「なんとか33」こと話題のフランス製ソウルライク×JRPG『Clair Obscur: Expedition 33』の感想

4.5
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ゲーパスで! ネタバレなし!

Q
どんなゲーム?
A

コマンドバトルとパリィアクションを組み合わせた、独特の戦闘システムが話題のフランス製JRPG

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作品概要

作品名Clair Obscur: Expedition 33
(クレール・オブスキュール・エクスペディション33)
開発Sandfall Interactive
リリース日2025年4月24日(Steam)
ジャンルRPG、ソウルライクアクション、ターン制、JRPG(?)
価格7,480円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam,Epic,Windows)
PS5
Xbox Series X|S
日本語対応あり(インターフェイスと字幕)
インストールサイズ約40.79GB
Steam評価非常に好評(95%)
プレイ時間約26時間~(ストーリークリア)

開発は元UBIソフトのスタッフによる、30人ほどの小規模チーム。大々的なプロモーションは行われなかったものの、独自の戦闘システムや圧倒的なビジュアルが話題を呼び、SNSを中心に大きな注目を集めました。すでに「今年のGOTY候補」と評する声も多く、2025年上半期を代表する1本なのは間違いないです。

タイトルの「Clair Obscur(クレール・オブスキュール)」は絵画などで用いられる「明暗法」を意味し、より一般的には「光と影」というニュアンスも含んでいます。「Expedition 33」は「第33遠征隊」のことを指しており、つまりタイトル全体をざっくり訳すと「遠征隊33~光と影~」といったところでしょうか。

なのでノリ的には『龍が如く7~光と闇の行方~』とあんま変わらない…わけないか!

日本語話者からすると、タイトルがやや馴染みにくいこともあり、SNSなどでは「なんとか33」の愛称で浸透したところがあります。メディアでは「クレオブ33」「エクスペディション33」「COE33」という略称をよく見かけます。

ストーリーはざっくり言うと、進撃の巨人的な世界観

この世界には、ひとつの絶対的なルールがあり、それは――モノリスに刻まれた数字以上の年齢に達した人間は、世界から抹消されてしまうというもの。

その数字を刻むのは、「ペイントレス」と呼ばれる謎の存在。人類はこの理不尽な運命を変えるべく、これまで何度も遠征隊を送り込みましたが、誰ひとりとして帰還した者はおらず。

そして今、新たに刻まれた数字は「33」。

希望は薄れても、「今度こそは」と第33遠征隊が旅立つ!

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感想:プレイ感はまんまソウルライク

面白かった!

普通に楽しくプレイできましたし、映像の迫力にも終始圧倒されっぱなしでした。

プレイ前はJRPGが引き合いに出されているのをみて、いろんな意味で「なーんだ」と少し身構えていたのですが、実際に触れてみて、開始1時間もしないうちに、その完成度の高さにすぐに引き込まれましたね。

戦闘の面白さもありますが、1番強く印象に残ったのは、やはりグラフィックと演出です。「この演出がいい」「このシーン好き」「きれい」「かっこいい」だけじゃなくて、すごすぎて「息を飲む」ようなシーンがいくつもある。これはなかなかない体験でした。写実寄りのビジュアルなので、アニメ調が苦手な方も手に取りやすいと思います。

他のゲームでたとえるなら、

ソウルライクっぽいFF10

って感じが近いです。

FF10をやったことない方向けに説明すると、

  • 世界は広そうに見えて、実際の攻略はわりと一本道
  • イベントはムービーゲー
  • タイムラインが表示されているターン制コマンドバトル
  • 等身大のキャラクター描写中心
  • やや悲劇寄りのストーリー

といった作品で、本作もそれにかなり近い印象でした。

特にJRPGとのつながりを強く感じたのは、キャラクターの描き方ですね。ストーリーが怒涛のように展開していくというよりは、キャラクターの反応や内面の揺れ動きが丁寧に描かれていて、しかも反応がリアル寄り。

たとえば悲劇的な出来事が起きたとき、即座に「うわー! しくしく……」と泣き崩れるわけではなく、「……なにこれ」みたいな戸惑いから始まって沈黙する感じ。そして人間関係のギクシャクで気まずくなったり、喧嘩後には、少しずつ、ぽつりぽつりと飾りのない言葉が漏れてくる。その生々しい空気感や、叙情的な音楽も相まって、FF10っぽいな~と。

ソウルライクなターン制コマンドバトル

一方で、ゲーム性については「ターン制コマンドバトルの進化系」なんて言われることもありますが、実際にプレイして感じたのは、根本にあるのはむしろソウルライク的アクションだなと。

念の為補足すると、ここで言う「ソウルライク」とは、フロムソフトウェアの『ダークソウル』シリーズなどに代表される、いわゆる死にゲー的なゲームのことです。具体的には、

  • 死に覚え前提の高難易度
  • 自由セーブはなく、チェックポイント制
  • スタミナ管理が大事
  • 敵の攻撃をタイミング良く弾くパリィが鍵

といった要素が特徴になります。

本記事では、「タイミング重視のパリィ中心のゲーム」という意味で「ソウルライク」という表現を使っています。

パリィが完璧なら無敵!~緊張感と爽快感のある戦闘~

本作のバトルは、基本的には「1ターンにつき1キャラが1行動を選ぶ」タイプのオーソドックスなターン制コマンドバトルなのですが、防御面においては完全にアクションゲーム寄り。ほとんどの攻撃をパリィで防げる、まさにパリィゲー。

魔法だろうが、ボスの強力な攻撃だろうが、(一部をのぞき)すべてパリィ可能。しかも、単に防ぐだけでなく、パリィが成功すれば反撃が発生したり、AP(MPのようなもの)を回復できたりと、リターンもしっかり高い。

極論、パリィさえ完璧なら、どんな敵にも勝てます。

とはいえ、敵ももちろん手加減はなし。連続攻撃やディレイ(攻撃タイミングのズラし)のオンパレード。毎回しっかりと動きを見極める必要があり、アクション要素としての難易度は高め。そのぶん、うまくパリィが決まったときの快感は格別ですが。

手触りの良さが光る操作感

アクションの手触りも非常に良好で、ジャンプとパリィの使い分けや、途中から登場する特殊な防御アクションなど、操作の幅も豊か。コマンドRPGでありながら、リアルタイムアクションに近い緊張感と爽快感があるのがユニークでした。

個人的に地味に嬉しかったのが、攻撃コマンドのレスポンスの速さ。バーッとボタン連打しても、まったく引っかかりや変な間がなくてスムーズにサクサク進みます。まさにアクションゲームかのよう。コマンドRPGをいろいろやってきたからこそ、感心したポイントでした。この爆速なレスポンスも、全体の手触りの良さを支えている要素のひとつだと思います。

パリィ回避
入力猶予短い(難しい)長め(簡単)
ダメージダメージ無効ダメージ無効
その他リターンカウンター、AP(MP)回復なし

防御アクションとしては、パリィのほかに回避もあります。

回避の方が成功しやすい反面、パリィの方が成功時のリターンが大きいので、「基本はパリィを狙い、保険として回避もあるよ」って感じ。

自分のプレイでも、まずはパリィに挑戦してみて、「これはムリだな」と思ったときだけ回避で妥協という使い分けをしていました。リスクオフ的にリスキーなパリィを避ける…といった判断をするときもあり、序盤だけでなく、終盤までけっこう回避にお世話になったあたり、意外と神バランスだったかも。

難しさと革新性について~死にゲーをカジュアルに~

ソウルライクは確かに面白い。でも、「死にゲー」と呼ばれるほど、試行錯誤を強いられる、精神的にハードなジャンルでもあります。

難しくね?

と構えてしまう人も多いはず。

実際のところ、「イエス」。

ボスには第2形態があるのが当たり前。5連続攻撃にディレイ、そして回避できないギミックも盛り込まれており、初見全対応はまず無理。何度かやられて、動きを覚えるしかないタイプの作りです。

操作の難易度も、コマンドを選ぶだけのRPGと比べれば当然高め。自分がプレイしたのは(おそらく平均的な)ノーマル難易度でしたが、パリィの受付猶予はかなりシビアでパターンがわかっていても、うまく合わせることができないことが多く、「かなり難しいゲームだな」と。

でも、不思議と突破~バランス調整の妙~

とはいえ、本作のすごいところは、そんなソウルライク的な難しさを、カジュアルJRPGプレイヤーでも手が出せるレベルにしっかり落とし込んでいる点です。

「革新的な~」といった評価が多い作品ですが、個人的にいちばん新しいと感じたのはここでした。つまり、アクションの手応えをきちんと残しながら、カジュアルすぎず、かといってハードすぎない、絶妙な難易度バランスを成立させているところ。

これは本当に画期的で、アクションゲームが得意な人にも、コマンドRPGが好きな人にも、どちらにも刺さる作りになっていると思います。

「難しそうだけど、ちょっと気になる…」と迷っている人にこそ、「意外とやれるよ」と伝えたいですね。

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ソウルライクなのに、ここまで優しい!

なぜやれるのか?

1.オートセーブがこまめすぎる

見にくいけど旗

道中は、まさにソウルライク的なステージ構成。

各所に設置された「旗」は、セーブと回復を兼ねたチェックポイントになっていて、旗から旗へと少しずつ進んでいく形式です。

普通のソウルライクなら、チェックポイント間はノーセーブが基本で、倒されたら最初からやり直しが当然…。

ところが本作では、なんと戦闘ごとにオートセーブが入ります

たとえば、旗から先に3組の敵がいるルートがあったとして、

  • 1組目倒す→セーブ
  • 2組目倒す→セーブ
  • 3組目でやられても→2組目撃破後から再開できる

──こんな具合なので、やられても巻き戻しは最小限。テンポよく再挑戦できます。

シンボルエンカウント

ステージ構成については他にも、

  • チェックポイント(旗)間の敵は、3組程度と控えめ
  • 敵はシンボルエンカウント(姿が見えるの)で、避けようと思えばスルー可能
  • 旗まで戻って回復 → 再挑戦も自由(ただし敵は復活)
    • 回復との往復でレベル上げも無限

このような仕様なので、リトライ周りのストレスはかなり少なめ。むしろコマンドRPGとしてみても、かなり親切な部類だと思います。

2.回復でゴリ押し可能

ソウルライクといえば、「HP回復に制限あり」が定番ですが、本作では…

  • 回復アイテムは数回使用可能で、旗で満タンに補充
  • 通常の戦闘中にも、回復スキルが使える

と、なんともありがたい仕様。

特に2つ目!

これがどういうことかというと……

パリィ失敗→回復スキル→全回復→またパリィ失敗→回復スキルで……

なんてゾンビ戦法もが意外と通用するのです。AP(MP)と敵の火力次第ではありますが、耐久できる局面は意外と多い。

ボス戦なんかでも、

最初はギミックわからないので被弾しまくる→回復で耐える→徐々にギミックに慣れて被弾減る→回復に費やしていたリソースを攻撃へ転換→撃破

といった感じに、ギミックの理解そこそこに、長期戦の末に初見で撃破できることもよくありました。

つまり──パリィが下手でも、何とかなる

これは大きい。

3.バカみたいにダメージが伸びる

極めつけが「ダメージのロマン」です。

本作のスキル(コマンド)や装備(ピクトス)には、「◯◯なら✕✕」のような「条件つき発動効果」が多数存在します。

ポイントは、それらすべてが重複すること!

その結果──

  • 序盤、通常攻撃で500くらいしか出ない時に、単発スキルで9999(カンストダメ)到達
  • 終盤ではダメージ上限が解放され、桁違いの火力に突入(10万オーバー)

もうね、バカゲーか?って笑っちゃうレベルのダメージ爆発。でも、こういう大味調整、個人的に大好きです。

もちろん、ビルドや下準備は多少必要ですが、「ダメージ増加の条件を重ねるだけ」なので、手順もそこまで複雑ではありません。

この仕様によってもたらされるのが短期決戦化

ボスに何度もミスしていても、火力で押し切ることができるため、長期戦になる前に決着がつきがちです。ボス戦を振り返ってみても、パターンを完璧に捌き切ったことは多分ほとんどなくて、何度もミスをしながらも、削り切ることができるくらいの難しさなわけです。

ラスボスも一撃で7割削れるくらいの大味さ(装備スキル厳選などのやりこみなしでも)。

この爆発力はリリース後の調整で抑えられた部分もあるみたいですが、それでもまだ一般的なRPGと比べるとぶっ飛んでいるレベルで、意図的なのは間違いなさそうです。

そのためか、パリィアクションは難しいままに留まっている印象がありますね。敵の攻撃パターンも多めで、雑魚戦といえども完璧に見極めるのはかなり難しいです。

  • オートセーブ
  • 回復し放題
  • 爆発火力

この3点がもたらすのは、

ミスしてもなんとかなる

という安心感。

ソウルライク的な構造に身構えた人でも、

「えっ、結構いけるじゃん?」

と、自然に引き込まれていくはず。

戦闘の緊張感と、プレイ全体のリラックス感。このギャップこそが、本作最大の魅力なのかもしれません。

ストーリーの率直な感想

ストーリーについては、展開そのものよりも「魅せ方の巧さ」が光る作品だなって思いました。

とにかく、冒頭の衝撃が凄まじい。

「グラフィックがいいな~」「カメラワーク凝ってるな~」「音楽、超いいじゃん」からの──あの「33」のシーン。あの花吹雪には、もう声も出ませんでした。未知感、映像の作り込み、色彩センス、目を飽きさせないカメラの動き、そして何より音楽。全部が高水準で「これはすごいやつだぞ」と一発で確信しました。

最初に触れたように、物語全体の雰囲気としては進撃の巨人っぽい。

どうせ報われないけど、行くしかない」みたいな虚無感や絶望感がベースにあり、全体的に終末感強め。いかにもダークファンタジー。でもそのなかで描かれるのは、ちゃんと血の通った人間のドラマ。

セリフ回しも変に小難しくなくて、むしろちょっと素朴。洋ゲーなのに、いい意味でJRPGっぽくて新鮮でした。

キャラ同士のセリフのやり取りも、あえて言葉を多く交わさず、儚げで…良かったですね。時にボソッとつぶやいたり、時に感情があふれたりと、静と動のバランスが素晴らしい。せっかくなのでフランス語音声でプレイしたんですが、これがまた最高で。声のトーンとか、ちょっとした息遣いまで感情がこもってて、ぐっと引き込まれました。

そしてそれら感情の機微を支えているのが音楽。単なるBGMではなく、音楽そのものが語り手であり、登場人物が黙ってても、音楽が全部語ってくれる…みたいな。

派手な場面はもちろん、しんみりした場面でも音が感情に寄り添ってきて、ずっと聴いていたくなる音楽でした。戦闘BGMも場面によって変化があり、ボーカル曲も多めで、ニーアやデモンゲイズを思い出しました。音楽のクオリティやその挿入タイミングに関しては、わりと本気で歴史的水準だと思っています。

ただ、ストーリーの本筋に関しては、序盤と終盤で印象が少し変わりました。

序盤は未知の世界観や仲間との出会いにワクワクさせられ、「続きを!続きを!」と思わせる引きの強さがありました。ですが、だんだんと黒幕との因縁話がメインになってきて、なんかこう…ちょっと個人的すぎる展開になっちゃったかなと。

人類の命運をかけた大冒険にロマンを感じていたので、「あれっ?」と。冒険活劇というより、ミステリーとかそっち方面。まあ、筋は通ってますし、大胆で挑戦的なシナリオだったのは確か。決して悪かったわけではないんですが、ちょっと趣向が変わったな、という感触です。

あと、仲間たちの存在感が後半になるとちょっと薄れちゃって…これはもうJRPGあるあるかな。関係を深めるイベントはちゃんと用意されてるのですが、話が進むにつれて出番や印象がちょっと固定されていっちゃう感じ。で、どんでん返しも多めだから、「この人のこと、どこまで信じていいの?」みたいに素直に感情移入できなかったのが正直なところ。

ちなみに、最後の選択はヴェルソにしました。まあ、なんか気まずい感じにはなっちゃったけど…。でも、あれがしっくり来たし、悔いはない。

気になった点

全体的にはハマったゲームなんですが、いくつか気になった点もありました。

1.ミニマップがない

まず1番不便だったのが、ミニマップがなかったこと。

これ、いろんなところで言われていますが、本当に不便でした。最初のうちは特に気にならなかったんですよ。でも、暗い洞窟のような視認性の悪いステージだと「やっぱりミニマップ欲しいわ…」となりましたね。

お使いイベントで同じ場所に戻らないといけない時も、「依頼は終わったのに、依頼主どこだよ」と迷うことも。自分みたいな方向音痴にはなかなかハードな仕様でした。同じ場所を何度もグルグルしちゃって。

しかも、そういう迷路的な行き止まりに限って、貴重なアイテムが隠されていたりするんですよね。そのせいで、せっかく正解ルート(旗)に到達できても、「素直に進んでいいのかな…」と毎回迷ってしまう。あと、最初のステージなんかでも、話しかけられるキャラがたくさんいるのに、見逃してしまうのはもったいないなと。せっかく作り込まれてるのにね。

マップがないにしても、もう少し視覚的なガイド(光る足跡とか、わずかなマーキングとか)があれば良かったなと思います。

2.パーティ画面のUI

次に気になったのがパーティ画面のUI。

これがまた、使いにくかった。装備やらスキルやらの組み合わせが豊富でカスタマイズ性の高いところがいいところなのに、そのアクセスが悪い。操作が直感的じゃなくて、「こう押して、次にこれ選んで…」って感じで、いちいち考えさせられるのが地味にストレスでした。

理想は「新しい装備拾った!→パパッと装備変更!」なのに、現実は「えーと、どこだっけ…(もたもた)」って感じ。カスタマイズ好きな自分としては、この操作の煩わしさはちょっと残念でした。

3.敵の攻撃モーション

これは上ふたつほど大きくはないですが、敵の攻撃モーションが読みづらいのがストレスでした。

パリィ前提のバトル設計なのに、一部の雑魚敵がめちゃくちゃわかりにくい。ボスはまだマシ…でもわかりづらいのもある。

理想は、

「1・2・3・ハイ!」

ってテンポで来てくれると助かるのですが、実際は、

「1・2・3・静止・静止・静止・ハイ!」

みたいな感じで、ディレイ攻撃がすごく多い。

ありがちな仕様ではあるんですが、なんというか「超変則ピッチャーが160キロ投げる」みたいな違和感があって。早すぎる「居合斬り」みたいな攻撃もあれば、逆にめちゃくちゃ溜めてからゆっくり振ってくるのもあって、その見極めが本当に難しい。

しかも、雑魚敵の出現回数が少ないから、動きを覚える余裕もないんですよね。なのに、たった数回しか戦わない敵に複雑な攻撃パターンを持たせてくるあたり、ちょっと鬼。

まあ、そういう敵でもなんだかんだ倒せてるってことは、理不尽なほど難しいわけでもないんですが…。自分の中ではずっと「うまくできないなぁ」というモヤモヤがずっとありました。

特に気になったのは、「この攻撃は特殊な防御が必要ですよ」っていうモーションの提示があるくせに、そのタイミングが毎回違うこと。合図と実際の攻撃の間にラグがあって、「あの合図=今すぐ防御」ってわけじゃないのが、ちょっと意地悪だな~と。

パリィゲーで言うと、自分は『Lies of P』もやってたんですけど、あれのラスボス戦くらい難易度が、中盤~最後までずっと続くような感覚でした。

…でも、逆に言うと、気になったのってこれくらいなんですよ。根本的なゲーム性や演出の力は本当にすごくて、満足度はめちゃくちゃ高かったです。

総評:死にゲーをJRPG味付けで遊びやすく

「なんとか33」ではなく「クレオブ33」で覚えておこう。そのうち「クレオブライク」や「33ライク」が増えていきそうだから。それくらい、エポックメイキングな傑作だと思います。まあでもこの作品でも開発5年というくらいだから、当面はこのジャンルのトップとして君臨し続けるのではないでしょうか。

どんな作品にも「良い点」「悪い点」がありますが、圧倒的に「良い点」の方が上回っており、しかもどこまでも語れてしまう感触が、いかにも名作らしいなと。世間での高評価にも深く納得できました。

JRPG的なターン制コマンドバトルの発展形……と見られがちかもしれませんが、自分としてはむしろ、「ソウルライクの難しさをJRPG的カジュアルさで包み込んだ作品」だと思います。豊富すぎるオートセーブはありがたいし、ムービーはちょうどいい息抜きになる。ビルド次第ではカチカチの防御型でじっくり戦ったり、爆発的な火力で一瞬で終わらせたり……ハードなアクションに対するストレスを少しでも和らげようという配慮が随所に感じられます。

難易度ノーマルなら、半分程度パリィできれば勝機はある設計。アクション耐性のないプレイヤーにとっては難しいかもしれませんが、アクション好きから見ると「普通」か、やや簡単な部類なのかもしれません。

自分はどちらかというと前者寄りなので、難易度はかなり高く感じました。パリィが完璧じゃなくてもクリアは可能ですが、まったくできないのは厳しいです。装備である程度硬くなるとはいえ、耐えられるのはせいぜい数発で、どこまでいっても最低限のパリィ力は求められます。ボスによっては「成功しないと即死」というような特殊攻撃や、5連続攻撃×2みたいな過酷なラッシュもあります。再挑戦が早いのが唯一の救いではありますが、万人向けとは言い難い部分ですね。

特に中盤~終盤にかけて、ダメージ上限が解放されるまでの戦いが精神的にキツかったです。単発高火力の9999ダメージでは足りず、多段ヒットでちまちまと削る必要があるため、戦闘時間が長くなり、必然的にパリィの機会も増える。ストーリーモード(低難易度)もありますが、「最初からイージーでやれ」と言われると、ゲーマー心理的には抵抗があるんですよね~。

これはJRPGか?

本作は「JRPGの影響を公言している作品」です。キャラクター中心のストーリーテリング、戦闘中の演出、ムービー主体の構成など、確かに随所でJRPGらしさは感じられます。ただ、見た目は洋ゲー風で、ゲーム性は実質的に死にゲーアクションなので、「JRPGの正統進化」というよりは「JRPGの要素を巧みに取り入れた、別ベクトルのアクションRPG」だと思いました。

自分は難しい操作のない古風なコマンドバトルも好きなので、これを上位互換とは思いません。どちらかといえば、既存のJRPGファンが「流れで選ぶ」作品というより、アクションゲームが好きな層が「世界観やグラフィックがすごいゲーム」としてピックアップするジャンルになっていくのではないでしょうか。エルデンリングが3000万突破する世界なので、こういうソウルライクを彩るタイプの作品はこれからもまだまだ増えていきそうですね。

映像・音楽・演出は文句なしに一級品。ダークファンタジーの世界に浸りたい人にもおすすめですし、パリィアクションやダメージがインフレしていくRPGが好きなら間違いなく楽しめます。人は選ぶけれど、アクション好きなら体験して損なし。今はゲームパスでも遊べるので、気になっている方はぜひ。

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