作品名 | 三國志11 with パワーアップキット |
開発 | KOEI TECMO GAMES CO., LTD. |
リリース日 | 2006年3月17日 2018年1月17日(Steamストア) |
ジャンル | 歴史シミュレーション、ストラテジー、ターン制 |
価格 | 4,180円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/CD-ROM) PS2 Wii |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約1.88GB |
Steam評価 | 非常に好評(92%) |
プレイ時間 | 約50時間 |
- Qどんなゲーム?
- A
三国志題材のターン制歴史シミュレーション

KOEIの歴史シミュは信長の野望をいくつかやったことがあるだけで、三國志シリーズは初めて。
2025年現在、ナンバリングだと14まで出てて、8リメイク(2024)が最新作っぽい。
どの作品からシリーズに入るか悩む中、評判の良さそうな11をピック。なんともう20年前の作品。PS2時代。Steamでのリリースは2018年。結構前にセールで買った記憶があります。それをとうとうプレイする日がやってきた!

感想:予想に反してシンプルなゲーム
率直に良いゲームでしたねぇ。
タイトルに「11」とあることから、既存ユーザーのフィードバックを徹底的に取り入れた超マニアックな作りかと思いきや、実際は最近のゲームと比べても断然シンプル。煩雑な制限も少なく、シリーズ初見でもリラックスしてプレイできる「ゲームっぽいゲーム」という感じでした。
やることはシンプルでストレスフリー
基本的な流れは「内政で資金を稼ぎ、その金で兵を集め、武器を製造し、拠点を攻め落とす」というシンプルなもの。武将の勧誘は容易。忠誠も金で解決。外交はコマンド連打で押し通すことが可能。リアリティは薄いかもしれませんが、縛りが少なくストレスなく楽しめる設計で、いかにもゲーム!って感じが良き。

ターン制システムと3Dマップ
特に気に入ったのが、ターン制のシステム。
すっげークラシック…だけどそれがいい! 時間に縛られずじっくり考えながら進めることができますし、1ターン内に可能なコマンド数に制限があるため、1ターンが長くなりすぎない点も気に入りました。

マップの3D描写も印象的。自分の三国志の知識はゲームと、横山光輝のマンガと吉川英治の小説を1周した程度で、地理的なイメージはぼんやりとあるだけ。実際の勢力配置や地形表現を目にするのは今回初だったので、いろいろと新鮮でした。益州(蜀)は本当に山に囲まれた秘境みたいなところにあるし、曹操の初期立地の良さにも納得。長江以南の呉の地は大陸というより島のよう。
この3D描写には、かつてはハイスペックが要求されたそうです。それが現在ではSteamのクライアントよりも軽量で、オフィスパソコンでも動きそうなほど。
3D表示のおかげで古さを感じにくい上に軽いってのがイイですね。インストール後すぐにプレイできる手軽さも嬉しいポイントです。
ただ、プレイ中に解像度が落ちる不具合があるため、そこだけは注意が必要です。(詳細は別記事にて)

大軍勢に次ぐ大軍勢…。
内容自体は信長の野望シリーズに似ていますが、最大の違いは何と言っても兵数です。

三國志というだけあって、大勢力同士の拮抗した戦いが多いのですが、ポイントは各勢力が複数の拠点を抱えている点。そのためどの勢力も生産力が非常に高く、兵の補充速度が尋常ではありません。前線では10万を超える兵力が集結する拠点も珍しくなく、部隊を全滅させた後のおかわりも驚くほど早いです。
大規模かつ途切れない戦いが続き、武将も兵もフル回転。大変っちゃ大変なのですが、強いユニットの活躍機会が多いのは嬉しいです。こういうゲームだと、せっかく強いユニットを用意できても、相手がすぐに息切れしてしまって実質的な活躍機会が少ないまま終わることも珍しくありません。その点で本作は「斬られ役」が多く、思う存分無双を楽しめました。
戦闘は戦法が爽快
その戦闘は、気力(MP)を消費して発動する「戦法(スキル)」によるぶっぱなし対決が基本。1マス飛ばしや貫通攻撃など、ヘクス制ならではの戦法があり、各武将の強力な特技との組み合わせが勝負を左右します。

結局、武将ゲー
キャラゲーとしての側面が強いです。戦闘では兵数よりも武将の能力値が重要視され、強い武将がいれば、兵数で劣っていても逆転が可能ですし、その逆もまた然り。
能力値に見合った配置を考える、武将管理の部分がこのゲームの醍醐味であり、1番楽しいところですね。なんてったって武将だけで何百人といるわけですから。
微妙な能力値の武将の使い道を考えるのも結構楽しい。

気になった点:時間のかかる進行
気になった点としては…時間がかかるゲームってことですね。
全土統一を目指す通常プレイでは、すべての都市を攻め落とさなければならず、中国大陸という広大なフィールドゆえに、進軍にはかなりの時間がかかります。
そして、上でも触れたように、勢力あたりの生産力が高いため、増援の数が途方もなく、1つの拠点を攻略しても、次の拠点にはまた十分な兵力が集結していたり、倒した数以上の兵がすぐに現れたりすることもしばしばです。なので、まあ~時間がかかる。
降伏勧告もほぼ通らない。

人材登用が大変
ターンごとに行動回数(行動力)の制限があるものの、ゲームが進むにつれて管理の手間が増大していく傾向があるのは間違いありません。特に、人材関係ですね。
武将の人数は最初は1人増えるだけで嬉しいのですが、最終的には何十人にもなるため、どの武将をどこに配置するかなど、管理が非常に混沌としてきます。登用の際も、「誰を派遣する?」「成功率は?」「相性は?」「日数は?」など考慮しなければならないパラメータが多く、戦闘ユニットを動かす以上に疲れる要素でした。
戦闘で捕まえた捕虜は毎ターン忠誠が下がっていく。引き抜きやすいのは嬉しいけれども、毎ターンチェック(今いけるかどうか確認)するのが億劫でしたねー。
軍団がいまいち
こうした負担を軽減するため、「軍団」というCOMに兵力と拠点の管理を任せるシステムが用意されていますが、これの出来が正直なところ微妙。内政面はまずまずですが、城攻めなどの戦闘面では、まったくもって役立たず…。圧倒的な物量を渡しても期待通りに攻略できないことが多く、最初のプレイでは軍団に頼りすぎたために痛い目に遭いました(時間的な意味で)。

結果として、用兵は自分で行わなければなりません。戦闘自体は武将の能力による無双感が味わえて好きなのですが、やりたいことが同時にあるときに、物量的にも武将の質的にも圧勝な戦いをわざわざ操作しなければならないのはストレスというか、蛇足感を感じた部分でもありました。やり応えはあるけれどさ…。
その他気になった点
- 武器製造いる?→武器前提のバランス。リスクにもリターンにもなっていない。時間かかるだけ。
- 武将復帰早すぎる→倒した次のターンに出てきたりする。怪我しているとはいえ…。
- 火計の存在感→あまりにも簡単に戦場が火まみれになりすぎな気がする。

総評:三國志シリーズとの良い出会い
マニアックさがなく、三國志の土地勘を学べて、歴史の追体験も楽しめる。武将の能力を存分に楽しむライトな戦略シミュレーションという感じで、そこそこ楽しめました。
戦略ゲームとしては全体的な負担が軽めなので、歴史イベントや武将の絡みといった三國志要素に対して興味を向けやすく、自分のペースで自分の物語を楽しむことができることにロマンを感じました。
「これくらいがちょうどいい…」
と、シリーズ続編が出ても本作をずっとプレイしてしまう人の気持ちも理解できます。気になる部分があっても、それすら許せてしまうような……おおらかな気持ちでプレイできます。
正直今回はもういいかな、という感じですが、シリーズ最初にプレイする作品として大正解だったと思います。他の三國志シリーズに俄然興味が湧いてきた!
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