大人気サスペンスアドベンチャーの続編
Little NightmaresⅡ(リトルナイトメア2)はTarsier Studios(スウェーデン)によって開発され、2021年2月にバンダイナムコからリリースされたサスペンスアドベンチャーゲーム。
ストーリー:謎の塔から発信される怪電波によって歪められた世界に囚われた少年モノが、そこで出会った黄色いレインコートをまとった少女シックスと協力して世界からの脱出を目指す。
前作プレイ推奨
緊張感や謎解きを楽しむゲームなので、まったくの初見でも大丈夫です。
とはいえ、前作の世界観を引き継いでいて、前作主人公も登場するため、前作をプレイした方がより楽しめると思います。ちなみに前作クリア時間の目安は3~4時間。
前作仕様そのままに、新たに協力プレイも
ゲームシステムは前作と同じく、奥行きのあるパズルプラットフォームで、ハラハラドキドキのサスペンス要素も健在。難易度は前作プレイヤーからすると、謎解きは比較的易しく、アクションはやや難しくなった印象です。
今回は途中で合流する少女シックスと一緒に攻略していくスタイルになり、協力して進めるギミックが追加されました。
高所で手を貸してくれたり、足場になってくれたりと、出来ることが増えるだけでなく、正体不明の世界に立ち向かう心強いパートナーとして、心理的にもプレイヤーにとってありがたい存在となっています。
約6時間半でクリア、ボリュームはほぼ倍
インストールサイズは20.8GB。前作(9GB)の倍以上ですね。クリアまでにかかった時間も約6時間半で前作の1.5~2倍くらいでした。
ゲーム起動時にはEnhanced Editionを選べます。これは、グラフィックや音響を強化した無償アップデートバージョンです。
もともとPS4とSwitch向けに発売された作品が、PS5やPC版などの次世代機に対応したグラフィックと音響を再現するために行われました。1
自身のPCスペックと相談する必要はありますが、ゲーム内容に大きな変更はなく、基本的に下のEnhanced Editionを選んでおけば大丈夫です。
感想:プレイは快適、インパクトには欠ける
毎日1チャプターずつ(1~2時間くらいでクリアできる)プレイしましたが、非常に濃密な日々でした。
完成度でいうと前作より上です。謎解きはサクサク進み、アクションも十分なやりごたえがあり、デザインについても、今回はチャプターごとに舞台が変わるので毎チャプター新鮮でした。ただ前作で強烈なインパクトを残した世界観については、補完的な内容で物足りなさを感じました。
前作よりプレイが快適に
前作でのストレス要因がいくつか改善され、プレイしやすくなりました。
- 奥行があるために把握しづらく落ちやすかった狭い足場が、平行棒のように渡る形に改善され、落ちる心配がなくなった
- カギは取得したら収納され、両手で抱える必要はなくなった
- ライト点灯中に物を掴む動作をすると、いちいち消灯していたのが、消えは消えるものの、物を掴む動作を終えたら自動で再点灯するようになり、ライトをカチカチする手間が省かれた
- キーアイテムが闇に埋もれることなく、わかりやすく配置
- 詰まった時に表示されるヒント出現も早くなった
これらは前作ではゲーム性とは関係ないストレス要因でしたが、手間が省かれたことで、格段にプレイが快適になりました。
個人的に前作で苦しんだ謎解きについても、非常にわかりやすくなっており、前作から間を空けずにプレイしたことによる慣れもあってかサクサク解けました。一緒に行動するパートナーが先導してくれる場面も多くあり、瞬時にはわからなくても、パートナーに注目することで解決の糸口を見つけることもありました。今回謎解きに関してはノンストレスでしたね。右往左往することもなかったです。
正確なアクション操作に苦労
謎解きがスムーズになった一方で、アクションには非常に苦戦しました。アクションゲームとしては軽い部類に入りますが、前作よりは確実に難しくなりました。
まず操作量が増えました。今回ライト操作が求められるポイントがあるのですが、これは移動キーとは別のキーを使用します。つまり従来の移動操作とは別に新たなカメラ操作が加わった形です。キーマウ派にとってはWASDの操作がもう1つ増えたわけです。自分はライト操作が必要な場面だけ両手キーボードで対応しましたが、これがまあ大変でした…。コントローラー推奨です。
次に正確な操作。ステルスアクションとチェイスは前作から引き続きこのゲームの魅力ではありますが、今作は特にシビアだったように思います。前作もまあまあ大変でしたが、注意力と咄嗟の判断力が大事な「パズルゲームのアクション」の範囲内の難しさだったと思います。ところが今作では、そうした”気付き”だけでは突破できないギリギリのラインにゴールが設定されており、微細な入力が求められました。
最初の1~3回は面白いです。ハラハラドキドキ、次はどうしよう…とか考えられますからね。ただ完全にタネがわかってからも5回6回と失敗を続けているとさすがに気持ちも萎えてきます。下手なのが悪いとはいえ、わかっているのに突破できないもどかしさ、窮屈さはシンプルにストレスでした。
スリルは向上↑
ギリギリすぎることでアクションの難しさは増しましたが、そのおかげでスリル感は一層増しました。前作は主にステルスが中心でしたが、今作はまるで地雷原を突っ切るかのような、直接的に危険な状況にさらされることが多くなりました。鼻先まで近づかれる瞬間や、その際の演出(特に音響)は迫力満点で、前作以上にアトラクション感があって楽しかったです。
また、ストーリーもドラマチックで面白かったですね。前作は世界観や主人公に焦点を当て、終盤にかけて盛り上がっていく展開でした。今回は2人のキャラクターによる人間ドラマが中心で、子供らしい振る舞い方が現実的で身近なものとして感じられ、より感情移入できる内容でした。衝撃的なラストはもちろんのこと、序盤から中盤くらいからでもストーリーに引き込まれましたね。
初見のサプライズは超えない
客観的には非常に良く出来た作品だと思いますが、主観的には物足りなさを感じています…。
前作は何もないところから始まり、プレイヤーとしても手探り状態で予測不可能な展開が魅力でした。それに比べて今作はどうしても前作に似通っているため、ワクワク感や冒険感が薄く、初見のサプライズを超える感動がありませんでした。
全体的に既視感…というか、代わり映えしない内容なんですよね。パズルのギミックも前作や前作DLCに近いものが多く、「敵がいる→隠れてやり過ごす」、「敵に見つかる→少し先に安全圏」といった感じにゲーム性もバレバレ。刹那的な恐怖体験だとか劇的なストーリー展開には独自性がありますが、それだけを求めるにはボリュームも不足しており、定価4,000円のゲームにしてはなんか物足りなさが…。
あと今回特に感じたのが、メインテーマ(曲)が弱かったなと。パッとしないというか…マイナーチェンジというか…。ダイナミズムに欠け、逆に前作が素晴らしかったのは曲によるものも大きかったんだなと再認識。リフレインで狂気が増幅していく感じがたまらなかったんですよねー。しかし、これだけプレイが快適になっているのに、不親切だった前作を懐かしく思うとは、プレイの快適性だけでは得られない独自の魅力というのが、あるのだなと…。やはり前作は偉大。
毎日1チャプターずつでも…
総合すると、前作のインパクトを超えることはありませんでしたが、格段にプレイしやすくなっており、非常に満足度の高い作品でした。毎日1チャプターずつプレイしましたが、起動するのが毎日楽しみで、終える時には満足感と達成感があり、とても充実した日々でした。あまりゲームのプレイ時間が取れない人にもオススメしたい作品ですね。
コメント