作品名 | DREDGE(ドレッジ) |
開発 | Black Salt Games |
リリース日 | 2023年3月31日 |
ジャンル | アドベンチャー、釣り、ホラー |
価格 | 2,800円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/Epic/Gog) Switch/PS/Xbox |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約774.01MB |
Steam評価 | 圧倒的に好評(95%) |
プレイ時間 | 約9時間(バニラのみ真エンド) |
- Qどんなゲーム?
- A
魚を釣って得た資金で船をアップグレードしていくラヴクラフト風ホラー×アドベンチャー釣りゲーム。
※ラヴクラフトは20世紀初頭のアメリカの怪奇小説家。クトゥルフ神話の元ネタ。登場するのが、日本の妖怪のような「人間の延長線上的な存在」ではなく、「宇宙規模で人知を超えた神のような存在」なのが最大の特徴。ラヴクラフト文学にインスパイアされた作品は海外にとても多いです。
基本的には海上探索と釣りがメイン

ざっくりしたストーリー:主人公(プレイヤー)は、ある港町に漂着し、そこで漁師としての生活を始めることに。船を操縦して海を探索し、釣った魚を市場で売りながら生計を立てていきます。

船はWASDで操作。釣りができる場所はモンハンの採集ポイントのように決まった場所(泡ぶくぶく)にあります。

釣りはデッドバイデイライトのスキルチェックのようなミニゲームで、タイミングよくルーレットを止めることで、手早く魚を引き揚げることができます。ミニゲームに失敗しても引き揚げが少し遅くなるだけですみますが、このゲームは時間がとても貴重なので成功が前提。
※ミニゲームはオプションでスキップすることも可能ですが、手動で行ったほうが時短になります。

釣った魚は、種類ごとに異なる形をしており、それを船倉にうまく詰め込む必要があります。これがちょっとしたパズルのようになっていて、うまくスペースを確保しながら適切に配置する工夫が求められます。

釣った魚は市場で売ることができ、装備をアップグレードする資金になります。食料や燃料の概念はないため、基本的には釣れば釣るほどお金が増えていく仕様になっています。
※船の損傷はある(障害物に当たるなど)。釣具の消耗もあるがごくわずか(修理費激安)。
行動するたび進む時間

このゲームには時間の概念があり、船を動かしたり釣りをしている間にどんどん時間が進んでいきます。特に夜になると異変が起こるため、日が出ているうちに用事を済ませておくことが望ましいです。
※立ち止まっている時間、たとえばテキストを読んだり、船の中で何かしている間には時間が止まります。

夜になると海の様相が大きく変わります。
周囲は真っ暗になり、ライトがあっても足元しか照らされません。頼りになるのは地図と灯台の明かりだけ。

そして、なんか出る。
こうした怪奇と遭遇するたびプレイヤーの正気度は削られて……。
何が起こるかは実際にプレイしてみて……。

この海の怪奇に迫るのが本作のストーリーです。
ストーリーは本拠地の近くにメインストーリー用の島があるので、そこで依頼をこなす形式で進行していきます。進捗に応じて、移動力ブーストや拠点ワープなどの新たなスキルが覚えられ、探索や釣りの自由度が次第に広がっていきます。

プレイ時間と難易度
プレイ時間は約9時間。収集要素にはあまり手をつけず、ストーリーのみに集中してこれくらい。
序盤は移動可能範囲が狭く、かなり時間がかかる作品という印象でしたが、船のアップグレードが進んでからはサクサク進行。
難易度については特に難しいと感じる場面はありませんでした。どこに向かえばいいか必ずヒントが用意されているので、指示通りに進めれば誰でもエンディングまでたどり着けます。
感想:気づいたら、夜

釣りに夢中になりすぎて、ふと顔を上げると、辺りは真っ暗闇。見慣れた日常は消え、まるで未知なる別世界へ迷い込んだかのような感覚と、突如として押し寄せる不気味な闇への恐怖。
こ、こえー…。
この日常と非日常のギャップに何度肝を冷やしたか…。
良かった点

ちゃんとホラーとして怖い:ラヴクラフト風の作品は数あれど、ちゃんと怖かったのは初めてだったかも。やっぱり雰囲気作りがいいですよね。
どこかに何かが潜んでいるような気配、警告を発する灯台守、そして夜の海で蠢く怪しい影や幻覚、リラックスできる街のBGMと対比的な環境音のみの海。こうした複合的な恐怖演出で、見た目でもテキストでも音でも「ヤバい空気感」がヒシヒシと感じられます。そこに本物の怪奇が現れて、ツンと一押し…「ギャーー!!」みたいな。ホラー演出が丁寧でちゃんと怖い!
ストーリーはラヴクラフト的には王道。人々の奮闘や感傷に真実味があり、単なるホラーを超えたドラマ性。個人的には好きなテイスト。ただ、クトゥルフに理解がある人なら楽しめなくもないという味加減で、スッキリ腑に落ちるようなストーリーではなかったので、その点で好みは分かれるかもなーと思いました。

スキルとアップグレード:船のアップグレードや新たなスキルの獲得によって、探索の幅が広がっていく成長要素はベタな面白さ。もちろんいい意味で。アップグレードに必要な材料は比較的入手しやすく、スキルもワープやブーストなど便利なものが揃っており、探索範囲やできることが手軽にどんどん広がっていく感覚は、アドベンチャーゲームとして普通によく出来ていると思ったし実際楽しかったです。
釣った魚をパズル感覚で船倉に配置するのも良かった。個人的にはこのゲームっぽい仕様をもう少し伸ばして欲しかったですね。
気になった点

船の操作性:船の操作性がいまいち。ランニングコストこそないものの、ほんの少しの接触で船が破損してしまうんですよね。これがつまらないというより、しょうもないって感じで、わざと障害物が散らされたステージなどもあり、せっかく大海原舞台の冒険なのに、キーを指先で弾くような窮屈な移動操作が多くてストレスでした。
序盤の進行の遅さ:序盤は移動可能範囲が極端に狭く、少しの移動でも1日があっという間に過ぎてしまうため、全体の進行が非常に遅く感じられました。船のアップグレードをすれば済む話だけれども、最初はやや時間がかかりすぎる印象。逆にある程度船のアップグレードが進めば、サクサクすぎるくらいに進めちゃうのが、なんというかアンバランス。

釣りのミニゲーム:船のアップグレードもストーリーも、必要なアイテムを釣りで入手する必要があります。しかし、この肝心の釣りゲーにあまり面白みを感じられませんでした。ミニゲームでしかないのでやりごたえがないんですよねー。暗くなる前に終わらせるという時間管理的な用心深さこそ必要ですが、もっとこう実力が発揮されるような、もしくは装備で簡単になるとか、そういうゲーム的な変化が欲しかったですね。
総評:ホラーとして楽しもう

Steamでは珍しい「圧倒的好評」の作品ですが、個人的にはやや物足りなさも感じたというのが正直な感想です。やはり釣りゲームとしての操作性や序盤の進行の遅さ、ミニゲームの単調さが目立ち、シンプルにあまり面白いゲームではなかったなと。
一方で、ホラーゲームとしてはとても良く出来ていて、原作の雰囲気を見事に再現したラヴクラフト風作品として十分に楽しめました。昼と夜のギャップが生む緊張感、パズル感覚の船倉整理、そして船のアップグレードなど光る要素は多く、高評価作品なのもわからなくもない。
ゲーム的な面白さというより、体験を楽しむ作品で、攻略上特にシビアな要素はないので、マイペース進行でゾッとする体験をしてみたいという人にはオススメです。

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