作品名 | 9時間9人9の扉 |
開発 | スパイク・チュンソフト |
リリース日 | 2009年12月10日(DS版) 2017年3月25日(PC版) |
ジャンル | ビジュアルノベル、ミステリー、脱出ゲーム、パズル |
価格 | 3,190円(Steam) |
対応プラットフォーム | DS/iOS/PS Vita/PS4/XB1/XSS/XSX/PC] |
日本語対応 | あり(フルボイス) |
インストールサイズ | 約6.96GB(2本セット) |
Steam評価 | 非常に好評(93%) |
プレイ時間 | 12時間(真エンド到達) |
2009年にDSで発売され、スパイクチュンソフトの極限脱出シリーズとして3作続いたシリーズの1作目。
プレイしたのはPC版。
Steamでは『9時間9人9の扉』と『善人シボウデス』の2本がセットになった『Zero Escape: The Nonary Games』として販売されています。
- Qどんなゲーム?
- A
ビジュアルノベル+脱出ゲーム
基本的には文章を読むゲームで、その合間に脱出ゲームが挿し込まれる感じですね。
大まかなストーリーは、以下。
- 突然閉じ込められ、強制的に脱出ゲームに参加させられる
- 9人で協力したり、時に対立したり
- 謎めいた黒幕の存在に迫るミステリー要素も絡む
ゲームを進めるうちに真相が明らかになる…という定番の展開です。
マルチエンディングとフローチャート
ストーリーには分岐があり、選択によってエンディングが変わります。
真エンドに到達するにはいくつかの鍵が必要ですが、フローチャートからいつでも好きなシーンに飛べるので、回収は比較的楽。
脱出パートの印象
脱出パートはオーソドックスなポイント&クリック型。
各パートは10~20分程度で、集中力を持続させやすく、テンポの良さが心地よかったです。ちなみに「9時間」とタイトルにはありますが、脱出ゲーム自体には時間制限はありません。
手がかりは無駄がなく、疑わしい場所にアイテムを使うだけで解決できる場面が多く、謎解きのヒントも適度に用意されているので、全体の難易度はだいぶ低めに感じました。
感想:思っていた以上に「読む」ゲーム
このシリーズは、昔にDSでプレイしたことがあるのですが、そのときは序盤でクリアを諦めてしまい、ただ難しい脱出ゲームという印象だけが残りました。再度興味を湧いてプレイしてみたのが今回。
で、思ったのは、これはビジュアルノベルだなと。
プレイ前はひたすら脱出ゲームという印象だったので、読む分量が多くてちょっと予想外でした。ストーリーは意外とよく練られていて、少なくとも脱出ゲームのオマケという感じはしなかったです。むしろ、ノベルゲームに脱出ゲームが付属している感じですね。
脱出パートの方も、わりと肩透かしというか、思っていた以上に簡単で驚きました。もしかしたら自分が前にプレイしたのは続編だったのかもしれません。少なくとも今回プレイした『9時間9人9の扉』は、パズルゲームの中ではかなり易しい方に分類されると思います。とはいえ、ところどころ手が止まる場面もありましたが。
主観視点の良さ
正直言うとストーリーはドハマリするほどではなかったけれど、デスゲーム的な緊張感のある雰囲気はとても良く、没入感を持って楽しむことができました。実力ある声優陣による迫力のある演技も印象的でしたが、それ以上に良かったのは「主観視点」で描かれている点です。
脱出パートはもちろん、ノベルパートでも少しの移動で頻繁に背景が変わる演出が細かく作られていて、実際に自分が移動している感覚がありました。例えば、
「廊下を移動→エレベーターが開く→乗る→降りる→再び廊下を移動→部屋に入る」
といったように、移動の各段階ごとに背景や効果音が切り替わるため、臨場感がありました。無機質な空間の中でも、この演出のおかげでリアルに閉じ込められている感覚が味わえ、ダンジョンRPGに似た体験ができたのが面白かったです。
また、文章表示の際にADVとNOVELのスクリーン表示を選べる点も嬉しいポイント。ビジュアルノベル好きとしては、やはり集中して読み進められるNOVELモードが好みです。
良くない点について
ビジュアルノベルなんでね、やはりストーリー。
全体的に非常にカジュアルで、良く言えば優等生、悪く言えば類型的。それでも世界観の広がりや、意外性のあるトリックが巧みに盛り込まれており、ただの「よくある展開」では終わらない点には感心したし好感も持てました。ただまあ、終盤の展開にはいろいろと驚かされました。特殊設定ノリ。
このゲームは主観視点で臨場感を味わえるのが魅力ですが、終盤にかけての展開で、主人公の内面が強く表れて、ドラマ性は高まったものの、プレイヤーである自分との一体感や主観性が薄れてしまったように感じました。オカルト要素はぜんぜん歓迎ですが、理屈やドラマの整合性がもう少し強ければもう少し感情移入できたかな~と。ネタバレを避けるために詳細は控えますが、めっちゃスッキリって終わり方ではなかったです。
ストーリー以外の部分では、中盤以降のパズルにおいて、資料を見ながらプレイできないのがやや不便でした。まあこれはDSの移植作ですし、画面の制約があったのかもしれません。また、メモを取らないと進めにくい場面もありました。個人的にゲーム画面だけで完結できないギミックはあんまり好きじゃないのでプレイしていて苦しかったです。
総評:ドキドキ感を味わえる程よい難易度の良ゲー
「感動するストーリー」よりも、ホラーやサスペンスの緊張感を楽しむ作品。
脱出パートの難易度は程よく、サクサクと解けるのが爽快でした。また、1パートが10~30分程度と区切りが良いため、まとまった時間が取れなくても少しずつ進められる点も良かったですね。私自身もコツコツと進めるタイプでしたが、セーブする際にそのままゲーム終了の案内までしてくれるなど、システム面の細かな配慮も◎。
個人的には良作だと思っていますが、手放しでオススメできるかどうかは微妙なライン。ただ、コスパは大変良い。2本セットでよくセールになっているので(600円くらい)、ノベルゲー好きやパズルゲー好きはチェックしてみてください。
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