作品名 | FTL: Faster Than Light |
開発 | Subset Games |
リリース日 | 2012年9月15日 |
ジャンル | ローグライク、ストラテジー、RTS、SF |
価格 | 通常版:980円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam、GOG)、 アプリ版(App Store) |
日本語 | 対応 |
インストールサイズ | 約273MB |
Steam評価 | 圧倒的に好評(95%) |
プレイ時間 | 約30時間 |
昔『Slay the Spire』をプレイした際に、FTLというカードが出てきました。それを見て、どうやら本作が元ネタらしいと知り、いつかプレイしたいな~とずっと思っていました。
実際に本作をプレイしてみた結果、『Slay the Spire』は間違いなく『FTL』のエッセンスを引き継いだ作品だったんだな、ということがわかりました。デッキ構築とRTSというジャンルの違いはありますが、ローグライクの部分では非常に良く似ています。
ちなみに、タイトルの「Faster Than Light」とは、「光より速く」という意味で、何光年も離れた場所にすら瞬時に到達できるという超光速泳法を指すSF用語です。現代の技術では月まで数日、太陽までは何十年もかかりますが、それが一瞬で移動できたら……という昔からのSF定番テクノロジーですね。例えばワープとかそんなのです。
- Qどういうゲーム?
- A
宇宙船同士で戦うクルー管理型RTS
ストーリーと目的:宇宙を舞台にした連邦軍vs反乱軍の争いが勃発。プレイヤーは連邦軍として参戦し、連邦本部へ合流する道中で反乱軍やその他敵対勢力と戦います。船の装備や人員を強化しながら進み、最終的には反乱軍の旗艦を沈めることが目的です。
ゲームジャンル:ジャンルはリアルタイム進行の戦略ゲーム(RTS)です。プレイヤーは、武器の発射タイミングや、複数の区画に分かれた船内のクルーの配置を管理します。以前プレイした『BOMBER CREW』に近いですけど、こっちのが当然元祖。
宇宙船同士が武器を打ち合う中で、クルーはシステムの補助や修理を担当し、戦いはどちらかの船体が破壊されるか、クルーが全滅するまで続きます。特筆すべきは、劣勢や優勢に関わらず、クルーの働き次第で状況をすぐにリカバリーできる点です。内政ゲームのような面白みがあります。
RTSと聞くと慌ただしいゲームを想像するかもしれませんが、本作には一時停止ボタンがあるので、基本的には落ち着いて考えることができます。慣れてくるとむしろスローに感じるかもしれません。
マップは8つのセクターで構成されており、各セクターは20~30のビーコン(通過点)で構成されています。ビーコンはどのような順番で通過してもよく、そのセクターの出口のビーコンに到達すると次のセクターに進むことができます。
『Slay the Spire』で言うところのステージが8つあり、その道中が一筆書きではなくてもいいというイメージです。ただし、時間経過で進める範囲が狭まっていくため、ある程度考えながら道を選ぶ必要があります。
最終セクター8では、ラスボスである旗艦が待ち受けており、それを撃沈させることができればゲームクリアとなります。
感想:これぞローグライク
ランダム要素の妙
面白い!
10年以上前の作品で、もはや古典とも言えるゲームですが、色褪せることないですね! いやー大人気なのも納得の面白さでした。
その面白さの根源は、なんといってもローグライク的イベントの豊富さ。次のエリアに進むたびに何かしらのイベントが発生し、その種類と上振れ下振れに毎回一喜一憂しました。1セクターにつき10部屋近く×8セクターもありますから、本当にもういろいろ起きますね。
大まかな攻略セオリーみたいなものはあるものの、紆余曲折には毎回新鮮な驚きがあり、繰り返しプレイしても常に楽しいですし、発見があります。
プレイ前の印象では、その見た目から「なんて地味そうなゲームなんだろう…」と思っていましたが、実際にプレイしてみると、ものすごく弾力性のあるというか、ドラマが詰まった濃密なプレイを楽しめ、時間を忘れて没頭しました。
宇宙船バトルはスリリング
ランダム性は宇宙船バトルでも存分に発揮されており、
- 敵の兵装やシールドの枚数
- どこの区画を狙われるか
- 武器命中率
など、運要素が多く絡んでいます。
ほとんどの場合は盤石に勝てるのですが、運が悪いときは当て逃げのような一瞬のチャンスを活かしてギリギリかわし切るような、そんな修羅場も多いです。その点で非常にピーキーで緊張感があります。
また、なんといっても難しいのはクルーのHP管理ですね。船同士の戦いでは、システムは壊されても修理すれば再び機能させることができるため、クルーが健在であるかぎり戦い続けることができます。
しかし、船内は「敵からの直接攻撃」「火災」「酸素欠乏」「直接侵入」とダンジョンさながらの危険さで、クルーたちはあっという間に旅立ってしまわれます。テレポーターで敵船に送り込んだ味方クルーごと撃沈させてしまう失敗も数え切れず…。
壊されても直せばいいシステムとは異なり、クルーという人的資源は替えがきかないため、船体HP以上に注意を払う必要がありました。
命の儚さを知るのにとてもいいゲーム。
強化の選択とタイミングが肝心
個人的にこのゲームの肝は戦闘に至るまでの強化の選択やタイミングにあると思います。ローグライクデッキ構築…じゃないですけど、戦闘前の準備段階でほぼ結果が決まるという感覚です。
強化は、各種既存システムのアップグレード、新武器と新システムの購入、新クルーの勧誘、さらには単に船体の修復など、様々な選択肢があります。面白いのは強化に上限があることですね。あれもこれもと無尽蔵に上げることはできません。必ずどこかで妥協する部分を考える必要があり、構築にはいつも悩まされます。
基本的にシールドゲーで、いかにシールドを突破するかが攻略のポイント。シールドを貫通するミサイルを使う、飽和攻撃で無理やり突破する、テレポーターで敵船を乗っ取る、といった様々な戦術が取れます。
良くなかった点:ランダム性と難易度
良くなかった点は、やはり良くも悪くもランダム性がありすぎることですね。
バッドイベントが本当にバッドで、補充が難しい貴重なクルーがあっさり消えることは日常茶飯事です。ただし、明らかに危険そうなイベントは事前に避ける選択肢があることが多いので、注意していれば回避可能です。
問題は戦闘です。相手の武装によって難易度が大きく変化します。
具体例として以下のようなケースがあります。
- ミサイルばかりの武装:防ぐ手段が少ない
- 序盤のテレポーター:序盤は人数が少なく、撃退に苦労
- 序盤から複数兵装+攻撃ドローン←手数多すぎる
端的に言えば、武装がつえーのがつえーです。システム上、優位に立った側が一方的に蹂躙する展開になりがちなため、確実に先手を取れる武装の力、量が正義です。
終盤であればどんな相手でもある程度対応できますが、リソースの少ない序盤にこれらに遭遇すると非常に厳しいです。
難易度は進行に合わせてゆるやかに上昇していく傾向があるものの、イベントや敵武装のランダム性がその微妙なバランスを崩すことが多々あり、オーバーすぎて理不尽に感じるときもありました。
総じて初心者には厳しい難易度ですね。実際、本作は本当に難しくて、Steamの実績データでは「セクター5到達」だけで40%、「難易度Easyクリア」でも24%という低いクリア率を示しています。せっかくランダムイベントによる繰り返しプレイが楽しいのに、そもそものクリア自体が難しいのはもったいないな~と。
総評:ローグライク好きなら絶対プレイするべき
画像を見ると地味に感じるかもしれませんし、「元祖」とかつけるとさらに古臭く思えるかもしれません。自分もそこがずっと引っかかっていて、なかなかプレイする気になれませんでした。
…しかし実際にプレイしてみると、古臭さを微塵も感じさせない本当に面白いゲームでした。「良くできているな~」「面白いな~」という感心レベルではなくて、「面白すぎる」「やめられない」というレベルで楽しめました。
「古典だから」「インスパイア元だから」という付加価値がなくても、シンプルに面白いからという理由でオススメできます。通常バージョンに加えて公式拡張版や多数のMODもあり、ハマれば長く楽しめると思います。コスパも良好。ただ、戦略ゲームとしてはランダム性が大きいので、フェアを求める人には少し向かないかもしれません。
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