貴志祐介の傑作サイコホラー『黒い家』の感想。小説と映画の違いは?配信は?

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小説も映画も観てから書いています。

  • VODサービスはU-NEXTとHulu
  • 他は買い切りなど
  • 原作と映画では舞台やクライマックスの描写などが違う
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『黒い家』とは

『黒い家』は、1997年発売の、貴志祐介によるサイコホラー小説です。

同氏にとってはデビュー2作目となるのですが、デビュー作でもあった前作『13番目の人格ISOLA』では佳作だったのに対し、本作は第4回ホラー大賞を受賞しており、文句なしに前作超えどころか、貴志祐介史上でも最高傑作の呼び声の高い作品です。

2年後の1999年に映画化され、2007年には韓国で再度映画化されました。本ページでは、原作小説と1999年の映画について取り扱っています。

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『黒い家』の内容と魅力

『黒い家』の内容

内容を要約すると、「保険会社が働く主人公が、保険が下りるか下りないかを判断するために、死の真相に迫っていく過程でサイコパスと関わらざるを得なくなり困る」というものになります。

前半は事件の謎に迫るミステリーパートとして、後半は犯人とのリアルファイトもあるホラーサスペンスパートとしてそれぞれ読み応え、見応えがあり大変おもしろいです。

現実であり、全員人間である

シンプルに恐ろしいものに襲われるというだけで怖いのですが、本作の場合、それが現実であるということが、恐ろしさに迫真性を与えています。

というのも、「フィクションすぎる」と作り物感が出るからです。どんなに恐ろしい話でも、他人事感というか、所詮作り話だよなという感じを受けます。その点、本作は小説の中だけの話とは思えないのです。私達の日常と地続きの、つい隣町で起きた事件のような臨場感が本作の魅力です。

サイコパスの描写

今でこそ心理テストでサイコパス診断を楽しんだり、冷たい人を指してサイコパスだとからかったりするほど、サイコパスという言葉は社会に馴染んでいます。しかし、本物のサイコパスの恐怖はよく知られていないと思います。

サイコパスまがいが増えると、それが保護色となり、本物のサイコパスが目立たなくなる。

映画『黒い家』より

この作品の描くサイコパスにも、冷たい一面、たとえば人を物のように扱うところがありますが、それ以上に捕食者としての性質がよく描かれています。

肉食動物が獲物を狙うかの如く、人間が人間を狩っていく。捕食者と餌。同じ人間でありながら、まったく違う世界観を持った相手との対峙。その瞬間のひりついた緊張感も本作の魅力の1つです。

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『黒い家』の配信

『黒い家』はU-NEXTHuluで見れます。

AmazonやYoutubeなどでも買い切りの形で見れますが、2023年3月現在、月額制VODサービスで見られるのはU-NEXTとHuluのみです。

原作と映画の違い

小説と映画で、主人公のキャラクター設定、クライマックス、舞台(大阪と石川県金沢市)が違います。

主人公の性格とトラウマ

主人公にはトラウマがあるのですが、映画では細部が違っていたのと、そもそもトラウマがあることを明言されていませんでした。金魚のあれです。あえて隠して終盤に一気に暴露してストーリーに抑揚をつけるのかな?と思ってましたが、それについては触れずに終わってアレ?でしたね。

小説では、ヒロイン含めてそこらへんのパーソナルな部分がスッキリするのですが、映画版は大きな傷跡を残して終わっただけでした。

主人公の性格も、小説では、冷静で勇気のある優秀な会社員という描かれ方でしたが、映画だと、腰が低くオドオドした印象を受ける人物像でした。小説を読んだ限りだと悲鳴を上げるタイプではなかったです。

クライマックスの対決

クライマックスについても、小説では頭脳を駆使したサスペンス色が強いのに対し、映画はアクション全振りという形でしたね。尺的な問題でしょうね。個人的にはテンポが良い展開で悪くないと思いました。予想不可能な展開で、原作履修済みとはいえ最後までドキドキを抑えられませんでした。

ボウリング描写は見事

映画のオリジナル描写としてボウリングシーンがあります。小説から入った身としては、つまらない演出が挟まったなーと思っていたのですが、重大な事実が明らかになるシーンで、その描写に意味が生まれ、ミステリー的なカタルシスを映像で補強した素晴らしいシーンに仕上がっていました。素直に芸術として素晴らしいと思いました。感動しました。ボウリングはその後もキーアイテムとして登場するのですが、それは観てのお楽しみです。

サイコパスはなぜ生まれるのか

小説ではサイコパスはなぜ生まれるのかについて深く掘り下げていました。要は先天的か後天的かってことです。生まれつきなものか、脳の障害的なものか、環境的なものか、主人公とヒロインが意見をぶつけ合うのですが、両論併記として明確な結論はぼやかしていました。

映画では、明確に、どういうものかを示唆する解答を最後の最後に描写してました。なるほどーと思ったのですが、映画が初見だった人からは違和感あるシーンだったと思う人もいたようです。映画を観てよくわからなかった人は原作小説を読むことをオススメします。

感想

貴志祐介作品は大好きでしたが、本作に関しては長い間避けてたんですよね。あんまりホラー小説には興味がなくて。読んでない余ったやつを読んだくらいのノリで読んだのですが、驚きの面白さでしたね。夢中になって読めました。ずっと気持ち悪さが残る感じで、早く振り払って欲しいからページをめくる手が止まらず、気付いたら読み終わってました。ミステリーとしてもホラーとしても傑作です。終わり方も貴志祐介作品にしてはポップというか、ちゃんと着地しましたね。

映画のほうも大満足の出来でした。なんといっても大竹しのぶの存在感でしょう。失礼かもしれませんが爬虫類っぽい顔つきと、調子外れの感じがキャラクターに激ハマりでした。夫を演じた西村まさ彦もまた恐ろしかった。じっと見つめているだけで怖い。それに加えてあの奇怪なリズムが、妙に耳に馴染んで怖かった。

映画自体あまり観ることはないんですが、カメラワークも凝られていて良いなと思いました。対峙が多い作品なので、顔だけ写した主観映像が多く、迫力満点でした。逆にいうと、主観が良すぎるため、引いた画が若干弱めに見えることでしょうか。黒い家での戦いも、小説では物音だけで、姿が見えないゆえの恐怖があったのに、映画だと犯人を全部写していたので、迫力に欠けていたと思います。

お気に入りは海水浴のシーンですね。Huluだとサムネになってます。関係性が判明する重要なシーンです。なんですあのダサさは? 時代が違うこともあって、違和感あるのが逆にスタイリッシュでクールでした。小説にないオリジナルなのもあって、妙に印象に残りました。

金石の演技も良かった。別に補足されてなかったけど、小説読んだ人ならわかる演技で、とても上手だなと思いました。

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