ほぼダンガンロンパ!『レインコードプラス』の感想

4.0
記事内に広告が含まれています。
作品名超探偵事件簿 レインコード プラス
開発Spike Chunsoft
リリース日2023年6月30日(Switch)
2024年7月18日(Steam)
ジャンルビジュアルノベル、アクション、アドベンチャー
価格6,985円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam)
PS5
Xbox Series X|S
Switch
日本語対応あり
インストールサイズ約49.5GB
Steam評価非常に好評(81%)
プレイ時間約25時間~
スポンサーリンク

ダンガンロンパのスタッフによる推理ゲー

Q
どんなゲーム?
A

証拠を集めて事件の謎を解いていく推理アドベンチャー

ストーリー:

「ダンガンロンパシリーズ」のスタッフが手がけた新作推理アドベンチャー。

舞台は、雨が降り止まない街「カナイ区」。裏で巨大企業「アマテラス社」が支配し、その陰謀に絡む未解決事件が横行している。ここへ送り込まれたのが「超探偵」たち。彼らは、超探偵にしか発揮できない探偵特殊能力を武器に、雨に濡れる街の闇に潜む未解決事件の解決を目指す!

ジャンル:

基本的には文章を読み進めていくビジュアルノベル系。ただし、要所要所にアクション性の高いミニゲームや、3D空間の街を歩き回る探索パートもあり、公式でも「ダークファンタジー推理アクション」と紹介されています。実際にプレイした感覚でも、ダンガンロンパ以上にアクション要素が強い印象を受けました。詳しくは後述。

通常版との違い:

本作『レインコードプラス』は、Switchで先行発売された『レインコード』のDLCをすべて収録した完全版。サントラやアートブックが付属するデジタルデラックスエディションもあります。

DLCの中身はサブキャラを主役にしたサブストーリーで、各自の「探偵特殊能力」を活かしたミニエピソード(1話20分ほど)が5人分。

同じ単品購入でもバンドルの方がお得

Steamはバンドルがお得:

ちなみに、Steamでは本作とダンガンロンパ1~3をまとめたバンドル(セット売り)が販売されています。Steamのバンドルは、バンドル内のタイトルをいくつかすでに所有していても、それらを差し引いた価格+バンドル割引が加算された状態で購入できるケースがあります。

ダンガンロンパ1~3をすでに所持していた自分の場合、同じ単品購入でもバンドル経由のほうが通常の単品購入より699円安く済みました。地味ながら役に立つSteamテクニック。

なお、ダンガンロンパシリーズをまだプレイしたことがない方は、まずそちらから始めることをオススメします。系統としてはかなり似ているので…。

スポンサーリンク

ゲームの流れ

主人公(プレイヤー)は探偵として、事件発生→調査→解決という流れをたどります。

事件発生:

発生する事件の多くは殺人。ダンガンロンパのように“いつメン”で殺し合うのではなく、毎回異なるメンバー・シチュエーションの中で、限られた容疑者の中から真犯人を見つけていく、いわゆるクローズドサークル形式です。

調査パート:

事件現場を調べて証拠を集めるフェーズ。本作最大の特徴は、探偵が「探偵特殊能力」と呼ばれる超能力を使える点です。能力は生命反応の探知や死者との交信など、SFというよりファンタジー寄りの能力が多め。

解決編「謎迷宮」:

肝心の事件の謎解きは「謎迷宮」で行われます。ここは「事件の謎そのもの」と「プレイヤーの推理過程」をRPGのダンジョン風に再現した特殊な空間。

推理の行き詰まりを表現する壁だったり、分岐道だったり…

絶対に向き合わなければならない謎は「謎怪人」として具現化。証拠を武器にぶっ倒せ!

ちなみに謎怪人=犯人ではありません。

プレイ時間と難易度:

本編+DLC5話で、全体のプレイ時間は約25時間ほど。

推理ゲームとしての難易度は、ダンガンロンパシリーズに比べても低めだと思います。ヒントが多く、筋運びも直線的。間違えてもペナルティが軽いため、行き詰まることは1度もなかったです。

一方で、瞬発力が問われるQTE(決められた時間内のキー入力)が多く採用されており、アクションの重みは過去作以上。アクションのレベル的にはカジュアルの範囲内だとは感じましたが…多少の覚悟が必要なのは確か。

スポンサーリンク

感想:ほぼダンガンロンパの演出強化版!?

見覚えのあるキャラクターデザイン!

マスコットキャラ!

ピンクの血!

ノンストップ議論!推理デスマッチ!

閃きアナグラム!死に神ちゃん危機一髪

そして、事件の終わりには、クライマックス推理!超推理フィナーレ!で振り返り!

もちろん、犯人にはお仕置きが…。

ってこれ、ほぼダンガンロンパじゃん!

見覚えのある要素のオンパレード。エッセンスが感じられて…みたいなのを期待していたら、まんますぎてビックリ。

いやでも懐かしいね。

まず、良かった点から書くと、謎解きをする推理ゲーとして、「探偵特殊能力」を使った証拠集めが楽しかったです。非合法的というわけではないけども、犯人自身ですら気づかなかったような情報にアクセスできるのは何とも言えない背徳感がありますし、スキャンや変装など能力のバリエーションも豊富。異なるシチュエーション、異なる捜査法ってのが新鮮でした。

次にグラフィック。ほぼ映像作品。いい意味で。ダンガンロンパではここぞという場面だけだったムービーが、本作では日常シーンにも惜しみなく挿入され、滑らかなアニメーションも素敵。表情や身振りまで細かく描かれていて、緊張感あるシーンからコミカルな場面まで見応え抜群でした。

それと背景の作り込みも本当に素晴らしかったです。オープンワールドのように街を歩き回れるのですが、メインとなる「カナイ区」のサイバーパンク味のある街並みが最高。未来すぎずレトロすぎず、雑多な感じがリアルな生活感が感じられて逆に良かったですね。ちょっとしたオブジェクトや装飾なんかでも、芸が細かくて「進化したなぁ」としみじみ。

さらに、グラフィック関連で細かいところを挙げると、UIの洗練度も高かったです。たとえば、一般的なビジュアルノベルでは文字を表示するボックス近辺に「SAVE」「LOAD」といった文字が並んでいるのが定番ですが、本作はセリフとキャラ名のみ。他のコマンドは全部オプションからという割り切り方。このシンプルさ、個人的には大好き。

ストーリーはまあまあ。すごく面白い!というわけではないけども、駄作と切り捨てるほどひどくもなく、きちんとまとまっていた印象です。

本格推理路線で進み、最終章で舞台(世界)推理が始まるあたりはダンガンロンパを彷彿とさせますが、ぶっ飛び度でいうと、ダンガンロンパが「月」だとすると本作は「飛行機」くらい。ファンタジー要素はありつつ、最後は現実的な落としどころに着地し、黒幕の動機にも共感できるハートフルなエンディングでした。尖ったところがなくて凡庸という見方もできますが、露悪趣味を減らしてキャラクターの意思や感情に寄り添った作りには素直に好感が持てます。感動とまではいかずとも、「いい話だった」と浸るくらいの心地良さは味わえました。

チャプター個別でみると、第2章の演劇編がお気に入りですね。作中劇の演出、ドロドロした人間関係の解像度、潜入捜査の緊張感、真相の意外さ。どこを切り取っても素晴らしい出来。思春期の内面描くのが本当にお上手。

気になった点:事件のクオリティと謎迷宮のシステム

自分はダンガンロンパではキャラ描写よりも事件の謎解きそのものの面白さに惹かれていたタイプです。たとえば、話題になった3のラストも、その前の通常事件の謎解きが好きだったからこそあそこまで楽しめたわけで――それだけに、本作の事件はどこか物足りなく感じられました。プレイ時間はシリーズ1作分とほとんど変わらないはずなのに、スカスカに感じるんですよね。

理由はいろいろ考えられますが、個人的に最大の要因は「謎迷宮」の仕組みにあると思います。

1.謎迷宮が事実認定を行う

本作の推理は、①さまざまな情報から仮説を立て、②それを検証しながら真相へ近づく――といった流れで前作と大きくは変わりません。

異なるのは仮説の扱い。前作までは仮説はあやふやなもので、終盤にひっくり返ったり、見方が変わったりすることがよくありました。

ところが本作の謎迷宮では、提示される謎への答えに「正解/不正解」が即座に判定され、その先で何も起こらなければ暗黙のうちに事実として固定されてしまいます。ウミガメのスープで出題者が「それは本当」と事実認定してしまうかのように。

さらに、犯人候補はたったの4人ほどと非常に少ないため、謎1つの事実認定だけで、消去法ですぐに犯人が絞れてしまいます。さらにさらに、探偵特殊能力で得た検証不可能な証拠までもが謎迷宮内では有効と扱われるので、全体としてプレイヤー超有利の一本道推理の傾向が非常に強いです。

一応、序盤には「謎迷宮自体がミスリードを仕掛けてくる」演出もありますが、その後ほとんど活かされず、結局は「正しいルートを選んだら即正解」という簡単さ/単純さが目立つまま終わってしまいました。

2.ギャラリーのいない推理

謎迷宮は、探偵とパートナーだけが立ち入れる閉ざされた空間。容疑者や取り巻きは一切おらず、最後に登場する犯人の具現化もあくまでニセモノ。真犯人との直接対峙や、ほかのキャラクターのリアクションを味わえないのは寂しいかぎり。

失って初めて気づくギャラリーの偉大さ。参加者が討論に貢献するしない関係なく、発言やリアクションは貴重なキャラ描写の機会だったし、態度や発言から立ち位置を推理する面白みもありました。

白熱する議論が生み出すドラマ性や、二転三転する筋運びなど、なんというか、熱量が足りない!

気になった点:アクション全般

本作は「ダークファンタジー推理アクション」と銘打たれており、アドベンチャーやノベルゲームというよりも、まず「アクション」が前面に出ています。その期待を裏切らない?ほど、随所でアクション操作が求められます。

まあ、ダンガンロンパも「ハイスピード推理アクション」だったけども。

中でも目立つのが、QTE(短時間のキー入力)の多さ!

たまに出るレベルではなく、もはやメインギミックと言っても過言ではないほど頻繁に発生します。ちょっとした演出としてなら許容できるのですが、推理パート中に「ハイ、問題!」と3択QTEが次々と飛んできて、選択肢を読んでいるだけで時間切れになるシビアさには正直参りました。

また、ダンガンロンパではメインだったノンストップ議論ならぬ、推理デスマッチも正直好きになれませんでした。文字が奥から流れてくる視認性の低さや、回避アクションの手間と爽快感の乏しさが相まって……。

こうしたアクション操作は失敗してもペナルティが軽く、アクションが苦手でもクリアは余裕。ただ、それなら「なくてもよかったのでは…?」と思いました。

その他、気になった点としては、オープンワールドでの移動時間がダルかったですね。お使いが本当にお使いだけで、リスクもなくただ歩くだけの時間が退屈でした。無理にステージを活かそうとしているように感じました。ただ、街は何度も歩きたくなるほどのクオリティがあるのは確かなので、クエストに深みがあったり、経験値以外の魅力があれば、もっと楽しめたと思います。

総評:面白かっ…う~ん。

ビジュアルや演出面の進化は凄い! グラフィックのクオリティは映像作品そのもので圧巻の連続。

一方で、推理ゲームとしてのやり応えはやや物足りない…。

本来はテキストで描写してほしい種々の事柄が、演出でサクッと置き換えられがちなところも残念。

とはいえ、続編を匂わせる終わり方には期待が膨らみ、次回作があるなら全然やってもいいと思えるくらいの満足感はあります。

あと、ネタバレになるので詳しくは語らないし調べて欲しくもないのですが、1つエポックメイキング級のトリックがあり、その衝撃度はシリーズでもなかなかのものだったと付け加えておきます。

コメント

ホーム » ゲーム感想 » ほぼダンガンロンパ!『レインコードプラス』の感想

カテゴリー

タイトルとURLをコピーしました