潰し合い
アーブラウの暴走を止めにかかるマクギリスと、ガラン管理下の鉄華団地球支部の潰し合い。練度の低いアーブラウ軍の中で一際動きのいいMSを鉄華団だと見抜いたマクギリス。早速説得を試みるも、敵の大将(マクギリス)を倒せばこの戦いは終わりだと聞かされ興奮している彼らに言葉は通じない。
命がけの戦いに手加減はできないと、全力で反撃してきたマクギリスに、タカキはあっという間にいなされてしまった。致命傷を食らうか、とその時に、アストンが身を挺してタカキを庇う。アストンはそれで終わらず、懐のマクギリス機を拘束し、動きを止めた。さすがのマクギリスでも焦りだした、とその時に(2回目)、ミカヅキたちが救援に現れ、気まずい雰囲気のまま危機は免れた。
「お前ら(鉄華団)に出会わなければよかった」と死に際のアストン。
ヒューマンデブリとして、心を殺して生きてきたのに、鉄華団のせいで死ぬことに未練を抱いてしまった。それが辛い。目からは涙がこぼれ、その姿はとても人間らしかった。
敵討ち
ラディーチェからガランの情報を聞き出した鉄華団は、裏切り者の処遇はさておいて、敵討ちにでた。
アキヒロ・ガランの戦いは圧巻だった。アストンの死に人一倍猛っていたが、それが戦い方にもあらわれていた。飛び道具に平然と向かっていく姿には小細工など無用だという直情的な姿勢がみてとれたし、武器を捨てて直接殴りあう場面は、このまま撲殺してしまうのではないかというくらいの迫力だった。MS同士の殴り合いはどうしても逆シャアを思い出してしまうが、ビーム兵器のない今作世界では、その重みも威力もまるで違う。
最後は終わりを悟ったガランが、自爆という選択をした。部隊の機密の管理やラスタルとの接点なども、すべてこのMSを通して行われていたので、これには証拠隠滅という意味もあった。
死ぬ間際の「まともなやつから死んでいく」という最後の言葉が、後味の悪さをアキヒロに残した。戦争は人を変えるのか。
ちなみに、ハッシュの初陣でもあった。しかし、案の定?へっぽこで、自分の力不足を痛感することになった。また、戦いの痛さと怖さを知ったことで、アラヤシキでも埋めがたいミカヅキとの大きな差を実感し、その遠い後ろ姿が、ハッシュには、かつての兄貴分と重なってみえたようだ。
ケジメ
ラディーチェはすべてをガランのせいにしようとするも、言い訳できない物的証拠を発見されてしまう。それでもしつこく食い下がる男に、銃をちらつかせるミカヅキ。意外にも、それを制したのはタカキだった。
地球支部の問題として、地球支部代表チャドの代行として、そしてアストンのために、自らケジメをつけたのだった。あの温厚なタカキがついに…。
ギャラルホルンをつくった男
ミカヅキが救援にきたとき、マクギリスは「アグニカ・カイエル」の伝説の一場面を思い出したという。「アグニカ・カイエル」とは人名で、
ギャラルホルンをつくった男だという。ここにきて伝説。そして次回タイトルは「火星の王」。火星と「アグニ(火の神)」。うーむ。厄災祭の話になるのだろうか。
感想と考察
今までで一番「ガンダム!」って感じの回でした。戦闘多めで、死も絡み、その様もよし、そして最後はガンダムの伝説を匂わすところまで。二期に入って化けたな。毎回おもしろい。
戦闘。スピード感があって見応えがあった。ガシャンガシャンとぶつかり合うだけでなく、距離をとったり、拘束したりして。手軽な高威力武器がないので、今回のアストンのように敵を拘束するのはかなり効果的だと思う。網みたいなのにかけて電撃ビリビリって武器、まだ出てきてないけど、シリーズ的にはよくある武器なんだよね。出ないかな。
アストンの死は多くの意味で悲劇的だった。前回だったかな、アストンのセリフで「言われたことだけをやっていく」的なのがあったと思う。まだちょっとヒューマンデブリ入っていんじゃねーか、ってタカキに怒られるんだけど、死に際には解脱してたんだなって。最後タカキが自分自身でケジメをつけると言ったのは、ただの尻拭いではなくて、自己を確立したアストンを尊ぶ気持ちがあったんだと思う。
同じく死者を見送ったラスタル。素性を消して貢献してくれた友のために、同じく涙の素性を消すことで敬意を表した。そして一言
「友よ」
か…かっこいい…。親友を葬った(つもりの)マクギリスが小物にみえるね。