高校生の圧倒的青春パワー!!【TARITARI(たりたり)】の感想

4.0
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笑ったり、泣いたり、歌ってみたり。

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ひと夏限りの合唱部

TARI TARI(たりたり)は、P.A.WORKS製作の2012年に放送されたテレビアニメ。

舞台は神奈川(藤沢/鎌倉)の高校。個性豊かなキャラクターが集まった合唱部の活動と、それぞれのキャラクターの人物模様を描いた青春群像劇です。

ずっと興味はあったのですが、後回し後回しで気付けばもう10年も経過していました…。

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粗はあるが、パワーはそれ以上!

正直な感想、万人受けするかどうかは微妙なところです。

シビアに評価すれば、リアリティに欠ける設定や状況、ユーモアの質、テンポの遅さなど、気になる点は数多くあります。けれど、それらが些細なものと思えるほどのポテンシャルがありました。

一言で言うと、圧倒的青春パワー!!

すべての悩みが青春の勢いと共にポジティブな方向に昇華され、最後は全員笑顔で締めくくる。若者が頑張る→笑顔。これに文句をつけるのは野暮という感じがします。

「面白い」「よく出来ている」といった表面的な評価を超越し、感覚的に「いいなぁ」と感じられる作品でした。

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完全初見での感想

あらすじや前評判を一切調べず視聴を開始したので、最初は物語の展開に戸惑いました。タイトルの意味もよくわからなかったしね。

ストーリーは「奇天烈な少女が合唱部を設立し、そこに個性豊かなキャラクターが集結して…」という昔よくあった日常系部活を彷彿とさせるテンプレ展開でした。しかし、進行はうまくいってんだがいってないんだか分からない感じなんですよね。

一直線に合唱部活動!でもないし、とにかく歌の力!という感じでもない。オープニング映像からは仲良くなる雰囲気は伝わってくるのに、本編ではそこまで仲が良いってわけでない。かといって嫌い合ってるわけでもない。

濃い友情物語というよりは、むしろ自発的に集まって楽しむサークル活動のような空気感で、仲間同士での衝突もほとんどない平和な空間。

海が映える美しい町と、この絶妙な距離感と独特な雰囲気は、ストーリー云々の前に、ただ見ているだけでも、浸っているだけでも、癒やしの効果がありました……。

描かれ方は不平等

で、物語が進みにつれ、明確な主人公がいない群像劇だということが次第にわかってきます。

誰か1人に焦点を当てるのではなく、それぞれのキャラクターを掘り下げていくという構成ですね。ただ、その掘り下げの深さはピンキリで、1話でサクッと終わることもあれば、数話にわたって丁寧に描かれるドラマもありました。やや男性陣不遇。

印象的なキャラクター

印象に残ったキャラクターはやはり和奏(わかな)ですかねぇ~。分量的に言えば彼女は主役級の描かれ方をしていました。TARITARI=ほぼ和奏のストーリーと言っても過言ではないでしょう。

他のキャラクターが結構類型的というか、よくあるタイプのキャラクターばかりだったので、和奏についても、よくあるパターンのやつでしょ、というのが最初の印象でした。しかし、徐々に事情が明かされ、本心が浮き彫りになったときにはもう、、、かわいそうでかわいそうで、、、。急転からの自己嫌悪、そして受容に至るまでが丁寧に描かれていて、本作で1番心を打たれたエピソードでした。

ストーリー終盤は和奏が元気そうにしている姿を見るたびに、心がほっこりと温かくなりました。良かった良かった…。ハッピーエンドが持続しているような感覚。

内面と向き合う

こういう仲間が集まる系の作品では、仲間同士で意見をぶつけ合って答えを探る…というものが多いですが、この作品では仲間同士であっても絶妙な距離感が保たれたままでした。他作品に比べるとやや淡白な感じもしますが、個々の事情に立ち入りすぎずに、けれど気を使っている素振りを見せる様子は現実社会でもよく見かける光景で、その点で非常に日本的でリアルだなと。

周りは寄り添うだけってのがいいですよねー。仲間から影響を受けることはあっても、納得できる答えは自分自身からしか生まれないんだと。下手に説き伏せられるよりも、よっぽど説得力がありました。

良くも悪くも突き抜けた展開

設定面ではいくつか無理がありました。

そもそもが高3の夏からのスタートってのもそうですが、終盤の閉鎖云々のところはさすがに変で、ちょい熱が冷めました。

しかし、逆にリアリティがないことが本作の魅力の一部でもあるんですよね。特にキャラクターたちの大胆な行動……公衆の面前での熱唱、2人だけの発表会、クライマックスでの劇など、度胸がすげぇなと。そこまでやったら許さざるを得ないというか、普通の設定では引き出せない強烈なインパクトがありました。

昔だな~

古すぎるとまではいかなくても、やっぱり10年前の昔のアニメだな~と。時代を感じさせる要素がいくつもあり、若干のノスタルジーを感じました。

まず思ったのは、テンポがゆっくりだなと。退屈なわけではありませんが、穏やかで牧歌的というか…進行が少し鈍い感じがしました。

時代設定も、ガラケーが主流で、音楽はCDで聴かれ、動画サイトといえばニコニコだったりと、10年前といえども、すでに歴史の一部と感じられますね。

キャラクター設計も、部長は奇天烈、ウィーン帰りは天然、嫌な大人は嫌なまま…といった感じに、妙に表面的というか、一属性的に映るのも、今の基準では物足りない感じもします。単に尺不足の問題もあるかもですが。

アニメーション面では、日常の中に突如ヌルヌルと動く瞬間が多くあり、「ここで作画がんばるの?」みたいなノリが昔あったことを思い出して懐かしい気持ちになりました。今はもう大体すごいですからね…。

とにかくポジティブ

観終わっての率直な感想ですが、しみじみ素晴らしい作品だったなーと。

ところどころで疑問に思う部分もありましたが、それと同時に感動的なシーンも多く、見応えがありました。

気に入ったのは、とにかくポジティブな作品だということ。普通は最終回に向けてより複雑に、泥沼化していくようなものが多いですが、『TARITARI』は回を追うごとに問題が解決され、物語が明るくなっていくんですよね。尻上がりに面白くなる作品はいくつかありますが、尻上がりに明るくなっていく作品はそうはないでしょう。

手放しで絶賛はできませんが、心に響くものがあったのは確かで、忘れられない作品になりました。

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