
作品名 | デイヴ・ザ・ダイバー |
開発 | MINTROCKET |
リリース日 | 2023年6月28日(Steam) |
ジャンル | アクションアドベンチャー、シミュレーション |
価格 | 2,400円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam/Windows) PS4|PS5 |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約3.29GB(春日一番DLC込) |
Steam評価 | 圧倒的に好評(97%) |
プレイ時間 | 約35時間~ |
- Qどんなゲーム?
- A
寿司屋経営しつつ海洋探索を進めるアドベンチャーゲーム!

開発はあのネクソン:インディーゲームらしいレトロな外観に反して、開発はネトゲで有名なネクソンのサブブランド「MINTROCKET」。随所に見られるクオリティの高さと、寿司屋というユニークな題材なのもあって、発売当時は大きな話題になりましたね。
プレイのきっかけ:つい先日、『龍が如く7』をクリアしたばかりのタイミングで、本作の「春日一番DLC」が発表・発売されるという奇跡。さらに調べてみると、以前プレイした『ドレッジ』の無料DLCも存在し、「これは運命だ」と直感し購入を決意しました。
なお「春日一番DLC」は2025年10月10日までの期間限定配信で、1度手に入れれば永久に遊べるものの、配信期間を逃すと2度とプレイできない仕様です。以前配信されていた「ゴジラDLC」は、すでに入手不可となっています(残念)。
進行の流れ

ストーリー:舞台は多彩な魚が生息する「ブルーホール」。主人公デイヴはそこで開かれる寿司レストラン「バンチョ寿司」のお手伝いをすることに。
ゲームパートは大きく
で構成されています。
食材集めだけじゃない探索パート

探索パートは寿司ネタを集める「ハンティング」の時間。
1日2回までダイビング可能で、酸素ゲージが尽きる前にアイテムボックスいっぱいに魚を持ち帰るのが目的です。
魚は攻撃してダウンさせたらゲット!
硬さや反撃してくるかどうかは魚種によります。
基本武装はナイフ(近接武器)と銛(銃)の2つで、ゲームが進むと睡眠銃やネットのような非殺傷性の道具も使えるようになります。

酸素ゲージはライフも兼ねており、障害物や凶暴な魚にぶつかると減少し、ゼロになると…死にはしませんが、その探索中に入手したアイテムのほとんどをロストします。

とはいえ、ゲージ管理がシビアなのは序盤だけのお話。
マップ上には回復ポイントや瞬時浮上ポイントがあちこちに配置されているので、普通に探索しているくらいなら酸素切れに悩むことはほぼありません。
むしろゲームを通して悩まされるのはアイテムボックスの容量の方で、酸素に余裕はあるけれどカバンがいっぱいだから戻らなければいけない…という状況の方が多いです。

海に潜る=魚を捕るだけではなく、
時には恐ろしい魚との対決や…

謎の遺跡の探索、

ゼルダ風の謎解きステージなど、
海洋探索アドベンチャーとしての側面も強い作品となっています。
夕方からは寿司屋営業

寿司屋は夕方に開店し、漁で確保した食材で寿司を提供します。
実際の営業はオーバークック風の配膳ゲームで、開店前にメニューだけ決めて、あとは次々に注文を捌くのみ。最初こそ小忙しいですが、スタッフを雇用すれば配膳業務がぐっと楽になり、落ち着いてプレイできるようになります。
営業終了とともに1日が終了。
翌日にその稼いだ資金を使って潜水用装備のアップグレードやスタッフの雇用・育成を行うことで、探索や経営をより効率的に進められるようになります。
- 漁で食材を集める
- 寿司屋で金を稼ぐ
- 強化・投資
- 漁で食材を…
- …
これが基本の流れです。
スキマ時間に…サブコンテンツ

漁に出る前や寿司屋を開店する前には自由に動ける時間があり、
牧場物語風の農場シミュや、

ネタ集めの自動化=養殖場など、
漁に出なくても楽しめる要素も多数。
このコンテンツ量の多さも魅力の1つと言えるでしょう。
感想:新鮮なネタが次々と投下

結構な大作でした。
ストーリーを追うだけで約30時間、クリア時点でまだまだ手つかずのコンテンツが山ほど残っている──「やることが尽きない=コンテンツ量の多さ」に素直にビックリ。
で、実際のプレイ感ですが、
正直なところ、わりと作業感があるゲームかなと。
理由はシンプルで、「日中は海に潜り、日没後は寿司屋開店」というサイクルが最後まで変わらないからです。

特にしんどいのがプレイ時間の大部分を占める漁で、良くも悪くもカジュアルアクションすぎて、張り合いがないんですよねー。初めての海域や未知の魚との遭遇はワクワクするものの、大抵の場合、同じルートで同じ魚を獲り続ける単調さが作業感を一層強く感じさせる要因でした。
また、時間がかかりすぎるのも難点ですね。潜水できる深度が増すにつれ酸素回復ポイントも増え、「ほぼ無限潜水」が可能になるのですが、カバンいっぱいを目指すと1回あたり30分超は当たり前。1日2回潜れば漁だけで1時間超──これはさすがに長丁場すぎます。
対照的に、寿司屋パートは(イベントが発生しなければ)数分で終わってしまうのがデフォ。いい気分転換になるのですが、数分後にまた1時間の漁が始まると思うと……。モチベが萎えて早々にゲームを落とす日も多々。
多彩な仕掛けの数々

ベースゲームは作業感ゆえに苦痛で退屈に感じる場面が多いのも事実…。
しかし、それを補って余りあるほど多彩な仕掛けが本作の最大の魅力です。
たとえば、イベントの多さ。出発前のボートに乗るだけで、毎日新たな依頼が舞い込み、漁から戻ればまた別の新イベントが待ち構えている。

寿司屋でも「ランキング」や「思い出の味」など次々とイベントが発生。
すごいのはこのイベントの波が序盤から終盤まで途切れないこと。次から次へと新鮮なネタが投下される様はまさに寿司屋のごとく。
ミニゲームも実にユニークで、作り込みが半端じゃない。ネタ集めを楽にする養殖や、牧場物語風の農場シミュ、オリジナル日本語ボーカル入りの音ゲー、さらにはたまごっち風のスマホゲームまで、どれも「ミニゲーム」と呼ぶにはあまりに濃厚。
個人的にはBalatro風カードゲームが特にツボでした。本家はいずれやろうとは思っていましたが、まさかこんなところで初プレイになるとは…。多分本家よりはボリュームは抑えられているとは思うのですが、それでもジョーカー(アーティファクト?)の種類が豊富で、いろいろなビルドを試せる余地があり、存外ハマってしまいました。
寿司屋経営よりアドベンチャー重視

漁パートは徐々に「寿司の素材集め」から「海洋探索アドベンチャー」へと軸足を移します。シンプルな寿司屋経営シミュを楽しみたいと思っていたので、自分としてはやや残念な転換でしたが、ノーリスクの漁よりも緊張感あふれる冒険の方が楽しく、その点では良かったですね。
ギミックのあるボス戦や、ライトな謎解きステージはほどほどの面白さで、ストーリーも重くなりすぎず、インディー・ジョーンズっぽいドタバタ感。エンタメ寄りの雰囲気でリラックスしてプレイできました。
圧倒的アニメーションのクオリティ

何より圧巻だったのは、2Dドットながらムービー級の滑らかさを誇るアニメーション。ほぼすべてのイベントシーンが派手に動き、寿司1皿ごとのドット絵に至るまで、デザインの量と質が尋常ではありません。
中でも、写真投稿SNS「クックスタ」で投稿される写真は、寿司のディテールはもちろん、偶然写り込む人々の表情や遠近感によるぼかしまでリアルに再現されており、印象に残るショットがいくつもありました。ここまでくると凄いというより異常。
気になった点

アクションはいまいち:全体的に動きが遅め→攻略が遅くなりがち。銃は射角が狭めで、距離を置かないと射角に入らない事が多く、引き撃ちがしづらい。連打ギミックも面倒。連打は設定で長押しでも連打判定にしてくれるが、その場合やや遅い連打となり、絶妙に目標に届かないのがもどかしく感じる。あとやっぱり不意のQTE(緊急入力)が初見殺し的で嫌い。
潜水時間が長すぎる:凡庸なアクションに30分超のダイブは疲労感が半端なく、画面の綺麗さと穏やかなBGMゆえに眠気を誘われることも…zzz。
金回りの渋さ:投資したい項目は山ほどあるものの、報酬が少なく進行がゆっくりめ。便利系(農場自動化など)のコストも重すぎるように感じた。
全体的にロード長め:特に気になったわけではないけども、ちょっとした画面切り替えでも数秒待たされるのがテンポを削ぐ。
DLCの評価
春日一番DLC:ファイナルファイト風戦闘やカラオケMV再現、その他追加アイテム&レシピなど、いろいろセットになっている。システムボイス的であるけれど春日一番に声がついていたり、龍が如く7のパロがところどころで見られたり、佳境ではまさかの人の登場で「本家っぽい展開」にちょっと声が出たり、結構楽しめました。
原作愛は大いに感じられる内容だったけれども、全体的な尺は短めで、アイテムの影響度も低めなので、本体価格に対して800円はやや割高に感じました。ちょっとユニークな普通のイベントの一種みたいな感じ。

ドレッジDLC:一方、ドレッジDLCは追加イベントというより新要素追加という感じで影響力は大きめ。内容はいつもの漁の延長だけれども、金策に優れ、オン/オフ切り替え自由なのも非常に助かる。しかも無料。こっちは問答無用にオススメ。
総評:量と質で黙らせる!

淡々とした作業感を圧倒的な絵面と演出でカバーするボリューム重視の作品。
純粋なアクション性や経営シミュとしての深みを求めるとやや物足りなさが否めないものの、その単調さを補い切るほどに仕掛けられたギミックがすごすぎる!
「お、力入っているな」という演出が、至る所に…というかずっと続くんですよね。エンドクレジットにまで仕掛けがあったときは思わず笑ってしまいました。面白さのみをシビアに追い求めた作品も素晴らしいですが、ゲームへの愛と遊び心があふれる娯楽作品としては、本作のようなアプローチもまた素敵だと思います。
Steamでの高評価にはコスパ的な評価も上乗せされているでしょうが、それを差し引いても十分に価値を感じられる作品で、普通にオススメ。

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