逆裁風パズルゲーム!!でもミステリーは期待しちゃダメ。【パズル探偵スカウト】の感想

3.5
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最後には次回作への伏線が…。

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パズル+ビジュアルノベル

パズル探偵スカウト(英題:Murder by Numbers)は、Mediatonicによるパズルとビジュアルノベルを組み合わせた2020年3月発売のゲーム。Mediatonicはフォールガイズの開発元として有名ですね。

本作は逆転裁判風のアドベンチャーパートピクロス風のパズルパートから構成されています。

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クリアまで30時間弱

難易度ノーマルでストーリークリアまで約30時間かかりました。

パズルゲームに慣れていない自分でこれくらいでしたので、慣れている人ならもっと早くクリアできると思います。なお、パズルが苦手な人向けにイージーモードやアシスト機能なども用意されており、クリアするだけなら非常に簡単だと思います。

また、標準で日本語化済みでしたが、クオリティは普通といったところです。最上ではないものの、しっかりと理解できるレベルでした。

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ストーリーは推理ドラマ風

舞台はロサンゼルス。主人公は推理ドラマ『殺人ミス・テリー』の探偵役を演じていたホナー・ミズラヒ。

しかし、ある日突然クビを宣告されてしまいます。そこに突然現れたのがスカウトと名乗る謎の偵察ロボット。

自身のクビの謎、それに関わる殺人事件、そしてスカウトの正体…。

スカウトのスキャン能力に支えられながら、ホナーはまるで本物の探偵のように事件に挑む…というストーリーになります。

ストーリーは4つのエピソードで構成されており、アドベンチャーパートでは、登場人物から聞き取りをしたり、後述のパズルパートで手に入れた証拠品を突きつけたりできます。これらを総合して最終的な推理を行うフェーズもありますが、すべてノーペナルティで進行するため、難易度的には非常に低いと言えます。

「現場捜査」「聞き取り」「突きつける」、さらには、文字が表示音の「ポポポ」から、どことなく逆転裁判を思わせるゲーム性で、Steamレビューでも同作の名前を挙げている人が多かったです。

しかし、実際のプレイ感としては、逆転裁判ほどミステリーはしておらず、推理ドラマ風のバディモノといった味付けになっています。

他にもレビューでは、ビジュアルノベルでよくある「効果音→画面グラグラ」系の演出への不評が多かったようですね。個人的にはまったく気になりませんでしたが、パズルで目を凝らすことの多いゲームなので、光ったり揺れたりする演出が過剰に気になってしまうのかもしれません。

証拠品集めはイラストロジックで

アドベンチャーパートで使用する証拠品はパズルで発見することができます。

パズルはいわゆるイラストロジックと呼ばれるもので、ルール(ロジック)にしたがってマス目を埋めていくと、最終的に絵が浮かび上がってくる仕組みとなっています。お絵描きロジックや、ノノグラム、ピクロスと呼ばれるものとルールは同一です。

自分はこういうパズルは数独(ナンプレ)しか経験がなく、イラストロジックは初めてでしたが、徐々に手がかりが増えていく過程が面白かったです。ただ、1つでも間違えると、次々と間違えることになるので、ノーミスが好ましく、そのために集中力が求められるパズルで非常に疲れました。

個人的に「数字が複数ある場合はその順番通りに塗る」というルールを把握してなかったので最初の方にかなり苦労しましたね…。

たとえば、上の画像の左から1列目のように端っこが塗れたら、左側の数字は確定で塗ることができます。

こういう論理パズルでは、とりあえず初手の全ローラーでなんとなくレベルが測れるものですが、後半の初手はまぁ開きませんでしたね。道筋が複数ある時点でパズル難易度的には大したことないんでしょうけど、こういうパズルに慣れていない自分には難しかったです。

時間もすごいかかって、1問解くのに20分かかることもザラでした。

アシスト機能もあります。

ヒントを表示」は次に埋められるマスのある行と列が自動で色付けされます。この機能にペナルティはないので、自分はつけっぱなしでプレイしました。

ランダムにマスを埋める」「間違いを確認」を実行すると、その通りの効果を得られますが、ゲームスコアが下がります。ゲームスコアを高めるとストーリー外で楽しめるボーナスパズルがアンロックされます。

上のパズルを解いた結果…

イラストは正直わかりにくかったですねー…。マス目が少なくて解像度が低いというのもあるかもですが、王水とかUPSとか特殊な題材が謎に多かったです。色がついても何がなんだかわかりません。絵から推理して埋めていくことはまず不可能でしょう。

感想:思ってた以上にパズルゲーム

×パズルで息抜きできるビジュアルノベル

○ビジュアルノベルで息抜きできるパズルゲーム

とにかくパズル!パズル!パズル!プレイ時間の大部分はパズルでした。中盤あたりから1問10~20分超えが当たり前になり、それでいて数も多い!

パズル(20分)、ストーリー(5分)、パズル(20分)、パズル(20分)、パズル(20分)てな感じで、ストーリーに入り込む間もなく、ずっとパズルばかりやっていた印象です。完全に詰むことはなかったものの、骨が折れるなぁという感じでした。

Steamレビューだと、「パズルは面白い」「ストーリーは微妙」みたいな評価が多かったのですが、これはストレスレスでパズルを解けた人の感想かなと思います。

自分みたいにパズルに慣れていない人間からすると、相当難儀して解くパズルの合間のストーリーは、脳を休める休憩ポイントとして、またアクセントとして、むしろ助かる存在でした。といっても、際立って良かったわけではありませんが…。

ストーリーに推理を期待してはダメ。

ストーリーは「推理」「探偵」を押し出した作品のわりには、ミステリー的な妙味に欠けているように感じました。

トリックという概念はなく、最終的な決着は決定的な証拠品が見つかるか否かだけであり、証拠品の関係性や証言の矛盾などから事件に迫っていく面白みを感じられませんでした。

これはパズルによって得られる証拠品を大きく描くためだと思いますが、結果としてミステリー要素が薄れているなぁと。

キャラクターについては、一見アニメ調でキャッチーに見えるものの、実際には大人のリアルな関係性が多く描かれています。ただ、深い洞察はあまり見られず、どこか低年齢層向けや教育的な意図を感じる箇所もあります。そのため、大人っぽさと子供っぽさが併存しており、アンバランスな印象を受けました。

個人的な感覚として近いのは、落ちゲーや格ゲーのストーリー。それらに比べると肉厚ですが、あくまでもパズルが主軸であり、ストーリーはオマケみたいな感じでした。

仕様面について

大きなバグもなく、動作もサクサク遊べるゲームですが、まれにヒントがズレているときがありました。あと、「間違いを確認」の表示がすぐ消えてしまうため、複数個間違いがあったときにすべて把握するのが困難でした。

セーブは基本的にオートセーブですが、いつでもセーブすることができます。その時に「ゲームデータのリセット」というのが同時に表示されますが、これを押すと本当にデータが消えるので注意です

セーブした後に終えるには、キーボードのXで戻って、「タイトルに戻る」→「デスクトップに戻る」を選びましょう。

他にもヘルプを見ると進行不可能になったりしますが、これも「Xで戻る」で大丈夫です。Steamレビュアー様のアドバイス通りでした。

あと、効果音にも字幕がつくので、聴覚障害のある人でも楽しめる仕様になっているのは素晴らしいと思いました。

パズル好きにオススメ

分量でいうと、圧倒的にパズル。とにかく大量にイラストロジックを解きたいという人にオススメです。

ストーリーのみに興味のある人はイージーでサクサクと進行していくのがいいでしょう。

Steam

Epic

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