鉄血のオルフェンズ23話「最後の嘘」のストーリー振り返りと感想。カルタとガエリオのやり取りが泣けた…。

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 戻るべき場所はないが、辿り着く場所はある。そこへみんなで辿り着く。しかしビスケットがいないからみんなというと嘘になる。

 ネタキャラの死ほど心が揺さぶられることはない。ジョークとシリアスの振り幅が大きいからだ。正直今回まで鉄血のオルフェンズをなめていた。反主流派の逆襲とかいう単純な話ではなさそうだ。

 群像劇色がさらに強くなり、一蓮托生だけどすれ違いはある、といった複雑な展開になってきました。

・ラスカー・アレジ

・カルタの行末

・鉄華団の行末

・アインの行末

ラスカー・アレジ

 前回名前だけでたラスカー・アレジさん初登場。声は飛田展男さん。ガンダム声優っていうとシャアの池田秀一さんやアムロの古谷徹さんが一番に挙がるけど、飛田さんのほうがシリーズと密接に関わっていると思う。

 その飛田さん演じるアレジはマカナイ派の議員。鉄道の乗り換えの手続きとロビー活動をマカナイから頼まれ、言われた通りにそれを実行。温厚そうな見た目と語り口で手際も完璧。普通に有能ですね。裏切るような人間にはみえません。

イシュー・カルタの行末

 イズナリオ直々の呼び出しで説教をくらうのかと思いきや、マクギリスの口利きがあり、もう一度鉄華団討伐のチャンスを与えられる。マクギリスの干渉に強気の態度をみせながらも、赤面し、感謝と決意を新たにする。マクギリスが望むカルタらしくなると。

 イズナリオは鉄華団が極秘に進めていたはずの鉄道による移動の計画を察知していた。そのためカルタもすぐに鉄華団の居場所を突き止めた。しかしカルタの戦力はカルタも含めてたったの3機のMSというものだった。前回正面から戦ってあれほどまで叩かれたのにも関わらず、また正々堂々と姿を現し、さらにあろうことに3人ともコクピットの外にでて、鉄華団に決闘を申し込む。面壁九年、堅牢堅固、自分のやり方で蹴りをつけようとしたのだった。

 自分たちより少ないMS部隊が何か言っている。しかもコクピットは外にでている。ただでさえビスケットの死でいきり立っている。ミカヅキはオルガの指示を受ける前に特攻する。不意をつかれたカルタ隊は速攻で2機をやられる。無礼な上に、雪上の戦いということもあって、鮮血が際立ち、鉄華団もドン引きするほどに悲惨な光景だった。数の優位どころか、助太刀が不要なほどにバルバトスが戦場を支配し、あっという間にカルタを追い込んだ。相手が逃げようとしても逃さず、悪い目は摘んでおかなきゃといった感じで容赦がない。

 屈辱と死の恐怖にやられてしまったカルタは崩壊した。そこにあるのは止まらない血と涙とマクギリスへの想いだけ。

 「助けてマクギリス…」

 ニュータイプ的な閃きか、「マクギリス」という言葉に反応を示したミカヅキは一瞬のスキを作ってしまう。その絶妙なタイミングでガエリオがカルタの救援に現れ、宇宙と同じ機動力を生かしたキマリスで、カルタを連れて戦場を去った。

 カルタの肉体と精神はもはや崩壊していて、ガエリオをマクギリスだと思いこんでいた。ガエリオはカルタを思い自分はマクギリスだと嘘をつく。それが彼女への最後の嘘となった。想いを寄せる女性が死にかけていて、自分を友と勘違いし、その名を呼び続け、そして死ぬ。

鉄華団の行末

 「弔い合戦」とは都合の良い言葉だ。戦う理由などは後付けで、そもそも彼らには破壊願望がある…かのような言い方をするマカナイ。メリビットはその言葉に感化され、戦いに染まっていく鉄華団の行末に懸念を抱き始めた。

 せめて子供たちだけでも戦いから遠ざけるようにとオルガに掛け合うも、当の子供たちと現場で居合わせてしまい、余計なことをしないようにと釘を刺されてしまう。自分たちの判断でここにいるという子どもたち。メリビットには子どもたちが自らの意思で鉄華団という暴れ馬に乗っているのではなく、乗せられているだけのようにみえる。

アインの行末

 アインのアラヤシキ手術は成功した。しかしその姿はガエリオの予想を超えるものだった。ミカヅキたちのような五体満足の身体の拡張ではなく、頭だけ残してMSと一体化したようなもの。ガエリオでなくても人間らしさに疑問を抱く変身ぶりだった。

 アイン当人は復讐ができる身体を手に入れてガエリオに感謝をする。アインの感謝にガエリオは素直に喜べなかった。メリビットと似た心情である。

 この戦いでアインは英雄となるとマクギリスはいう。そしてギャラルホルンに変革をもたらすのは
君たち(ガエリオとアイン)の両親だという。真意は明らかではないが、おそらくセブンスターズのガエリオと、地球と火星のハーフであるアインが肩を並べることによって、地球純血主義&嫌阿頼耶識のギャラルホルンと地球人の意識を改革できるといったことかな?

 「アインは英雄になれる」というマクギリスに対するガエリオの「ありがとう、我が友よ」という返答は意味深だった。怒りをこらえるような、軽蔑するかのような声色だった。「君は我が友ではあるが、アインの友ではないな」という意味の皮肉だろう。もしくはマクギリスの冷たさを受け止めたうえで、「それでもなお我が友だ」というガエリオの優しさかもしれない。

次回はいよいよアーブラウ議会。アーブラウ代表指名選挙。

感想

 前回はちょっとイカれてた。まぁアニメだし誇張されてたとこもあったと思うけど。でも今回はリアルで血の通った人間の話だったと思う。今回の脚本はシリーズ構成でもある岡田麿里さん。他の回を悪くいうつもりはありませんが、彼女が脚本をする回はより注目する価値があるといえます。

 サブタイ「最後の嘘」。嘘をついたのは3人いたと思う。

 まず1人目はガエリオ。マクギリスに助けてもらったと勘違いする意識もうろうとしたカルタに、そうだよマクギリスだよと優しくも悲しい嘘をついた。

 もう1人目はオルガ。鉄血のオルフェンズではサブタイはアイキャッチに表示される。アイキャッチ前が最もサブタイと関連性が高いと思う。今回のアイキャッチ前のシーンは「みんなで帰ろう」とビスケットがいっていたというミカヅキの話を聞いてビスケットに想いを寄せるオルガだった。それが今回の最後の「戻るべき場所はないけれど辿り着く場所はある。みんなで辿り着くぞ」というスピーチに繋がる。ビスケットがいないから「みんな」ではないという嘘。

 3人目はマクギリス。今回こんなセリフを吐いた。

 「ガエリオ、カルタ、君たちはよき友だった。その言葉に嘘はない。」

 よき友だった→これからはそうではない?

 その言葉に嘘はない→それ以外は嘘だった?

 この時まだカルタは戦闘前だった。カルタはともかくガエリオとも別れを告げるかのようなこの言い方。いよいよマクギリスも行動を起こしそう…ってもうラスト2話なんですが!

その他感じたこと

・イズナリオにとってマカナイはなんとしてでも潰したい人物のはず。マクギリスの口利きがあったとはいえ、無能のカルタに与えるには荷が重すぎないか?それとなぜ物量作戦でいかないんだ?喝を与える番組がある。それと似た感じで迂闊を与える番組があればいいのに。イズナリオ迂闊!

・ 挿入された過去話では、召使い?が落とし子のマクギリスを差別している。カルタとガエリオはそれを気にせず対等な態度で彼と接してくれていたが。マクギリスの革新思想もそうした自身の差別経験から来ている?

・ポロッとでたけどイシュー家の当主、カルタの父は現在病床らしい。そのためにイズナリオが後見人となっていたのだな。

・極秘の輸送任務。イズナリオにバラしたのは誰か?鉄道を仕切っているのはテイワズ。クーデリアを殺して戦争を起こし戦争利権を得たいと考えているマクマードの仕業が濃厚。カルタに死にに行かせるくらいなのだから、鉄華団の居場所がバレることを知っていた?だとするとマクギリスはマクマード、ノブリスたちとつながっている?

・大人たちからプレッシャーを受けていないと前回書いた。逆に大人たちが子供からプレッシャー受けてるようにみえてきた。メリビットさん可哀想だもん。クランクもそうだが、邪心もない純粋なる労りの気持ちが届かないってのはただただ悲しい。彼らに届く言葉を言えそうなのはもはやクーデリアくらいしかいないな。

次の次の土曜日に最終話の先行配信会が催されるようだ。

ということは次の次の日曜日はもう最終回ってことだ。完結できるのかなぁ。

来週の更新は多分めっちゃ遅くなる。

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