魔女になって伴侶を蘇らせる…ダークファンタジー×カードバトル【Black Book】感想

3.5
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「選択」がポイント。感想&レビュー。

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19世紀ロシアが舞台のダークファンタジー

Black Book(ブラックブック)は、ロシアのゲーム開発スタジオMorteshka(モルテシュカ)によるダークファンタジーRPG。

Morteshka(モルテシュカ)は、ロシアの神話や民間伝承にインスパイアされた作品を多く手掛けており、本作も19世紀ツァーリ君主時代のロシア辺境の地が舞台となっています。

19世紀ロシアの文化を学べるのと、ダークな世界観で綴られるマルチエンディング方式のストーリー、Slay the Spire風のカードバトルが特徴のゲームです。

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伴侶を蘇らせるため魔女に

ストーリーは、恋人を亡くした女性が、その深い悲しみに耐えきれず、魔女となって恋人を蘇らせる決意をするところから始まります。

魔女の力で地域の人々の困難を解決し、善行に努める一方で、古代の封印を解くための試練にも立ち向かわなければならない孤独と葛藤を抱えた女性が描かれています。

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インストールサイズとプレイ時間

インストールサイズは、約2GB。サイズは小さいですが、影の描写などがあって最高設定だと地味に重たいです(設定で細かく調節できます)。

プレイ時間は1周クリアに18時間半。マルチエンディング方式なので、やり直す面白みもありますが、1周クリアするだけでも、これだけの時間がかかってしまいました。

日本語化についてですが、今回プレイしたEpic版では起動時から日本語化済みでした。翻訳のクオリティも文句なしです。

Black Book(Epic Store)

ゲームの流れ

「拠点」となる場所は様々だが機能は同じ。

ゲームの流れは以下の通り。

  1. 拠点で準備
  2. マップ攻略
  3. マップ終端でイベント

拠点では、依頼の受注や使い魔の管理、仲間との会話、デッキの編集などを行えます。1度出発すると途中セーブはできないため、拠点が唯一のセーブチャンスとなります。基本的にオートセーブなのでそこまで気にすることはないですが、プレイを中断するときは拠点で終わらせることを忘れずに。

全マス探索可能なマップ

どことなくStS風

マップはSlay the Spire風ですが、分岐点は寄り道扱いで、基本的に全てのマスに立ち寄れます

各マスではイベントか戦闘のいずれかが発生し、終端の「!」マスをクリアすれば、とりあえずそのマップはクリアとなり拠点に戻ります。この帰還&出発のサイクルを何回か繰り返すと章クリアとなります。

第7章まで

選択の多いストーリー

遭遇するイベントは予測不可能であり、雰囲気を楽しむだけのものから、プレイヤーに重要な選択を迫るものまで、多様なバリエーションが存在します。

終点マスではより深刻な選択が待ち受け、ここでの選択によって、物語の進展やキャラクターの運命に影響を及ぼすことがあります。

進むか戻るか、戦闘を選ぶか説得を選ぶか、許すか許さないか。選択肢を吟味し、キャラクターの行く先を左右する決断を下すことが本作の醍醐味です。

戦闘はStS風のカードバトル

戦闘システムは定番のローグライクデッキ構築風のカードバトルです。

特徴としては、コストがない代わりに、場に出せるカードの枚数が決まっていること。1ターンに4~5枚しか発動できないとはいえ、ほぼ手札を使い切る感じになるため、最善手は常に決まっています。その意味では、プレイングよりデッキ構築の重要性の方が高いカードゲームと言えるでしょう。

デッキは下限と上限の枚数が決まっていて、その範囲内であれば自由に編集可能です。

戦闘終了後は、報酬として3枚のカードから1枚を得ることができます。スルーも可。

デッキ編集が自由なゲームなので、なんでも拾っておkです。同じカードは4枚までデッキ投入可能で、1枚でも所有していれば複製することもできるため、デッキを組み上げる過程は比較的容易です。

カードの種類はストーリーを進行していくことで段階的にアンロックされていき、終盤になるほど、より戦略的で効果の強いカードが登場します。

感想:マジ奇書

ダークな側面のある作品で、独特な雰囲気と演出が印象的でした。

作品内で学べる文化については、キリスト教と土着の自然信仰が絶妙に融合している点が興味深かったです。魔物の存在はまるで小人伝説のようで、自然の神秘さと教訓的な要素が織り交ざっており、ユニークながら図式としては多様な文化に通じる普遍性があるように感じました。

ただ、ゲーム全体として評価した場合、良く出来ているけど、あんまり面白くなかったな…というのが正直な感想です。似たような話がダラダラと繰り返され、次から次へと登場する固有名詞にも慣れず、奇書を読んでいる感覚でした…。

ストーリーは尺のわりに薄味

ストーリーとカードバトルの比率が、7:3くらいのほぼ読むゲームでありながら、ストーリーの満足度は低いです。大体いつも「困ったことがある→原因は魔物→やっつける」というパターンを繰り返すだけで、驚きや新鮮さをあまり感じられなかったです。キャラクターもステレオタイプばかりで、既視感を拭えませんでした。

大枠では、愛する人を蘇らせるために禁忌に手を出した女性の倫理観と覚悟を問うといった内容で、とても分かりやすいものでした。しかし、このテーマが魔女としての日常生活で埋もれ、主人公の内面や変化が十分に描かれなかったことも残念でした。

テンポの悪さ

「探索パート」雰囲気はいいんだけどね

まあでも、サクッと遊べる分ならいいかと思っていたら、クリアまで18時間もの時間を要してしまいました。マルチエンディング要素があるといっても、1周にこれだけかかるようじゃ周回プレイも気楽じゃないですね。

ストーリーの冗長さもあるのですが、不定期に挟まるポイント&クリックの探索要素が本当にテンポ落としているように感じました。雰囲気や臨場感は素晴らしいものの、些細な移動やクリックのためにストーリーを焦らされていることが、なんともストレスでした。

戦闘においても、バトルパズルという決まったデッキで攻略しなければならない場面があり、難しくはないものの、いや逆に難しくないからこそ不必要な要素に感じられました。

どんどん先へ先へ行きたいのに、低難易度の壁で阻まれる感じ? なんかテンポ悪いなぁ~と。

専門用語が多すぎる

19世紀ロシア辺境の暮らしや文化を描くことも重視している…との触れ込みでしたが、実際のところ、黒魔術関係の描写や用語の方が圧倒的に多いです。

これは分かりやすいほう

正解すると経験値を得られる知識クイズのようなものがあるのですが、これも大部分が魔物=黒魔術に関係するもので、とにかくロシアの妖怪について学ばされるという感覚が強かったです。

この4択クイズに関しては、ヒントも貧弱で、経験値もわずかなため、達成感も学びの意欲も湧かず、出現するたびウンザリでした。

ゲーム内で触れられた知識についてまとめられた用語集もあるのですが、これもほぼ魔物関連で、目が滑るようなカタカナの羅列に、本当に魔術書を読んでいるような気分になりました…。

自分としては、もっとユニークな文化や暮らしぶりに関する学べるものと期待していただけに、この魔物知識偏重には落胆しました。これから先の人生で役立たないだろう魔物についての知識を延々と語られたところで、なにひとつ響くものがなかったです。

システム面への不満はなし

UIや演出面は非常に良く出来ていると思います。

新しい要素の説明は毎回とても丁寧でしたし、18時間のプレイで、1度もエラーやフリーズなどの不具合はありませんでした。ゲーム中の知識をまとめた用語集もあり、読みやすいかは別としてもユーザーフレンドリーな作品ですね。

戦闘に敗北してゲームオーバーになっても、直前からやり直し可能な仕様はありがたかったです。同じ戦闘で連続してゲームオーバーになると、「スキップするか」の選択まで表示されたのは驚きました。

良く出来ているが、オススメしにくい作品

自然が豊かに広がる昼間の光景には心が安らぎ、それらが夜の帳の中で変貌し不気味な魅力を纏う光景にはゾクリとするものを感じました。この昼夜の対比は主人公の内面を映し出しているようでもありました。

家や強敵の描写も凝ってましたし、終盤のスケールの大きさには圧倒されて笑いが出るほどでした。このあたりの演出や雰囲気がいいだけに、ストーリーが本当に残念だなと。

1周18時間もマルチエンディングゲームにしては時間がかかりすぎだと思います。

カードゲームはまあまあ楽しかったですが、洗練されているかというと、そうでもないな…くらいのクオリティ。

総合すると、良く出来ているけど…って作品ですね。これほど丁寧に作られた作品はなかなかないけれど、面白さという観点では、物足りなさを感じました。

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