理由もパッションも必要ない!『劇場版SHIROBAKO』の感想。

3.5
記事内に広告が含まれています。

軽いネタバレ含みます。

スポンサーリンク

アニメ制作会社内部を描いた群像劇

SHIROBAKO』は2014年から2015年にかけて放送されたP.A.WORKS制作のオリジナルアニメーションです。アニメ制作会社の奮闘ぶりをメインに描いた群像劇で、泣けて笑えて熱い、アニメ史に残る名作の1つだと思っています。

万策尽きた~」という名台詞は今でもたまに見かけますね。

劇場版が公開されたのはTVシリーズ終了後から約5年後の2020年2月29日です。コロナ全盛期のひどい頃でした。舞台挨拶が中止になるなどモロに煽りをくらって、興行収入的には寂しいものになったようです。

スポンサーリンク

本編より4年後の武蔵野アニメーション

劇場版はTVアニメシリーズから4年後の世界。

イケイケだった武蔵野アニメーションはある事件をきっかけに没落。多くが会社を去り、社長も勇退。オリジナルアニメ制作どころか元請けすら受けられなくなる始末。

そこへ劇場版を作らないかという話が持ち上がり、かつてのスタッフを再集結させてすごいものをつくろうじゃないか!というのが大筋です。

劇場版SHIROBAKOは劇場版アニメをつくるというわけだ!

スポンサーリンク

序盤はとことん暗い

序盤は悲壮感たっぷりで、観ていてしんどかったです。久しぶりのSHIROBAKOだーと思ってたら、みんな暗い顔をしているというね。早々から暗ーい気持ちになりました。武蔵野アニメーションが半壊状態というのもそうですし、主要キャラも苦しんでいる様子で、それを表に出さず気丈に振る舞うところがリアルすぎてもう…ね。

オープニングの『限界集落過疎娘』は、妙に耳馴染みがいいなと思っていたらTVシリーズ最終話に出てきたワードだったんですね。なんて哀しい伏線回収…。

ただ暗いのは最初だけで、そこを抜けたら、もうノンストップのイケイケストーリーだったと思います。ボロボロになった武蔵野アニメーションを救うために、当時のスタッフが次々と集結してくる様子は少年漫画のような熱い展開でした。

懐かしさと既視感

次々と昔の仲間達が集結していく感じはエモかったですね。金髪の高梨に、伝説の杉江さん!エリカさんも! みたいな。懐かしいな~と思って、やっぱなんだかんだ泣ける作品でした。

1番感動したのは、ずかちゃんのオーディション。TVシリーズのことも思い出してめっちゃ泣けました…。というか、ずかちゃん4年経ってマルチタレントみたいになってて衝撃でした。人任せにした結果…ということなんでしょうけど、あの1番苦しんでいただろう、でも這い上がっただろう、ずかちゃんがまだ苦しむっていうの!? 業界の残酷さにただただドン引きです。

ずかちゃんのシーン含めて、全体的に既視感のあるシーンが多かったです。盛り上がりどころがことごとくTVシリーズのハイライトみたいで、感動するには感動するけれど、新鮮味はありませんでした。劇場版ゆえの…!というのが少なかったように思いました。そのためかリメイク版のような印象を受けました。よく出来ているけど、なんか知ってるな?という感覚。純粋に楽しめたTVシリーズと比較するとスッキリしなかった…というのが本音です。

本作最大のカタルシスポイントである作中映画のラストシーンのオチを変えるってのも、なんか聞いたことある話だなと。で、1分くらいちょろっと変えるものだと思っていたら、ガッツリ超作画が続いたので、え?どこから?と困惑しました。もう日数もなかったはずなのに、こんな超作画で間に合わせたのか?という感じで非現実的すぎて…。確かにいいオチだと思ったけど、TVシリーズはもっと違和感なく純粋に楽しめたのになー。

じたばたあがく

8年ぶり!?の視聴でしたが、キャラの名前とかいろいろ覚えてて自分でもビックリしました。映画冒頭で振り返りもありましたし、特に事前学習も必要なく、すんなりとストーリーに入り込むことができました。

当時は何も考えずに楽しんでいたのですが、映画版は「じたばたあがく」ことの重要さが説かれていたように思います。アニメを作り続けてる人々が抱くリアルな処世術みたいなものですかね。突拍子なく始まるミュージカルシーンは、まさにその言葉より行動が大切だということをアニメ的に表現したものだと思います。とりわけ新しい考え方でもないですが、真理なのは間違いなく、前向きな気持ちになれますね。

同時に、物語冒頭の「アニメ業界は斜陽…」みたいな指摘に対する解答でもあったと思います。常日頃から「俺たた(俺たちの戦いは終わらないんだ!)」の精神で、あがいているぞと。SHIROBAKOも、本当のアニメ業界も、大団円で終わるのではなく、これからも続くのだと。

率直に、面白かったし泣けました。

ただ、純粋に1本の作品として評価できるかというとう~んという感じでしたね。良くも悪くもSHIROBAKOすぎたなと。問題解決の手法も盛り上がり方もおんなじでした。ヒーローが集結する映画みたいに、とりあえず各人の必殺技はあるけど、尺的都合から深く掘り下げはしないというのに似たものを感じました。

シリーズ初見の方には、まずTVシリーズから観て欲しいですね。

『SHIROBAKO』観るならHULU

コメント

ホーム » アニメ感想 » 理由もパッションも必要ない!『劇場版SHIROBAKO』の感想。

カテゴリー

タイトルとURLをコピーしました