「実在の村に魔法が使えるダンジョンが現れたら」アクションアドベンチャー『Dungeons Of Hinterberg(ヒンターベルクのダンジョン)』の感想

4.0
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作品名Dungeons Of Hinterberg(ヒンターベルクのダンジョン)
開発Microbird Games(オーストリア)
リリース日2024年7月18日
ジャンルアドベンチャー、RPG、アクション、パズル
価格3,990円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam、Windows)
PlayStation5/Switch/Xbox OneXS
日本語対応あり
インストールサイズ約8.16GB
Steam評価非常に好評(93%)
プレイ時間約17時間
Q
どんなゲーム?
A

ゼルダ風謎解きアクションアドベンチャー+ペルソナ風交流システム

世界観とストーリー

舞台は実在するオーストリアの小さな村ヒンターベルク。長年スキー観光地として知られる地でしたが、ある日突然ダンジョンが出現したことで状況が一変! ダンジョンでは魔法が使え、非日常的な体験を求めて世界中から冒険家が訪れるように。

主人公ルイーザ

主人公のルイーザも、非日常を求めてヒンターベルクに来ました。そこで出会う人々との交流やダンジョン攻略を通じて、これまでの日常を見つめ直す、いわば自分探しの旅…になるのかどうか…。

ちなみに、ルイーザはゲーム中で「フロイライン」とよく呼ばれます。これは未婚女性に対する敬称で、日本語では「お嬢さん」くらいのニュアンスらしいです。

ゲームシステムについて

最大の特徴はペルソナシリーズのようなカレンダーシステムを採用していること。◯日目、△日目といった感じに1日単位で進みます。

1日の中にも朝、昼、夜といった時間区分があり、どの時間帯をどう過ごすかはプレイヤー次第。

主人公のモノローグ

は出発前のチルタイムといった感じで、意気込みを語るシーンや日数経過による共通イベントが発生するタイミング。

はダンジョン攻略の時間。ダンジョンは複数のエリアごとに配置されており、まずは本拠地からダンジョン周辺に向かい、そこからダンジョンの入口を探します。探す手間こそありますが、そこは「観光地」。案内板が設置されているので、道順に進めば容易に見つけられます。ファストトラベル地点も豊富で、移動のストレスはほぼありません。

ここでダンジョンに行かず観光スポットで「くつろぐ」という選択肢もあります。この場合、社交度(後述)やステータスにボーナスが入ります。淡々とダンジョン攻略を進めるゲームなので、プレイに疲れてしまった時のための息抜きシステムですね。

ダンジョンはゼルダライクの謎解きアクションで、アクションよりギミック寄りのバランスです。

ボリュームはコンパクトで、1ダンジョンあたり長くても30分ほどでクリアできます。

戦闘は固定エンカウント式で、敵と遭遇した地点周辺で戦います。弱攻撃、強攻撃、魔法、コンバット(スキル)、緊急回避などいろいろアクションはありますが、クオリティ的には「ちょっと凝ったミニゲーム」程度。ダンジョン攻略のメインは謎解きです。

はヒンターベルクの村に戻って買い物や装備調整をする時間。ペルソナでいう「コミュ時間」に相当し、人々との交流を深める時間でもあります。交流が進むと、攻略が有利になる様々なボーナスを得られます。

最初から誰とでも交流できるわけではなく、根暗はダメって人や、自分より格下を相手にしない人もいて、これに対応するのが「社交度」と呼ばれるステータスです。社交度はダンジョン攻略や人々との交流を通じて上がります。

以上、全体の流れとしては、ダンジョン攻略→村で準備&交流→再びダンジョン攻略、というサイクルで進みます。

最終的には全25のダンジョンを制覇すればゲームクリアです。

プレイ時間と難易度

ストーリークリアまでにかかった時間は約17時間。31日目でのクリアでした。難易度は易しめ。戦闘はほぼ連打。ダンジョンの謎解きも程よい難易度で、「ここキツかったな~」と記憶に残るほど行き詰まった箇所はありませんでした。

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感想:全体的に拙い印象は否めないものの…良作!

友達が休み時間にノートに描いたマンガみたいな、一級品ではないかもしれないけれど、「なんかいいなぁ」と思わせる魅力がありましたね。

キャリアの振り返りや彼氏との結婚について考える主人公

地に足のついた大人の旅行

「実在の村に魔法が使えるダンジョンが現れたら」という設定自体は珍しくありませんが、それを現実的な視線が描いているのがユニークだなと。ダンジョンは自然のアトラクション的な存在であり、村の観光資源の1つとして管理されています。訪れる人々も「特別な場所だけど、自分の人生が大事」という現実的な価値観を持っていて、さながらスキー旅行の観光客のよう。

特に主人公のモノローグが印象的で、ダンジョン攻略は楽しんでいるものの、日常を完全に忘れるほどの没入感ではなく、一定の節度を持って楽しむ感覚――その冷静さがファンタジーにしては生々しく、新鮮な世界観だな~と。

またBGMも寄り添うようなものではなく聞き入るような楽曲が多く、「ダンジョン楽しいぜ!」的な他の似た作品に比べると、だいぶ異質で大人な空気感の作品に感じました。

システム面ではペルソナシリーズを彷彿とさせる交流システムがユニークでした! 

交流が進むにつれ、ツンがデレに変遷していくパターンは同じながら、ノリがJRPGとは異なるので、自分とは違う文化圏を覗いている観察的な面白みというか…ヨーロッパの人がペルソナのセリフを考えるとこんな感じになるのかな?と内容より描かれる人物像に興味津々でした。

その中でもドラマ的な起承転結もしっかりあり、特にお気に入りはアレックス。互いに本音を…本音を…と高め合ってる感じがサイコーでした。

また、ダンジョンの設計も丁寧で、下手なパズルゲームよりよっぽど出来が良いです。初見では「こんなもんか」という感じでしたが、徐々にいろんなパターンが見られるようになり、加点方式でどんどん好きになっていきました。

道順や導線がわかりやすく、難易度もちょうど良いバランス。クリア時にはしっかり達成感が得られました。1ダンジョンの尺がコンパクトなのもプレイ時間が計算しやすくて良かったです。

ボス戦はギミックゲー

気になった点

一方で、アクションゲームとしての完成度は平均やや下レベルで、良くも悪くも特筆すべき点がない平凡なものでした。

操作が簡単な分、上達の余地がほとんどなく、最初から最後まで似通った戦闘展開になるのがつまらなかったですね。通常攻撃と攻撃コンジット(スキル)の連打で終わります。ボス戦だけはギミックが加わり多少の変化がありましたが、それも特筆するほどではありません。それでも、凝りすぎて不便になるよりは楽しみやすくて良いという見方もできるかもしれませんが。

ああでも、意外とハクスラとしての側面もあり、装備数こそ少ないものの、様々なオプション装備枠があり、カスタマイズの楽しみはありましたね。

細かな気になった点

  • 画面振動多め(オフにできる)
  • カメラ視点変更が多くて酔いやすい
  • ダメージ床が視認しづらい
  • 1人で過ごす時間のメリットが薄い
  • マリオみたいに慣性で滑るタイプ、でもジャンプがなくて調整が難しい
  • イベントが少なく、25のダンジョンを続けるモチベーションが保ちづらい

コンパクトながら良作

総じて、そこそこ楽しめた良作でした。「カジュアルに楽しめる観光ゲー」といった趣で、軽い謎解き、連打で終わる戦闘、そしてちょっとしたストーリー。良くも悪くも、コンパクトでまとまりがありました。

AAAタイトルと比べると見劣りする部分もありますが、その中で最大限に丁寧に作り込まれており、手抜きの感じは一切ありません。むしろ、あんまり期待してなかったせいか、「こんなのもあるんだ」と小さな驚きや感心が多かったですね。

たまにはこういうのも。

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Armed with a sword and a tourist guide, explore the beautiful alpine village of Hinterberg and uncover the magic hidden ...

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