これから始める人向けの攻略ポイント
- 最初は市場探索で医者と飯屋を探す
- スキルは最終的に全部取れる(再振りがあると便利かな)
- アクションは時限要素が発生する時もあるので、分散させすぎないほうが良い
- 赤ゲージドライブはダメ
- アクションによっては、活力(空腹)回復できるものがある
- 単発アクション(1回のみ)は美味しいので無駄にしないように
- アイテム交換系は上位アクションが出現することもあるので、全売りは避けた方がよい
- 低数値はハックで消費。暗号キー…キーノード
- 追加ストーリーはやることなくなってからでいい(時限が厳し目)
宇宙ステーションに逃げ込んだアンドロイドの物語
作品名 | シチズン・スリーパー(Citizen Sleeper) |
開発 | Jump Over The Age |
リリース日 | 2022年5月5日 |
ジャンル | サイバーパンク、TRPG、アドベンチャー |
価格 | 2,300円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC、Switch、PS、Xbox |
日本語 | 完全対応 |
インストールサイズ | 1.13GB |
クリア時間 | 11時間半(本編8時間+全クリ3時間半) |
シチズン・スリーパー(Citizen Sleeper)は、2022年リリースのSFロールプレイングテキストアドベンチャーゲーム。
ストーリー:簡潔に言えば、人間の心を持つアンドロイドが、スラムのような過酷な環境でがんばって自分の将来について考えるよって話です。
主人公(プレイヤー)は企業によって奴隷のように扱われる日々を送る「スリーパー」と呼ばれる人間の精神を有する疑似生命体。ある日逃亡を決意し、辺境の宇宙ステーション「アーリンの瞳」に漂着する。そこで出会う様々な人々との交流を通じて、自身の存在意義を模索する姿を描いた本格SFストーリー。
プレイ時間:エンディングロールが流れるまでのプレイ時間は約8時間でした。その後、追加ストーリー含めすべての要素をクリアするまでには、合計11時間半を要しました。
日本語:ゲームの日本語対応は、リリースから約2年後の2024年2月に行われました。この翻訳は時間がかかった分だけ、非常に高品質な仕上がりとなっています。
切れ味鋭い中にも人懐っこい茶目っ気もある、『シチズン・スリーパー』はこれまでに触れてきた洋ゲーの中でナンバーワンの翻訳でした。あまりにも素晴らしい翻訳なので、これはプロの仕業に違いないとクレジットを確認したところ、なんと直前にクリアした『Sea of Stars』の翻訳者だったようです。そちらのゲームはあまりハマらず、もしかしたら翻訳の問題も…と疑念がよぎるほどだったので、同じ人物が手がけたと知って驚きました。やっぱり作品によるんですかね?
基本的には読むゲーム
ゲームシステム:基本的には「読むゲーム」であり、新しいテキストをアンロックするトリガーとして、ダイス(サイコロ)を使用するTRPGシミュレーションっぽい要素が組み込まれています。
ノベルゲーム:左側に立ち絵、右側に文章という独自のスタイル以外は、クリックして読み進め、たまに選択肢があるという一般的なビジュアルノベルと同じ形式です。ただし、数行からなる文章はSF特有の専門用語も多く、ジャンルに慣れていない人にはとっつきにくいかもしれません。
TRPG:ゲームは「サイクル」と呼ばれる1日単位で進行し、毎サイクル開始時に、体力(状態)に応じてダイス(1~6)が振られます。このダイスは様々なタスクを実行するのに必要であり、すべてのダイスを使い切ったら現在のサイクル(1日)は終了、また翌日…という流れを繰り返します。
ドライブ(クエスト):新たな文章や探索地帯はクエストを進行していくことで解放されていきます。このゲームではクエストは「ドライブ」と呼ばれ、ドライブはダイスまたはアイテムを使用する「アクション」を指定回数反復することで完了できます。
解放順番や時間制限などに気を使う必要はありますが、出た目に応じてアクションを選択するだけであり、攻略難易度は非常に低いです。あくまでも読むことが主体の、雰囲気のあるミニゲーム的な立ち位置でしょうかね。
感想:平凡だけど非凡
非凡な文章力:話の傾向としては、アンドロイドが「人間ってなんだろう」、「生命ってなんだろう」と自問するよくあるテーマで、登場するキャラクターもドラマもオリジナリティに溢れているというわけではありませんでした。しかし、その緻密な人物描写や場面描写には卓越したものがあり、平凡なテーマだからこそ、その非凡さが際立っていました。
地の文の力:その文章力を支えているのが、地の文の表現力の高さです。一般的なビジュアルノベルは基本的に会話中心で進行し、細かい動作や表情などは効果音や表情差分で表現され、文章は補足的な役割を果たすことが多いですが、本作は効果音や差分が一切ない文章のみのストロングスタイルです。
「うなずく」「うつむく」「顔を背ける」「気色ばむ」「にっこり笑う」といった場面描写のための語彙力が豊富で、人物の表情や動きを描写する力は、自分がこれまでにプレイしたノベルゲームの中でもトップクラスだと感じました。なんかもう本当に小説ですね。
凝った部分がない文章:文章についてさらに付け加えると、全体的に良い意味で凝った部分がなく、作者の匂いが控えめだったのも良かったです。表現は端的でリズムが良く、SFテーマに特有の専門用語の使用も最小限に抑えられ、社会的なテーマについても、単純なステレオタイプに陥ることなく、フラットに描かれていました。この型にはまらず自然な文体であることが、ドラマに生々しさと純粋性を与えていたように思います。
「あなた」:語り手がプレイヤーではないというのも特筆すべき点かなと。このゲームで自分の行動は「わたしは」ではなく「あなたは」と表現されます。これにより、自分が主人公を演じるのではなく、演じさせられているような感覚になりました。
たとえば、難解な事柄を一瞬で把握できたり、自我について悩んでみたり、的確なワードセンスで切り返したり、これはリアルの自分には到底無理なことです。それなのに、ハードボイルドでまあかっこいいこと。話を半分も理解せず、「なんとなく無理だよ」と思って判断した事柄であっても、含みのある言い回しでかっこよく演出してくれるのです。まるで小説の中に入ったようなってやつですね。海外SF小説風の作品でこの体験が出来たのは、初めての経験でした。
ハートフルストーリー:肝心の内容についてですが、作品内で繰り返し描かれていたのは、様々な生命体の生きるための足掻きとそれによって生じる衝突でした。多くの場合、その原動力は個人的な動機によるもので、その源泉となる感情は、シンプルに誰かを思う感情や生きたいと願う生存本能だったりするわけです。
大局的に「スラム」だとか「反資本主義」だとか「分断から共生」といった風に俯瞰するのではなく、まさに今そこに生きる人々の生活や考えにフォーカスが当てられていて、宇宙をかける壮大なスケールとは思えない、身近な普遍的なテーマに、強く感情移入できました。仲良くなってからポツリポツリと身の上話を始める感じとか最高っす。つまるところ、ハートフルストーリーなんですよね。くそったればかりの環境でも、精一杯生きる人々から受ける前向きな希望と人間味のある暖かみが、読んでいて心地良かったし、心に深く響きました。
お気に入りシーン:やっぱりカタルシス的にも別れのシーンが最高潮でした。ドライブを終えた達成感とともに、晴れやかな表情の相手と向き合い、「じゃあな」とさっくり別れていくのが……。お互いに感動を共有しつつも、それを言葉にすることはなく、ただ分かち合う瞬間が、なんとも言えない感慨に満ちていました。本作は音楽も非常に良かったですね。
良くなかった点
大満足の作品でしたが、良くなかった点があったのも事実です。ざっと列挙すると以下の通りです。
やはりTRPG要素のゲーム性の低さが、だんだんと気になるゲームでしたね。最初はそこそこやりごたえがあるのですが、徐々に余裕が出てくると、ただの煩わしい要素でしかなかったです。せっかく成長要素もあるのだから、雰囲気補助以外の存在感がもう少しあればなあと。
また、任意セーブできないのも不便でしたね。気になる分岐も多い中、最初からやり直すのはゲーム性の問題もあって、かなり厳しいものがあります。
また、どこから進めてもいいマルチストーリー展開であるがゆえに、あちらでは平穏、こちらでは緊迫のような不整合が生じがちであることも、リアリティの面からどうなのかなと。時間制限が重なった時は地獄でした。
SF小説好きは絶対ハマる
完璧ではないかもしれませんが、その欠点すらも吹き飛ばすほどの大きな感動を得られたので、個人的には大満足の作品でした。
「ゲーム性低い」「海外製」「SFテーマ」「読むゲーム」という人を選ぶ要素満載の作品ですが、刺さる人には刺さる魅力があると思います。興味があったらぜひ。ゲームパス対応(2024年2月現在)で、Steamだとたまに50%オフで購入できます。
この記事上部に軽い攻略ポイントをまとめました。
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