「俺は、ただ流されていく」
前回のあらすじ
アーブラウ軍発足記念式典にてテロが発生。アーブラウ代表マカナイと、鉄華団地球支部代表のチャドが負傷(両者とも生きてた!)。アーブラウはガラン、鉄華団はラディーチェがそれぞれの支配権を奪う。2人は協調し、外部の人間はこの乗っ取りに誰も気付かない。リーダーが負傷し、本部とのチャンネルを途絶された地球支部は完全に孤立した。
アーブラウvsSAU
前回から半月経ってた。その間に初の経済圏同士の戦争が始まっていた。 引き金はSAUの偵察機が墜落したことだった。MSのエイハブリアクターの干渉を受け制御不能になったという。SAU側はまさかアーブラウ軍がMSを投入しているとは思っていなかった。
アーブラウは、防衛軍、鉄華団、ガランのMS隊からなる混成軍。SAUは防衛軍、ギャラルホルンSAU駐屯部隊、地球外縁~(ラスタルの部隊)からなっている。初の経済圏同士の戦争なので、どちらの部隊も実戦経験が浅い。
つくられた膠着
開戦から半月が経っても膠着状態が続いていた。互いに戦力を小出しにする局地戦に終始していたからだ。
ただ長引くだけの戦争に、団員の士気も落ちていた。チャドの代理で現場の指揮をとるタカキも、これまでの戦争と違ったものを感じていた。
SAUの意図
当たり屋に当たったようなものだ。爆破テロにも関与してないし、戦争する意思もない。ギャラルホルンに調停を要請しているが、一行に事態が改善しない。
問題は、ラスタルがどの程度組織に食い込んでいるのか、だ。代表は何してる?
ギャラルホルン(マクギリス)の意図
SAUから調停を要請され、実際そのように動いているが、うまくいかない。その理由はアーブラウ側が外交チャンネルを閉じているからだ。事態の早期収拾をはかることで内外にギャラルホルンの威信を見せつけたいマクギリスにとっては痛手だ。
そして、ついにマクギリス自らが戦場に介入する決断をする。開戦から一ヶ月。
アーブラウの意図
テロ事件のあと、アーブラウはSAUを一方的に敵視してきた。偵察機墜落を引き起こした過剰ともいえる防衛出動がそれを裏付ける。しかし、いざ開戦すると、一転して消極的になった。事態の進展をあえて拒んでいるようだ。
アーブラウ、いやガラン、いやラスタルの目的は、戦争を長引かせることである。そして事態を収拾できないギャラルホルン、マクギリスの評価を落としたい。端的にいうと、マクギリスの足を引っ張ってる。
ガラン・モッサはラスタルの親友である。これが意味するのは、アーブラウ軍参謀はラスタルのために動くということだ。この戦争は、アーブラウ軍を支配するガランと、SAUと関係のあるラスタルによる「やらせ」なのだ。
戦術に長け、人心掌握にも自信のあるガランによって、鉄華団地球支部はますます彼の手中に落ちていくことになる。取り込まれていくことに気付いているのに、それに抗えない…。
鉄華団の動き
地球支部との連絡がとれず、MS獅電の輸送の前倒しを決めた前回。
輸送隊はミカヅキ含むそこそこの規模だった。そこにはミカヅキに弟子入り志願したハッシュも含まれていて、火星から地球まで3週間、みっちり鍛えられていた。
地球軌道上のステーションに着いた輸送隊だが、なぜかアーブラウへの着陸を許可されない。着陸を認められないまま出港したが、どこに向かったかは謎。当然ここで引き下がるとは思えない。
開戦から一月、マクギリス参戦で戦況が大きく動こうとしている。それを知ったガランの反応は、動揺よりも嬉しさが勝っているようにみえる。まるでシナリオ通りに動いているかのようだ。最後の戦いだと鼓舞をするガランの声もどこか空虚に聞こえるタカキ。死亡フラグか。救援が間に合うといいが…。
感想
いきなり「半月が経過した…」となって、その唐突さに思わず噴き出してしまった。しかし笑えたのはそこまで。終始シリアス回だった。
勝っているのか負けているのか。何のために戦っているのかわからない。皮肉にも、反抗から生まれた鉄華団への忠誠心が彼らから反抗心を奪っている。ガランはそんな彼らの扱い方を知っている。ヒューマンデブリ時代と何が違うのだろう。戦闘続きの日々に疲れ果て、反抗するエネルギーすら残っていない。
現実でもそうだと思うが、心身ともに衰弱した人を救うには周りのサポートが必要だ。果たしてミカヅキの救援は間に合うのか、ハッシュの初陣はどうなるか。これまでで一番いいところで終わってくれたな。
ラスタルとガランの反応からみるに、ただ戦争を長引かせるだけが目的ではなさそう。自分の予想では鉄華団が世界の敵になる。