが、正直なところクオリティは低め。
ドラクエのようなコマンドバトルを採用しているものの、動的に動き続ける敵、ジャストガード、倒れた敵への追撃など、RTS的なせかせかとしたプレイ感で、ユニークではあるものの全体的に調整が不足している印象です。

特にストレスを感じたのは、ダウンした敵への追撃です。ダウンした敵にはダメージが大きくなるという仕様があるため、急いでコマンドを入力する必要があるにもかかわらず、「◯◯を倒しました」や「出血中です」といったシステムログが流れると、コマンドを受け付けない強制的な待ち時間が発生します。その待ち時間中にダウンした敵が立ち上がり、ダメージボーナスタイムは終了。システムによってチャンスが潰される現象にはさすがにモヤモヤ。
ていうか、1回1回敵に近づいて間合いを取りながら攻撃するという一連の流れ自体が遅くてストレスなんだけどね…。
バランスも微妙で全体的に硬すぎる。ダメージを抑える補正がかなり強めに感じました。ステータスの伸びに比してHPの伸びがそこまでではないってのが主要因かと思われます。ダメージの幅が少ないっていうか…。被ダメージも同様で、レベルを上げて装備を整えると特に痛い攻撃もなくなるので、ボスのような単純にHPの多い敵と戦うと、お互いにカスダメージ同士で殴り合うという展開になりがち。絵面が地味だし、戦略性、成長感、爽快感に欠けてなんだかなぁ~と。
総評:コスパはいいと思う。

少なくとも価格以上ではあった。
ヤクザファンタジーがヤクザジュブナイルへと変貌した印象があり、悪くはないものの、引っかかる点もちらほら。とはいえ、とはいえ、ストーリーは十分に楽しめる内容で、伏線の回収やキャラクター同士の掛け合いも魅力的ですし、寄り道が豊富なオープンワールドの面白さも存分に味わえました。
シリーズ初めての人やストーリー系の作品が好きな人にオススメです。
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