作品名 | 祇(くにつがみ):Path of the Goddess |
開発 | CAPCOM |
リリース日 | 2024年7月19日 |
ジャンル | アクション、タワーディフェンス |
価格 | 4,990円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam、Windows) PlayStation4&5/Xbox OneXS |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約21.6GB |
Steam評価 | 圧倒的に好評(91%) |
プレイ時間 | 約17時間 |
- Qどんなゲーム?
- A
自分1人だけ好きに動けるタワーディフェンス
ざっくりとしたストーリー
人々の欲が原因で、妖怪(異形)みたいなのが出てきて村々が飲み込まれちゃった!
巫女様が浄化していくから、道中みんな守ってね!
ストーリームービーは言葉によっては語られず、登場人物たちの心情を自由に解釈できるのが特徴。
ゲームの流れとゲームシステム
ゲームシステムはステージ制。1つずつ村を解放していく形です。
ステージは、「通常ステージ」と「ボスステージ」に分かれています(どちらも仮称)。
昼と夜
通常ステージでは、少しずつ進む巫女がゴール(鳥居)に到達すればクリアです。しかし、巫女は昼の間しか移動できません。
夜になると鳥居から敵が出現し始め、村人を配置して迎え撃つタワーディフェンス的な戦いが始まります。
昼→巫女の移動、マップの探索
夜→巫女の防衛
村人には「槍兵」や「弓兵」といった職業を与えることができ、配置した範囲内で自動攻撃を行います。また、配置とは別に「突撃」や「防衛(退却)」といった一括指令コマンドもあります。
さらに、本作の特徴として、村人たちと一緒にプレイヤー自身が自由に動いて戦うことができます。操作感は無双シリーズに似た、通常攻撃とチャージ攻撃を組み合わせたシンプルなもの。
村人だけでも十分な火力があるのと、リトライが容易なことから、タワーディフェンスとしては易しめ。ただ、HP管理、回復、救援、退避とやることはそれなりに多いです。
ボスステージでは巫女の移動はなく、シンプルにボスを討伐するのが目標です。一緒に戦う村人もいますが、戦力的にはプレイヤー主体でがんばる必要があります。
ボスは巨大で、攻撃パターンを見極める必要があり、ガードや回避を駆使する点でモンハンっぽいです。
村を解放した後は復興作業が待っています。これはシンプルに村人を配置するだけの、散歩の延長みたいな作業ですが、強化アイテムや装備品などを入手できるため、必須項目。
解放した村には巫女が待機する天幕が必ず設置されており、ここがいわゆる装備変更や強化を行う「本拠地」として機能します。
強化にはステージクリア報酬や村人からのお礼で得られるアイテムを使用し、再振りも自由。ステージに合わせて好きなビルドをいろいろ試すことができます。
プレイ時間:17時間
クリアまでに要した時間は約17時間。どのボスも必ず1回はゲームオーバーになるくらいの腕前でした。アクションが得意な方ならもっと速くクリアできると思います。調べてみると15時間前後が平均タイムのようです。
他のプレイヤーのレビューでは「わりと簡単」という声が多く見受けられます。個人的には一般ステージでは同意しますが、ボスステージでは純粋にプレイヤーのアクションスキルが試されるので、楽々って感じではなかったです。まあでも、死にゲーと呼ばれるジャンルと比較すれば簡単な方だとは思います。
なお、本作には周回プレイ要素もあり、「強くてニューゲーム」が可能です。周回でしか手に入らない装備品や裏ボスも存在するようですが、今回は気力が続かずギブアップしました。
感想:雰囲気ゲーとしては完成度が高い一作
なんといっても世界観の作り込みが素晴らしい。和風モチーフの作品は数あれど、「見たことねぇ!」と驚かされる独自性がありました。既視感がありながらもどこか新鮮。馴染み深い和の雰囲気の中に異質さが混ざり合い、独特の世界観が神話らしい幻想性をさらに際立たせていました。
全体的にはクオリティが高く、ユニークさも際立つ作品で、発展可能性は強く感じさせます。評価としては確実にプラスですが、いくつかの至らない点が散見され、惜しい部分も多いのも事実。
夢中になってクリアできましたが、正直な感想は「まあまあ」といったところ。
2つのゲーム性
通常ステージとボスステージでプレイ感がまったく異なるのが、それぞれ別のゲームをしているかのような感覚で、良い意味でも悪い意味でも独特な体験でした。
通常ステージはタワーディフェンス。ボスステージはアクション。
通常ステージは「めっちゃ忙しい」
通常ステージはタワーディフェンス要素が主体で、昼に探索、夜に防衛という流れです。昼は、こなすべきタスクに対して持ち時間がかなりシビア。足を止めて考える時間もなく、なんならこのゲームで1番戦略的に難しい時間かもしれません。
そして夜はまた防衛で忙しい。ステージによっては前後左右から現れる敵を相手に戦場を往復しながら戦わなければならず、濃密なプレイ体験を味わえます。
タワーディフェンス的にはそこまで工夫を求められない場面が多く、村人だけでも十分に戦えてしまうので、難易度的には控えめ。それでもゲームオーバーにはめっちゃなりました。「いつの間に!?」が多かったかな。これには後述するカメラワークの問題があります。
ゲームオーバー後のリスタートが優しい設計なのは嬉しいポイント。たとえば2日目の夜にゲームオーバーになった場合でも、「ステージ最初」「2日目夜冒頭」「セーブした地点」から選んで再開できます。しかも装備変更の時間までさせてもらえるという。この配慮がなければ、クリアまでのモチベーション維持は難しかったかもしれません。
ボスステージでは村人がピクミン化
ボスステージはがっつりアクションのためのステージ。ちなみにボスステージといっても、通常3:ボス1くらいの割合で登場するため、意外と頻度は多めです。
ボスは野性的な動きに加え、ギミックを持つ存在で、いわゆる死にゲーの序盤ボスのような、ほどよい難易度だったと思います。
問題は、プレイヤーが対応できても村人は対応できないこと。特に近距離戦は一方的に攻撃を食らうばかりで、さながらピクミンの如く、あっという間にお亡くなりになります。
そのため、村人を活用するには繊細な運用が求められるのですが、システムの制約により非常に難しくなっています。村人をチェスの駒のように直感的に操作できればよかったのですが、実際にはリストから1人ずつ選択する手間が必要で、その上カメラ視点が近いため、俯瞰で状況を把握するのが非常に困難です。
範囲攻撃の予兆を察知しても、それぞれのキャラクターを最適な位置に避難させるような細かい操作がやりづらく、めちゃくちゃストレスでした。
結果的に近距離職の採用は諦めて弓や火縄といった遠距離攻撃職を離れた安全な場所に配置し、あとはプレイヤーソロでがんばってました。モンハンを初心者とやってるみたいな、「ギミックわからないなら下がって遠距離で戦ってて!」ってな感じ。
プレイヤーだけでも戦えるっちゃ戦えます。むしろそれが本来の戦い方なのかもしれません。ただ、そうなると「普通のアクションゲーム」でしかないんですよね…。
本作のアクション操作はフェアなスポーツ性…というよりも舞をモチーフにした「魅せ戦闘」に重きを置いており、ライトで見栄えが良い点は魅力的ですが、それのみでボスと戦わなければならない状況になると、純粋なアクションゲームと比べて物足りなさを感じてしまいました。ボスの数や多彩なギミックの数々には感心するものの、「このゲームでやる意味があるのか?」って思うんですよね。どっちつかずで中途半端というか…。
総評:続いて欲しいシリーズ
タワーディフェンス要素とアクション要素、どちらもそれっぽくは遊べるものの、そこまで深くはないのが本作の特徴でもあり、良くも悪くも「幅広くライトに楽しめるゲーム性」。ただ、個人的にはそれが中途半端に感じられました。
ストラテジーとアクション、両方の高いやりごたえを目指す設計は挑戦的ですが、現時点では難しかったのかもしれません。いっそ簡単にしてみるのも1つの手かも?
いずれにせよ、「雰囲気ゲー」としては圧巻の完成度なのは確か。ボス召喚ムービーや地面の色彩、木漏れ日、職強化後の見栄、和菓子のクオリティや浄化の舞など、ビジュアルや演出面で印象的なシーンは容易に思い出すことができます。いろいろあった戦闘のモヤモヤも、「フー!ハー!フーフーハー!」という浄化の舞とともに忘れ去ることができました。
細かい不満点も他にもいくつかありましたが、あえて記事には書きませんでした。それらは今後のアップデートやフィードバックで改善されると思います。ただ、自分が求めているのは単なるマイナーチェンジではなく、この挑戦的なゲーム性をさらに進化させた次回作です。出る…よね?
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