普段新作ゲームはあまりやらないのですが、流行と片付けるにもあまりにもバズりすぎているため(Steam歴代2位の200万人超え)、ゲームブログとしてプレイせざるを得ないなと思ってプレイを始めました。
2週間で総プレイヤー数約1900万人突破
リリース日 | 2024年1月19日 |
開発 | Pocketpair(ポケットペア) |
ジャンル | オープンワールド/サバイバルクラフト/モンスター育成/自動化 |
対応プラットフォーム | PC(Steam、Microsoft Store)/XBOX/Game Pass対応 |
価格 | 3,400円 |
プレイ時間 | 塔ボス全撃破まで約90時間 |
Palworld(パルワールド)は日本のデベロッパーPocketpairによるオープンワールドサバイバルクラフトゲーム。配信者による先行プレイ時から話題になった本作は、発売から2週間経った現在、ついに総プレイヤー数が約1900万人を突破しました。
Xbox版の大半はGame Pass利用者でしょうが、Steam版のみで考えても約1200万本売り上げたと聞くと恐ろしいばかりです。同時接続プレイヤー数はPUBG(当時は有料)に次ぐ有料ゲーム歴代2位の200万人超えを達成し、もうこれは単なる一時の流行を超えて歴史的な成功を収めたと言えるでしょう。
現在はPCとXboxのみでプレイが可能で、サブスクリプションサービスであるGame Passにも対応しています。Switch版やPS版など他プラットフォームへの展開については具体的な話は現時点ではありません。
開発は、Pocketpair(ポケットペア)という日本のデベロッパーが手掛けており、この「日本の会社」というのがパクリゲーと呼ばれる中でも多少なりとも心理的障壁を低減させたのではないかなと思います。
ゲームシステムについて
「Palworld(パルワールド)」のゲームシステムは、簡潔に言えばオープンワールドサバイバルクラフト+モンスター育成+自動内政です。広大な世界を舞台に、様々な素材を集め、それを利用して道具をクラフトし、その道具を使って新たな素材を手に入れ…といったサイクルを繰り返していくゲームです。空腹ゲージなども存在しますが、サバイバル自体は比較的容易で、冒険や探索のためのクラフトが主です。
注目はタイトルにもなっているように「パルモン」と呼ばれるモンスターが関わる要素です。捕獲したパルモンは最大6匹まで旅のパートナーとして連れ歩けるだけではなく、内政にも活用でき、半自動化拠点を築くことができます。
最終的な目標は、各地に存在するジムリーダー的存在をすべて倒すことですが、特に時間制限はなく、のんびりと進めることができます。ゲームには明確なストーリーは存在しませんが、冒険の中で手に入る手記を通じて、パルモンの存在やそれを利用する組織に関する情報など、少しだけ世界観について知ることができます。
感想:熱中しているわけではないのに時間が溶ける…
正直なところ、面白すぎる!という感じではなかったですね。多くの人が指摘しているように、ゲーム内容自体がそれほど目新しいものではないからです。風景はSwitchのゼルダの伝説、ゲームシステムは恐竜使役ゲーのARK、モンスターの見た目や愛嬌はポケモンに酷似しています。
しかし、その既視感を感じつつも、プレイをやめられない中毒性があり、気付けばプレイ時間は50時間経ってました。ここまで人を惹きつける理由は、以下の3つの要素に集約できます。まず、カジュアルゆえの遊びやすさが挙げられます。さらに、手も頭もノンストップな小忙しさが没頭感を生み、ボリュームの多さがプレイ時間を膨らませます。
中毒Ⅰ:見た目もシステムもカジュアル
既存のアイディアをパクりまくってるのは間違いないですが、それらを組み合わせたときの違和感がまったくないことがこのゲームの独自性、強みだと思います。この違和感のなさは、やはりカジュアルさからくるものだと思います。
特に見た目の重要性はかなり大きいです。なんといってもパルモンですね。ぱっと見のデザインはもちろん、ポケモンらしい仕草や愛嬌まで再現されているのには驚きました。
本作は単調な作業が多いクラフトゲーで、何度となく飽きを感じました。しかしそのような時でも、かわいらしいパルモンがせっせと働いているのを見ると、心が癒やされ、もう少し頑張ろうと思えました。見た目がモチベーションにも影響するというのは、自分にとっても新たな発見でした。
そのパルモン関連のシステムで、あらゆる面でクリティカルだと思うのが「タイプ(属性)」です。これはバトルでは弱点をつくタイプバトルとしての面白みがあるだけでなく、担当作業の役割も表しています。たとえば、料理や精錬など火を扱う作業には火タイプが適しているといった風に。これが直感的でわかりやすく、スムーズなプレイに一役買っていると思いました。もし任天堂から物言いがあった場合、デザインは変えてもなんとかなるでしょうが、タイプまで取り上げられたらこのゲームは終わるでしょう。
また、見た目以外のゲームシステムの部分も程よくカジュアルに仕上がっており、ユーザーフレンドリーな仕様が素晴らしいです。
たとえば、ベースとなっただろうARKで恐竜を捕獲(テイム)するには、トラップを用意したりテイム進行度に気を使ったりと行程が手間でした。しかし本作の捕獲は「HPを減らしてボールを投げる」だけで済みます。より上位のモンスター相手にも、ただボールのレア度を上げればいいだけなので、シンプルでわかりやすいです。
風景もリアルさは残しつつもややデフォルメされた質感であり、ドロップ品や資源が見つけやすくストレスが少ないです。他にも、施設の破壊で資材がすべてリターンされる利便性、内政しているだけで自分もパルモンもレベルアップするなど、あらゆる面で時短、手間が省かれた仕様で、非常にプレイしやすい環境が整っています。
さらに、永久的な損失(ロスト)がない点もポイントです。死んだ場合、プレイヤーは荷物をドロップしますが、すぐに回収できますし、パルモンも10分で復活します。死亡時のデメリットは進行がやや遅れる程度で、ゲーム進捗が後退することはありません。取り返しがつかない損失はほんのわずかで、リカバリーの心配をせずに進行に没頭できるのは、心理衛生的にも助かります。
中毒Ⅱ:没頭できる小忙しさ
メインはサバイバルクラフトで、プレイ時間の大半は素材の収集とクラフトに費やされます。面白いのは、これらの作業をパルモンに分業させることができる点で、素材集めやクラフトを仲間に任せている間に自分は探索を進めるというのがこのゲームの進め方になります。
効率的にプレイできる一方で、リアルタイムリソース管理ゲームのような慌ただしさがあり、一息つく余裕がありません。たとえば、拠点ではパルモンの体調管理と作業分担を第一に行い、その上でクラフトを進めます。拠点が複数あればそれらを巡回し、空き時間があればマップの探索、素材採集、パルモン捕獲、ダンジョン攻略などをこなします。そして日が暮れる頃には拠点に帰還し、再度パルモンの様子を確認します。そうこうしている間に襲撃や新レシピの解放などさまざまなイベントが次々と発生し、やれること、やるべきことが次々と増えて、ますますスケジュールが窮屈になっていくのです。
そのため没頭はしているけれど、自分の心を顧みる余裕がありません。
- Qこのゲームおもしろいの?
- A
忙しすぎてわからん。けれどなぜかめっちゃプレイ時間伸びてる。
というのが多くのプレイヤーの本音ではないでしょうか。自分としても気分的には熱中という感じではないのに、ついつい長時間プレイしてしまうことが多かったです。
これはもちろん巧妙な設計によるもので、絶え間なく押し寄せる情報の波と、報酬系を絶妙に刺激するクラフト要求素材のバランス調整が見事というしかほかないです。
中毒Ⅲ:ボリュームたっぷりでコスパ◯
リリース当初、売れているわりにはゲーム詳細についての具体的なレビューが少ないなと感じてましたが、それもそのはず、だってほとんどの人がクリアしてないんだもの。話題作ゆえプレイ途中での概観レビューもはばかられたのかなと。
実際、Steamの実績によると、ラスボスを倒したプレイヤーは1%以下です(まだリリース2週間の現段階で持ち出すには尚早かもしれませんが)。これは難しさゆえにというより、ボリュームのために、全クリアまで相当な時間と忍耐が必要とされるからでしょう。
ボリュームの多さの説明:100種以上のパルモンが存在し、個体ごとに能力が異なるほか、マイナータイプも存在します。クラフトできるアイテムも多岐にわたり、道具、武器(銃含む)、防具、料理、モンスターのためのアイテム、建築(インテリア)などがあり、設計図がアンロックされるスピードに実際のクラフトが追いつかないほどです(250種以上)。
また、オープンワールドのマップは広大で、新しいパルモンとの出会いだけでなく、商人やダンジョン、ボス(ジムリーダー)、希少なポケモン、謎の武装勢力…などなどのイベントが盛りだくさんです。
しかも、これでまだアーリーアクセスというね。公式発表のロードマップではさらなるコンテンツの拡充が予告されているほか、PCゲームなのでMODにも期待できます。このボリュームで3,400円はお得だと思います。
パルモン要素について
いろいろと話題のパルモン要素ですが、やはりこの要素あってこそだと思います。正直サバイバルクラフトだけだと単調で退屈です。
敵としてのパルモン:広大なオープンマップ上に存在する個性豊かなモンスター、パルモン。それを制するには暴力が必要です。最初は棍棒でも対応できるヌルいパルモンしかいませんが、徐々に槍や弓でも対応に困る強力なパルモンが現れ始めます。特にボス戦はかなり歯ごたえのあるバランスに設定されていて、しっかりと装備を整えて回避も頑張らないと捕獲どころか普通に倒すことすら難しいです。強力なパルモンの討伐、あるいは捕獲はクラフトの成果を発揮できる貴重な実戦機会であり、アクション的にもやり甲斐があって本作の1番楽しいところです。
旅のパートナーとしてのパルモン:捕獲したパルモンは最大6匹まで連れ歩くことができ、戦闘や移動補助に活用できます。パルモンにはそれぞれ特性が1つ存在し、プレイヤーの装備品や手持ちポケモンとの組み合わせによるシナジーが期待できます。本家ほどは洗練されているとは言い難いですが、戦略的な要素として可能性は大いに感じます。
自動作業システムとしてのパルモン:捕獲したパルモンは、拠点で作業に従事させることができます。素材掘りや食糧調達などの手間を肩代わりしてもらい、プレイヤーはその空いた時間で探索を進める感じですね。
素材としてのパルモン:クラフトに必要な素材は、パルモンを倒すか捕獲することで手に入ります。捕獲したパルモンを屠殺することによっても素材を得られるため、これがグロいとSNSで話題になりましたが、普通に野良パルモンを倒しまわったほうが効率的です。
癒やしとしてのパルモン:ポケモンのデザインを剽窃していると批判されている作品ですが、見た目以上に、愛らしい仕草までもが再現されているのもポイントです。パルモンがもたらすビジュアル的な愉しさが、サバイバルクラフトの作業的な退屈さを吹き飛ばす清涼剤として、心地よい癒やしを与えてくれます。途方もない疲労感を感じた日も、気絶するように寝入るパルモンの寝顔を見たら、また明日がんばろうと思えます。ビジュアルの力ってすごい。
残酷さはオマケ要素
本作が話題になった一因は、「おいおいポケモンっぽい見た目でそんなことしていいのか?」という自由度の高さでした。人間の捕獲…繁殖して解体…。なんでもありで面白いと思った人もいれば、嫌悪感を感じた人もいるかと思います。
実際にプレイしてみると、これらの露悪趣味は必ずしも通るべき道ではないことがわかります。あくまでもできることの1つであって、特別うまみがあるわけではなく、完全ノータッチで進行できます。食糧問題はオーガニックな解決法があるし、素材も捕獲することで獲得できるので、不殺プレイも可能だと思います。まあ…捕獲するまでのHPを削る作業(槍で突いたり銃で撃ったり)や、拠点で労働させる行為の代替策はないですが。
残酷な表現は故意に実装されたものに間違いないですが、強制的なものではなく、プレイヤーの倫理観に委ねられた遊び方の1つであり、各々が各々の価値観に基づいてゲームを楽しむことができます。個人的には遊び心として十分受け入れられました。
残酷表現はすぐに対応できそうな設計になっているので、食肉なども消した検閲バージョンが早めにリリースされるといいですね。そうなれば子供や動物愛護家でも楽しくプレイできるのではないかと思います。
良くなかった点
一方で気になった点もいくつかありました。
クラフトの冗長さ:クラフトできるアイテムは多いですが、類似品や上位互換品が早く登場し、クラフトしたアイテムがすぐに使い物にならなくなることがあり、クラフトの意味や達成感を感じづらかったです。また、素材の多くは探索で手に入るものですが、その探索のリスクが少ないため、単調で張り合いがないと感じられました。
素材の重複:設計図(レシピ)の要求素材は段階的に高くなっていきます。これはこれで目標設定のバランスが絶妙で素晴らしいとは思うのですが、要求素材の重複が多く、せっかく並行作業ができるのに、それが生かされない状況がもどかしかったです。スフィア(モンスターボール)や銃弾といった消耗品のコストもやや高すぎるかなという印象です。
スタック:拠点内のパルモンが段差などに引っかかることがあり、それが原因で作業が進まなかったり、餓死することがあります。ちょっとした段差にも階段を設けたり、フラットな拠点建設を心がけるといった対策はできますが、それでも事故死は頻繁に発生します。高低差移動に関する調整は必ずやってもらいたいです。(patch v0.1.4.0でいくらか改善)
襲撃イベント:定期的な拠点襲撃の難易度と報酬のバランスが見合ってません。最初の頃は露払い程度なのですが、レベル30を超えたあたりから敵の強さが急激に上昇し、1体倒すことすら難しくなります。頑張って倒したとて、ドロップ品に特別うまみもないため、ただ骨折り損のイベントになっています。そのため自分は途中から襲撃オフに設定しました。
オリジナリティの欠如:言わずもがな。結局のところ、パクリゲーとしては良く出来ているというのが最大のサプライズであり、全体としては既視感漂う驚きの少ない佳作というのが正直な感想です。
総評:非常にプレイしやすく作られた良ゲー
個人的には価格以上に楽しめた作品でした。プレイしやすくなったARKといった手触りで、クラフト要素がやや冗長に感じることもありましたが、何十時間プレイしても興味が途切れることはなかったのは、それに見合う魅力があったということで、普通に良いゲームだなと。
発想的には他所からの掻き集め感はあるものの、それらを総合的にまとめ上げ、カジュアルなプレイを実現したことは、1つの発明と言えるでしょう。プレイしやすさや見た目は、ゲーマーが軽視しがちな要素かもしれませんが、実は最も訴求力のあるポイントであることに気づかされました。やっぱりプレイしやすいって気持ちがいいですもんね。「ポケモンを手玉に取ったゲーム」といった認識をされがちですが、むしろゲーム性のみを信奉するコアゲーマーへの強烈なカウンターであるように感じられました。
今後のアップデートにも期待しています。
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