Call of the Sea(コールオブザシー)の感想。ネタバレはできるだけ避けてます。
行方不明の夫を探すパズルアドベンチャー
『Call of the Sea』は、謎の病に冒されている主人公ノラが、南太平洋の謎の島で行方不明になった夫を探しに行く様子を描いたパズルアドベンチャーゲームです。
行く手を阻むパズルを解きながら、謎の文明の歴史や、主人公自身の謎の病気の正体、そして夫が行方をくらませた理由などを探っていくミステリ成分が強めの作品となっています。
開発はOut of the Blueというスペインの会社で、本作がデビュー作みたいですね。
Steam評価は非常に好評
全てのレビュー:非常に好評
リリース日:2020年12月8日
価格:2,050円(セールで頻繁に55%OFFに)
日本語化あり
英語音声、日本語UI、日本語字幕が標準であります。
メモが分かりづらかったり、たまにハングルが混じってたりと、完璧な翻訳とはいえないですが、あるだけありがたいです。
プレイ時間とサイズ
プレイ時間は約6時間。クリアしただけだと実績コンプリートはされていませんね。
実際にダウンロードしたサイズは37.66GBでした。
グラフィックは細部へのこだわりがすごい
6時間のプレイ時間に対してゲームサイズが37GBもあります。
それだけグラフィックに力を入れているということですが、一瞬見ただけではデフォルメされていて、そこまでのものには見えません。しかしよーく注目してみると、その作り込みに驚かされます。
まず最初に気付くのは、美しい自然の描写です。木漏れ日に照らされた花々は生き生きとしていますし、耳には草を踏みしめる足音や小鳥のさえずりが聞こえ、本当に自然の中を歩いている臨場感を味わえました。第一印象では、わざとヒーリング的な要素をいれたのかな?と思ったくらいです。
ただ、本作が本当にすごいのは、その自然の中に存在する「文化」の描き方です。
特に壁画は、文明の歴史を伝えつつ、パズルのヒントにもなるという、ミステリーとパズルの両面で重要なオブジェクトです。種類や数も多いですし、年月による劣化具合や、謎の傷跡がついていることもあって、そのディティールへのこだわりには、ただ感心するばかりでした。
文化を読み解く=パズルを解く
エリアの探索→行き場所がない→パズルを解いて先に進むというのが大まかなゲームの流れです。
障害物の1つみたいなものですから、パズルゲーム!というにはやや薄味かなというのが正直な感想です。イメージとしてはゼルダシリーズのダンジョン内での謎解きをちょっと凝ったものにした感じですかね。
パズルは謎の文明が作ったものですので、解決にはその文明の文化を理解することが不可欠です。文化の痕跡を探る→その意味を読み取る→意味に合致するようパズルを操作するという流れになります。まるで文化人類学者のような作業ですね。
パズルの目的が「意味を読み取る」ということに重点を置いているため、ルールにしたがって解く系のパズルが多かったです。IQテストっぽいですね。
難易度は中くらいかなと思います。一瞬で理解できたところもあれば、壁に当たって何度も試行錯誤を繰り返したところもありました。個人的にはかなり頭を悩ませた印象はあるのですが、プレイ時間がそこまでいっていないことを考えると、ちょっと考えればわかるくらいの難易度で揃っていたのかなと思います。
パズルを解く段階に至って特に気になったのが、主人公の足の遅さです。デフォルトの「歩き」は美術館を歩くような速度であり、シフトを押して走っても、たかだか早歩きといったところ。
規模が大きく歩き回るタイプのパズルが多いため、ただでさえ長い移動時間がさらに伸び、試行錯誤に時間がかかります。これがけっこうストレスでした。
グラフィックがすごい作品なので、周りに目がいくようにわざと攻略スピードを落としているのかもしれませんね。
後味スッキリの上質ミステリー
本作には、主人公の病気、夫の行方、謎の文明、という3つの謎があります。徐々に明らかになっていく過程や、明かされた後の展開も含めて、非常によく練られた上質なミステリーだと思いました。
ネタバレになってしまうかもしれませんが、ラヴクラフトの『インスマウスの影』からインスピレーションを得た作品だそうです。自分は元ネタ知らないので新鮮な気持ちでプレイしましたが、知っている人からすると色々と予想できる展開かもしれません。
クライマックスは真実がすべて出揃った後にあります。パズルと同じように、その真実から真相を読み解くことが求められ、ラストは自分自身で選べる選択制というのが粋な演出でしたね。
セーブ&ロードでどちらも観ましたが、どちらのルートも正解だと思います。ただ、個人的には「咳をしたほう」がトゥルーっぽいと思いました。
終わりよければすべてよし。
正直な感想を言うと、道中はあまり楽しくなかったです。足が遅くて移動はダルいわ、パズルもちょっと難しいし、主人公のノリにもちょっとついていけない。特にパイプオルガンのところは、雷雨で視界も悪いというのもあってストレスのピークでした。
振り返ってみると、そこがゲーム的にも1つの区切りとなる場所でしたね。そこからエンディングまであっという間でした。一気に核心に近づいて、引き込まれっぱなしでしたね。最初はイライラしてた足の遅さも、終盤はわざと歩いて雰囲気を楽しんだりしてました。
なんだかんだ、終わり方が良かったです。ミステリー的にもすべての謎が収束して丸く収まるのはスッキリしましたし、ドラマとしても、滋味深いというか、内面に深く入り込んでいて見応えがありました。完璧な作品ではないにしても、「終わりよければすべてよし!」という気持ちになりました。
ストーリーや雰囲気を楽しみたい人にオススメ
総合すると、全体的にクオリティは高めで、物語は文句なし、パズルは数が少ないがやや難しいという作品でした。バランスでいうと、ストーリー4、グラフィック4、パズル2といったところですね。
興味ある方はぜひ。
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