【ソウルライク初挑戦】ダークなピノキオ世界観の『Lies of P』の感想

4.5
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ソウルライク初挑戦

作品名Lies of P(ライズ・オブ・ピー)
開発NEOWIZ(韓国)
リリース日2023年9月18日
ジャンルアクションRPG、ソウルライク
価格8,360円(Steam
対応プラットフォームPC(Steam、Microsoft:Game Pass対応)、
XboxONE/X/S、PS4、PS5
日本語完全対応
インストールサイズ35.62GB
クリア時間約30時間(1周目)

Lies of P(ライズ・オブ・ピー)はピノキオの世界観をモチーフにしたダークファンタジーアクションRPG。高難易度アクションを特徴とする、いわゆるソウルライクと呼ばれるジャンルに分類されます。一部のストアレビューでは、フロムソフトウェアのゲームにそっくりだという声が多く見られますが、自分はフロムゲーもソウルライクのジャンルも初めてでしたので、比較はできません。

クリア時間:クリアするまでに要したのは約30時間。自分の腕前では、道中一発クリアは稀で、ボスは10回くらい挑戦してギリギリ突破することが多かったです。数時間でクリアしているプレイヤーもいますが、初見のクリア時間は大体20時間~40時間程度だと思われます。強くてニューゲームできる2周目は10時間ちょっとでクリアできました。

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感想:これがソウルライクか…

初めてのソウルライクでしたが、クリア後に率直に感じたのは、達成感や解放感よりも終わりの寂しさでした。マジでそれくらい楽しめました。

前情報なしで手に取ったゲームだったので、最初の1時間はあまりの難しさに戸惑い、一旦プレイを中断したことを覚えています。調べてみたら高難易度のソウルライクアクションだったと。それでも、「せっかくインストールしたんだから」「いつでもやめることができるから」という半ば諦めた気持ちでプレイを続けました。

その後は徹底的にソウルライクの洗礼を受けました。初見殺しの罠、不規則な攻撃パターン、そして主人公のアスレチック能力の低さ。笑えるくらい簡単にゲームオーバーになります。それでも何度もゲームオーバーを繰り返すうちに、だんだんと意地でもクリアしてやろうという気持ちに変化していき、最後まで突っ走ることができました。今はライバルを喪失したような、緊張の糸がぷっつり途切れたような…そんな感情です。

プレイしていて感じたソウルライクの特徴は、納得感のある敗北ですね。たとえば、囲まれて倒されたのなら、囲まれないように立ち回ればよかったし、死角から攻撃されたなら、その死角に備えればよかった。ボス戦も、初見では明らかに無理だろうと思える強烈さがありますが、よく観察すれば隙が見えてきますし、後は操作の精度を上げていくだけです。失敗にはいつも理由があり、それを改善する方法が存在します。ひたすらトライアンドエラー。乗り越えた達成感も大きいですが、何より試行錯誤が楽しい。そんなソウルライクの面白さを知りました。

思い出ボス

腕をぐるぐるする警察ロボット:序盤ということもあり、難易度的には抑えめだが、このゲームのすべてが詰まっていた良ボス。ジャストガードの気持ちよさとディレイのエグさを教えてくれた。

司祭:なんかヌルいなと思っていたら…。

人形の王:個人的に1番難しかった。イケそうだとすらも思えない絶望の時間が長かった。早すぎるし火力高すぎるしでまったく意味がわからなかった。助霊と投擲で無理やり突破。ここを抜けたらしばらくスムーズ。

鎧のやつ:こいつもはえーんだ。ジャストガードと普通のガードの使い分けを学んだ。1周目は大剣の通常ガード、2周目は完璧の砥石に助けられた。

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アクションについて

武器にも耐久力があり、研ぐことで回復できる

キャンセル不可:ソウルライク自体が初めての自分がまず最初に引っかかったのは、攻撃動作のキャンセルができないことでした。非常に窮屈で、慣れるまでに時間がかかりました。これは攻撃する際にも反撃のリスクがあることを意図したソウルライクゲームでは定番のシステムのようですが、もっさりしているな~という印象を持ちました。攻撃後の硬直で何度カウンターをもらったことか…。

回避性能低め:敵の攻撃に対処するには、回避するか、ガードして受け止めるかの2択がありますが、回避アクションはシンプルに移動距離が短く、スタミナ消費が厳しいこともあって、あまり頼りになりませんでした。

ガードの仕様:なので、もっぱらガードに頼ることになりますが、ただガードするだけでもデメリットがあります。武器ごとにガード性能が設定されており、ガード性能を超える分のダメージはガードリゲインと呼ばれる暫定ダメージで受けます。この暫定ダメージは時間経過で実ダメージへと変換されていきますが、攻撃を当てることで解消できます。つまり、「ガード=時間制限のある回復可能な暫定ダメージを受ける」というわけです。

薄い赤ゲージがガードリゲイン

このペナルティは攻撃を当てればチャラになりますが、敵の攻撃頻度が高いため、なかなか攻撃を差し込めず、暫定ダメージは増え続ける一方になりがちです。

回避アクションが弱いために回避できず、ガードすると暫定ダメージを受ける…という防御上の難しさが、本作の難しいところでした。

敵の攻撃がヒットする直前でのガードに成功するとジャストガードとなる

ジャストガード:そこで重要なのがジャストガードです。ジャストガードに成功すると、暫定ダメージを受けずに済み、さらに相手の装甲にダメージを与えるという攻防両面でメリットがあります。極論すべての攻撃をジャストガードできれば無敵だし、攻撃のチャンスも広がります。

ただ、このジャストガードのタイミングが難しいのが問題で…。ストアレビューによると、ソウルライクゲームの中でも比較的タイミングがシビアなようです。自分の感覚では、そもそもガード自体のタイミングが遅く感じます。ピタリと来た瞬間にガードしても間に合わないので、先行入力を意識する必要がありました。

ジャストガードはすべての戦闘で必須ではありませんが、しないと厳しい敵がいるのも事実で、難しいところですが、魅力でもあります。敵の攻撃パターンを完全に見極め、ジャストガードを決められた時の快感はたまりません。自分は剣戟アクション大好きなので、強烈な一撃を剣で受け止める際の音や迫力、緊張感すべて最高でした。

読みにくい攻撃パターン:1、2、3!といった感じにわかりやすいタイミングで攻撃してくる敵にはある程度対応できますが、変化をつけてくる敵がまあ多い! 予備動作なしで攻撃してくることもあれば、溜めて溜めて溜めて、なお溜めてからドーン!とディレイがエグいこともあります。

ボスは…まだ許せますね。身体が大きいので兆候が比較的読みやすいですし、短いインターバルですぐに再戦できるので。ディレイがエグいといっても、そのディレイも変則リズムというだけでパターン化されてますから、回数を重ねることで慣れていきます。

ただ、道中の雑魚も攻撃を使い分けてくるのが本当に厄介で……。被弾時の怯みも少ないこともあって、相手の攻撃は防げないのに、プレイヤーの攻撃は容易に差し返されるというのが、とにかくストレスでした。

自分が本作で1番残念に感じているのはこの点です。システムバランス的に回避よりガードが大事なゲームなのに、その事前モーションがわかりにくいのはどうなのかなって。世界観的に機械人形を相手にしていることもあり、非生物的なぎこちない動きが多いのは仕方ないとは思いますが、にしてももう少し動きにヒントが欲しかったですね。それかもっとジャストガードの猶予時間を広げてほしかった。

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難易度について

高所かつ遠距離攻撃かつ妨害ギミック

ステージ設計:ステージ設計は過酷で、死角からの攻撃や高所からの突き落とし、狭い空間での集団戦など、典型的な死にゲー要素が満載でした。しかし、画面は暗すぎず、ステージもわかりやすい一本道になっているので、全体的にはプレイしやすく、多くの場合、ステージ設計に対するストレスは一時的なもので済みました。

目標設定の距離感が絶妙:基本的にセーブポイントからセーブポイントを目指すことを繰り返すのですが、中ボス撃退やショートカット開通など目標設定の距離感が絶妙で、また進捗がこまめに保存されるので、回復薬ゴリ押しで進めていくこともできます。対応ポイントが限られるので、対策を立てやすいですし、1チャンスで突破できる上ブレも起きやすいです。その点で、初心者でもクリアしやすいありがたい設計でした。自分が続けられたのもこの仕様のおかげですね。アクション操作が苦手でもコツコツと進めていけるので、忍耐さえあれば、誰でもクリアできると思います。

アクションの難しさに比べたらステージの意地悪なんて可愛いもの。

助霊

アプデで難易度緩和:このゲームはリリース当初よりもかなり易しくなっています。自分がプレイしたv.1.5に至るまでに何度かアップデートが行われ、その内容はほぼ難易度を下方修正するものとなっています(詳しくは公式サイトのアップデートノート参照)。

特に大きいのが助霊の強化。本作は完全オフラインのシングルプレイ専用ゲームとなっていますが、ボス戦のみNPCを召喚して共闘することができます。それが助霊。リリース当初は耐久力が低すぎてまったく役に立たないという評価でしたが、現在では少なくとも、しばらくは戦える囮としては機能し、そこそこ頼りになる存在になっています。死ぬときは死にますが、敵を上手に引きつけてくれたときは、プレイヤーは防御を考えずにひたすら背後から斬りつけるだけという別ゲーになります。

助霊は強力ですが、助霊以外に頼るものがないのも事実です。何度ゲームオーバーになっても、難易度緩和措置は一切ありません。そこが少々厳しい部分ですね。

装備と強化について

バイオ、サイコブレイク味もある作品

武器:ブレード(剣先)と柄(持つ所)を自由に組み合わせることができる武器システムが特徴的。剣と柄それぞれに特有のアビリティ(フェーブルアーツ)があり、柄の場合は、剣を振るスピードにも変化を与えます。シナジーのあるアビリティ同士を組み合わせたり、重い剣先を軽い柄につけて取り回しを改善したりすることができます。また、リージョンアームという片腕に装着した特殊兵装も含めて、武器の幅広いカスタマイズ性はユニークで面白かったです。

重量問題:ただ残念なのが重量問題。装備品にはそれぞれ重量が設定されており、積載量を超えると、移動速度が遅くなり、スタミナの回復も遅くなります。個人的にはこのバランス設定がシビアすぎると感じました。

特に武器の重量差が大きく、大剣のような重たい武器は積載量をすぐに満たしてしまいます。際立って強いというわけでもないのに不可解です…。武器は2種類装備でき、ワンボタンで切り替えて、状況に応じて使い分けることができますが、この重量制限のために、完全に無用のシステムになっていました。

積載量を増やすためにレベルアップしてステータスを上げることもできますが、せっかくのレベルアップボーナスをただ重量のために振るのも、何かアレだなーという感じですしね。

P機関:めちゃくちゃ良いシステムだなと思ったのが、P機関と呼ばれる永続的なプレイヤー強化システム。回復量の増加やアクション効果の追加、ダメージ量増加など、種類が豊富で、なおかつ効果も実感しやすいものが揃っています。

強化にはクォーツという主にボスドロップのレアアイテムを使用し、強化は周回しても引き継がれるため、強敵を倒せば強くなっていくという成長感、達成感を味わえました。クリア後に解放される強化要素も存在し、やり込み要素としての魅力もあります。一方で、追加アクションやガードの強化などは、最初から解放されていたほうが、アクションの楽しさを引き出せていたのではないかなと思います。

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ダークな世界観最高

ストーリー:ストーリーは童話のピノキオをモチーフにしており、童話と同じく、主人公はゼペットじいさんにつくられた人形で、嘘をつくことへの倫理的問いかけや、人形と人間の差異といったテーマが中心になっています。

人形をロボットに置き換えたら、SFではよくある話ですね。「偉大なる約束」なるロボット三原則のような文言もありましたし。最終的な決着も人形の意思的な方向に進むのですが、全体としては人間目線の終末ものの雰囲気で、人形の意思とかいうより、エゴ丸出しの人間の浅はかさの表出が主だったような気がします。

エンディングは2周クリアしておそらく最良と最悪の両方見ました。難しかった分、最良の方のエンディングは素晴らしかったですね。作り物ばかりの世界で、真に人間らしいものがどこに宿ったのか…それに気付いたことと、それを証明するある行為が最後に描かれたことは、綺麗すぎるほど良くできていました。

基本的に小話的な個々のドラマを楽しむスタイルで、全体的に陰鬱でダークな雰囲気ながらも、内容やノリはキャッチーでわかりやすかったですね。この親しみやすさは、欧米のゲームからはあまり感じられない特徴で、文化圏の近い韓国のゲームゆえに感じられたものなのかもしれません。

音楽について:音楽も素晴らしかったですね。レコードという収集要素があり、それを聴きながら拠点の作業ができるのは、ゲームの雰囲気に深く浸ることができて素晴らしい体験でした。ただ、それだけに戦闘時のSEがやや物足りない印象を受けました。たとえば、敵が倒れた際のうめき声が、どんなに遠くに離れていても真正面から聞こえるのは臨場感に欠けました。音楽はちゃんと遠ざかって聞こえるんですけどね。ちょっとおしいポイント。

良くなかった点

ゲーム全体の魅力に影響を与えるほど酷くはないですが…。

  • 雑魚のモーションがわかりづらい
  • 高所のアイテム
  • ロードが長い

雑魚のモーション:先に触れたように、回避が弱く、ガード偏重のゲームであるのにかかわらず、全体的に敵の攻撃が読みにくいです。ボス戦ならやりがいを感じられますが、雑魚相手に手間取るのはただの苦痛でした。

ハイリスクノーリターン:明らかに危険な場所に置かれたアイテムは、ほとんどが罠であり、近づくと何らかの妨害が発生します。問題は、その妨害をかわして入手したアイテムが、期待外れなものばかりで、達成感を得られないことです。リスクとリターンが見合ってません。

ロードが長い:マップを移動するたびに待たされるロード時間が長めでした。

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総評:出会いに感謝

初めてのソウルライクとして、良い出会い方をしたなと思います。十分に楽しめましたし、原初のフロムゲーに対する興味も湧いてきました。

不満の行き先がゲームそのものではなく、目の前のギミックだけに向けられる程度には、フェアに感じられるところが、『Lies of P』の素晴らしさだと思います。一部の遊具には不満があっても、遊び場自体には満足している、そんな感じ。

大分忍耐を必要とするので、気軽におすすめはできませんが、興味がある人はぜひ。

リンク:Steam/Xbox

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