
作品名 | Hades(ハデス) |
開発 | Supergiant Games |
リリース日 | 2020年9月17日(Steam) |
ジャンル | アクション、ローグライク、RPG |
価格 | 2,800円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/Windows) PS4|PS5 Xbox Series X|S Switch |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約11GB |
Steam評価 | 圧倒的に好評(98%) |
プレイ時間 | 約25時間~ |
ざっくりとしたストーリー

- Qどんなゲーム?
- A
地獄からの脱出を目指す死に戻り系アクションアドベンチャー!
ギリシア神話をベースにした重厚な世界観と、何度も挑みたくなるローグライクの周回要素が融合した高難易度アクション。
2020年のベストインディーゲーム賞(ゲームアワード)をはじめ数多くの賞を総なめした「圧倒的に好評」の作品。最近では続編の『Hades Ⅱ』がSwitch2からもリリースされるというのがニンダイでやっていましたね。

ストーリーをざっくり説明すると、
主人公「冥王(地獄の王)の息子だけど、もう地獄は嫌だ!ここから脱出してやるぜ!」
冥界の人々「またかい┐(´д`)┌」
オリュンポスの神々「私たちは君を全力でサポートするよ」
冥王ハデス(パパ)「それはいかん!なぜなら──」
主人公「おっと、俺の出生には複雑な事情があるらしいぜ!」
みたいな話。
実際のギリシア神話においては、ハデスとその王妃ペルセポネの物語はそこそこメジャー……らしい。一方で、息子のザグレウス(本作の主人公)はというと、ギリシア神話の本流というよりは、存在自体がフィクションのような存在。そんな彼の生い立ちの謎を解くのが本作のお話。
ゲームシステム:周回要素のあるローグライク

大まかな流れ:地獄から地上を目指し、地獄の人々はそれを阻止しようとする、地上に行けたらゴール。負けたらまた地獄からやり直し。
ゲーム画面はクォータービュー(2D斜め見下ろし)で、操作感はツインスティック系シューティングに近いです。
移動と向きを同時にコントロールしつつ、「通常攻撃」「特殊攻撃」「魔弾(ボム)」「ダッシュ」の4つの基本アクションを使い分けて敵の全滅を狙います。
ダッシュには短い無敵時間が付いており、ほぼすべての動作をキャンセルできるため、「攻撃→ダッシュで回避→攻撃→ダッシュ…」といった感じの速いテンポでのスピード感のあるアクションが魅力です。
わりと連打系。

ステージは複数の区画(部屋)に分かれており、区画ごとに全滅を狙う感じです。
一定区画ごとにボスが配置されており、それらすべてのボスを倒し、地上に到達することが最終目標です。

強化は功徳(くどく):本作において強化は「神から与えられる功徳(くどく)」という扱いで、対応する神が示す3つの功徳から1つを選ぶという仕組みになっています。

基本的には「通常攻撃」「特殊攻撃」「魔弾」「ダッシュ」のいずれかのアクションに変化をもたらすもので、選択と組み合わせ次第で戦い方がガラリと変わることもあります。
周回要素:敗北すると地獄の入口に戻され、再び同じルートを最初から走らなければなりません。しかし、一部の区画報酬には次回以降の周回に持ち越せる永続アイテムが含まれており、本拠地での設備投資やキャラクター能力初期値のアップ、さらには交友関係構築に使うことができます。
このように、何度も挑戦するうちに少しずつ有利になる設計となっているため、パーマデスが基本の純粋なローグライクとは言えないかもしれません。
強くてニューゲーム!

プレイ時間:ストーリーは何周もすることで少しずつ語られていく作りなので、複数回クリアが前提となっています。プレイ時間は個人差が大きいですが、自分の場合は1回目のクリアが15~20時間、メインストーリーを追い切るのに約25時間ほどかかりました。
1周あたりのクリアタイムは30~40分。ただし、報酬を選ぶ時間やテキストが流れている時間はタイマーが止まっているため、実時間は1時間ほど。慣れてサクサク進めるようになると、止まっている時間も含めて40分くらいですかね。

難易度:難易度はかなり高め。何度もゲームオーバーになりながら敵のパターンを覚えていく──いわゆる「死に覚え」が求められる難易度です。
周回による永続強化があるとはいえ、その恩恵は「ほんのり」。強化が進んだからといって、特段楽になるようなことはなく、どこまでいっても最低限のアクションスキルが要求されます。
なお、どうしてもクリアが難しい方や、短時間で終わらせたい方向けに「ゴッドモード」なる救済システムが用意されています。ゴッドモードは地獄に戻って来るたびに強くなっていく周回要素超強化版。ストーリーだけを追いたい方はこちらを活用するのも手です。
感想:初見、中盤、終盤で見える景色が変わってくる

初見の反応「どういう意味?」
初見では、高い難易度よりむしろ説明不足に戸惑いました。攻撃方法すらチュートリアルがなく、「魔弾って何?」からのスタート。強そうな名前から特殊な効果があると思いきや、実際には通常攻撃と同じようなものと知って「なーんだ」と…。

あと困ったのが部屋前のアイコン。本来はルートを示す標識なのだけど、その標識の意味がわからない。「コイン」や「ハート」はなんとなくわかる。でも「赤いスイカ」や「稲妻」って? 神のアイコンだというのはわかるけども、その神がどんな強化を持っているかまではわからない。強化の選択が重要な要素であるにもかかわらず、判断材料がないから選べないもどかしさ。
後々「辞典」のようなシステムが解放されて確認はできるようになります。しかし、そもそものシステムとして強化が神ごとに分類されているってのが直感的ではなく、馴染むまで相当時間がかかりました。
難易度については「難しいけど、まあ周回強化できるし!」って気楽に構えていたので、特に深刻視していませんでした。
中盤~煮え度MAX

「おや?」となり始めたのが、周回要素の影響力に気づいたとき。
「あんまり強くならないぞ」と。
ただでさえ1周分の報酬がそんなにでもないのに、高いコストを支払って発動する永続強化の効果は微々たるもの。「本当にクリアできるのか?」と不安に思ったのを覚えています。
「せめて1度はクリアしてやる!」と意地で挑戦しては、いつも少し及ばない。なので、まあ、ムカついてくるもので。
気に入らなかったことベスト3

1.持ち越しアイテムが枠を潰す
永続強化のための素材アイテムの種類が多いうえに、通常の強化と枠を食い合っているのが気に入らない!
デッキ構築ローグライクでいうと、カード追加の代わりに、その回だけは使い道のないカードが無理やり手札に加わるような状況。しかも、その対象となるのが4種類にもおよび、その分、通常の強化の機会が減少するという…。
仮に強化部屋に到達したとしても、得られる強化が必ずしも「当たり」になるわけではなく、自分としてはガンガン強化していきたいのに、そもそも強化の機会が少ない、そのうえで当たり外れがあるってのが面白くないなと。
一応こうしたその周回では効果のないアイテムの取得に際して、追加でコインを獲得できたり、部屋のリロールができたりする機能もあります。ただ、いくらなんでも実装時期が遅すぎる。リロールを自分が使えるようになったのはストーリー佳境の頃。ほぼないようなものでしたね。

2.永続強化の恩恵が渋く、しょぼい
そんな貴重な強化枠を奪ってまでも手に入れた永続強化の効果は、正直「ほんのり」程度。体力増強やコイン入手量アップはまあまあ実感できるものの、それ以外はコストに見合った変化が感じられず、「これだけ?」と拍子抜け。どこまでいっても劇的に楽になるフェーズは訪れず、最後までプレイヤーの腕前がものを言う硬派な難易度。

3.罠多すぎカオス地獄
ダメージ床、投射罠、毒をまき散らす雑魚、自爆する敵……部屋中があらゆるギミックに埋め尽くされ、もうカオスすぎてわけがわからん。その点でカオスな雑魚戦よりワンパターンなボスの方が楽なのかもしれない。まあ、ボス戦でも雑魚が召喚されるんだけどさ…。歩けば罠、歩かなかったら遠距離攻撃。プレイ感はかなり窮屈。
ソウルライクのように「次はこう来て、その次はこう」と設計された配置ではなく、完全ランダムなカオス配置なのがストレスに拍車をかけるんだよなあ。
上達の実感と初クリア

10~20時間も同じ敵と戦い続けると、さすがに被弾も減ってくる。
とりわけ成長を実感できたのが「復活回数の温存」。最初のボス戦で復活を使い切っていたのが、2番目のボス、3番目のボス……と少しずつ温存できるようになり、ついにはラスボスまで1度も使わずにたどり着けたときには「いよいよクリアできそうだな」と。まあ、ここからもだいぶ苦労したのだけど、戦いの中で確実に前進していることを感じられて、ついに初クリアしたときの充実感は格別でした。

初クリア後は「難易度拡張モード」がアンロックされ、それに応じて初登頂報酬もリセット。これによって、永続強化がさらに捗るし、メインストーリーも新たに進展。このあたりが最も楽しいフェーズでしたね。
「まあクリアできるだろ」という余裕が生まれたおかげで、敵の動きが一層よく見えるようになって安定度が増したし、ストーリーがどんどん進展していくからモチベも尽きない。
そこからサクッと連続クリアでメインストーリーを駆け抜け、素晴らしいエンディングを迎えたところでフィニッシュ。武器強化やさらなる難易度上昇モードといったやりこみ要素は山ほど残っていましたが、「まずは一区切り」ということで、ここで終了。
終わってみたら「あっという間」で、それだけ夢中でプレイしていたんだなと。
良い点、悪い点をざっくり羅列すると以下。
良かった点
ダッシュキャンセルの爽快感:アクションの肝は「無敵時間のあるダッシュ」。どんな行動でもキャンセルでき、ギリギリの回避や、ダッシュ中の攻撃など、ハイテンポな立ち回りがクセになる。
ローグライク的な成長要素:1部屋ごとに強くなっていく成長要素がベタな面白さ。オリュンポスの神ごとにユニークな効果を持っていることや、アクション自体に変化を加える強化があるのが面白い。周回による永続強化もシステムとしては好き。
絶妙な難易度設計:初見ではクリア不可能に思えるほど難しかったが、敵のパターンは一律でフェア。少しずつ到達距離が伸びていく成長を実感できた。

厳かな雰囲気崩さずハートフルに:世界観設計に対する評価も高いようですが、それがよくよくわかる素晴らしさでした。
まずアートスタイルでいうと、区画ごとに美しく使い分けられたビジュアルが強烈な印象。登場キャラクターも多彩で、立ち絵のクオリティはもちろん、テキスト力が凄い。丁寧語から砕けた口調、小言混じりの皮肉屋、理論派、感情的に詰め寄る者まで、セリフひとつでキャラの立ち位置と性格が瞬時に伝わります。

何気ない会話の中にも、即時的ではない、どこか含蓄のある言い回しが随所に見られ、古典的な神話モチーフを現代的なテンポで再構築しているテキストの質は圧巻。それでいてユーモアを忘れず、重くなりすぎない絶妙なバランスが良い。
こういう神が登場するようなファンタジー系の作品だと、次元が高すぎてずっと何を言っているかわからないことも多いのだけど、本作ではそういうのがなかったです。翻訳家の技量かもしれませんが。メインストーリーも家族の物語という普遍的で親しみやすいテーマに落とし込まれていて、感動とまではいかずとも、良い話だなぁという感じで染み入る程度には没入できました。
気になった点
「説明不足」「罠が嫌い」「周回要素の塩梅」以外で。
強化のバリエーション:功徳の多くはアクションの強化・変化系で、複数の効果を重ねて完成するような「構築感」があるビルドは少なめ。功徳同士で競合するものも多い。全体的にこじんまりとしている印象。劇的に強くなることがないため、終盤の敵の硬さに対して武器が少ないと感じてしまう。
同じ敵と繰り返し戦う:ストーリークリアまでに20~30周必要なため、同じ敵と何度も対峙することに。「またあの敵か…」となると、どうしても飽きが出やすいです。
総評:ハードだけど楽しかった
面白かったー。良い作品。時間を忘れて没頭するのは久々。
どこまでいっても自力でがんばらないといけないのがややハード。序盤は理不尽に感じるかもしれませんが、その苦労を乗り越えた先にある達成感は格別。完全クリア後のやり込み要素も充実しており、ボリュームも十分。緻密に練られた世界観とテキストの質も、単なるアクションゲーム以上で、間違いなくオススメできる作品です。
ただ、個人的には、罠だらけの戦場とローグライクの味付けがあまり好みではなく、もっと派手に暴れ回れたらもっと楽しかっただろうなぁと。気が向いたら2もやります。
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