
作品名 | クロノアーク |
開発 | Al Fine |
リリース日 | 2019年12月~(アーリーアクセス) 2024年7月18日(正式リリース) |
ジャンル | ローグライク、デッキ構築、カードゲーム、RPG |
価格 | 2,800円(Steam) |
対応プラットフォーム | PC(Steam) |
日本語対応 | あり |
インストールサイズ | 約9.39GB |
Steam評価 | 非常に好評(90%) |
プレイ時間 | 約10時間~ |
- Qどんなゲーム?
- A
ストーリーにもこだわった超マニアックなスレスパフォロワーのデッキ構築

ストーリー:
何らかの理由で人類が「アーク」への退避を余儀なくされた世界。
主人公ルシーの目的は、「タイムシェイド」を集めて「時計塔」を起動すること。そもそも「アーク」って?「タイムシェイド」って?「時計塔」って?――世界の真実は繰り返し挑戦するたびに明らかになっていく。
シュタゲ、アンダーテール、ドキドキ文芸部、異世界転生モノに近いテイスト。
戦闘の基本ルール

ローグライクデッキ構築という点で、Slay the Spire(StS)のフォロワーの1つと言えるかもしれませんが、独自要素がかなり多いです。
- カードの発動にはマナ(コスト)が必要
- マナは毎ターン最大値まで回復
- 初期手札+毎ターン2枚ドロー
- 山札が尽きたら捨て札をリシャッフル
1ターン2ドローがやや少なめに感じますが、…まあ、ここまでは標準的。

で、ここからが独自なところで、
本作での「カード」はすべて、それぞれのキャラクターが発動する固有の「スキル」という扱いです。
カード=スキル
当然、そのキャラクターがいなければデッキに加えることも発動することもできません。
いわばキャラクターはデッキの種類。

そのキャラ数はざっとこんなもん。
まだすべてアンロックしていませんが、これら1人1人に独自の特徴があると思えば、数あるデッキ構築ゲーの中でも屈指の多彩さを誇ります。

もう1つの特徴、それは「パーティを組む」ということ。
最終的には、絶対加入の主人公ルシー+初期メン2人+途中加入2人の計5人になります。
そのせいで山札の構成は、
- ルシーのスキル◯枚
- Aのスキル◯枚
- Bのスキル◯枚
- Cのスキル◯枚
- Dのスキル◯枚
といったように、系統の違うカードが同居する感じになります。

主人公の場合はドロー/サーチ特化、他はアタッカー、盾、回復、妨害と、キャラクターにはそれぞれ明確な役割分担があり、その構成を考える楽しさもあります。
ちなみに、スキル(カード)はレベルアップすることで入手していくという仕組み。
ゲームの流れ

大まかな流れはStSとほぼ同様のステージ制。
ステージ最奥のボスを倒して次へ進むというのを何度か繰り返し、ゴール(時計塔)に到達できたらクリアです。
なんといっても特徴的なのがマップ。
一筆書きの進行ではなく、エリア探索型。WASDでキャラを操作し、自分でイベント地点にアクセスするという仕様になっています。触る触らないは自由選択なので、イベントや敵を無視してボスに直行することも可能。
イベントの種類は、わりとオーソドックスですが、注目はその副産物である圧倒的なアイテム数。
回復アイテムだけでも複数種類あり、効果が異なるポーション各種、さらに装備品、鍵、識別スクロール、遺物(レリック)……と、この手のゲームにしては豊富なラインナップ。
画面左上のインベントリもすぐにいっぱいになります。
ステージ間にはキャンプ地点があり、休息や遺物(レリック)の発動に加え、パーティメンバーと友好を深めることもできます。友好は周回を終えてもリセットされない恒久的なもので、シナジーの強化といった形で、攻略的にも恩恵のあるやりこみ要素の1つです。
ストーリーは周回前後に進行
ステージをクリアするかゲームオーバーになると本拠地(アーク)に帰還。そこでストーリーが進行します。ストーリーはこういうゲームでありがちな雰囲気だけの匂わせではなく、キャラ同士の掛け合いが多めのしっかりとしたドラマでボリューム充分。
演出も凝ってた。
出発前の本拠地ではストーリー補完資料の閲覧や、探索中に集めた素材を使ったスキル/遺物のアンロックショップみたいなのもあります。
プレイ時間と難易度:
完走で1周2時間以上かかります。数周プレイした程度なので的確な難易度評価は難しいですが、初見でもクリアは可能なレベルでした。ただし要素が多く、とっつきやすさという面ではだいぶハードな作品だと思います。詳しくは後述。
感想:圧倒的な煮詰まり感

一言で、難しすぎた。
デッキ構築どころか、戦略ゲーム全体でもトップクラス。
数多くの独自要素が存在し、一見ぶっ壊れにも思えるそれらが絶妙に丸め込まれた調整は、まるで「10年目のネトゲか!」と思うほどの煮詰まり方。ひとつひとつの実装意図は理解できるものの、全体としては「ごった煮」感が強く、統一性はイマイチ。「いろいろできて楽しい」よりも「ケアすべき要素が多すぎて疲れる」が上回り、自分にはヒットしませんでした。
マニアックな仕様の数々

たとえば回復1つをとっても、他のゲームでは「HP回復=ダメージ帳消し」に近い感覚ですが、本作には「回復ゲージ」という概念があり、HPはそのゲージ分までしか回復しません。怪我は早い内なら治るけれど、怪我の上から殴られると治療不可、といった感じ。
やや理解が大変…。
さらに「固定能力」というシステムもあります。これはキャラ1人につき1枚、デッキ外でいつでも使えるスキルを固定できるというもの。
シンプルな手札拡張かと思いきや、実際には
- コストが+1
- パーティ全体で1ターンに1回まで
- そもそも固定に設定できないスキルもある
といった多数の制約が付随し、できることの倍、考慮すべき要素も増えます。
可変ダメージ
そして極めつけはダメージ計算。本作に固定ダメージはほとんどありません。ほぼすべてのスキルが「倍率ダメージ」で、倍率はキャラのステータスに依存し、さらに命中率、クリティカル率、相手の防御補正まで絡み合います。
この負担感たるや。
ただ攻撃するだけでも、
- カウント数(相手の行動カウントダウン)
- 命中率(当たらないと0ダメ)
- クリティカル率
- キャラのステータス(ダメージ量)
- バフ
- デバフ
- 相手の防御補正
- 相手の特殊能力(1回回避とかもある)
こんなにも確認すべき項目があります。
カード1枚発動するたびにコレなので、慣れるまではすっごい大変。
救いのダメージ計算はあるが…

それでも、面倒な計算をすっ飛ばしてくれる「ダメージ予測」があるのはグッド。StSフォロワー系でも、この機能があると「おっ」となりますね。
それなのに、相手の行動予測はないんですよね~。分かるのは行動までのカウントダウンのみ。つまり、「いつ動くか」というだけ。誰にどんな攻撃が来るか、どの程度のダメージかは未公開情報なのです(見られるようにする能力もあります)。
わけもわからないまま同じキャラを狙われて、HPゲージと回復ゲージの両方を一気に削られて瀕死…なんてことも。そうならないために、あえてカウントを回して相手の攻撃を受けてから回復するなどといった立ち回りの工夫が求められるのですが…にしてもハード。
さらに、さらに、それだけでは終わらず、同じキャラでスキルを連打するとオーバーチャージ状態になったり、状態異常にもいろいろ種類があったり、そうした細かい仕様が延々と続いた後、ようやく「ビルド」云々に辿り着けます。
ビルド要素は結構奥深くて楽しい
その先は、わりかし楽しい。
ビルドについては、まだやりこみが不足している状態ですが、個人的には好感触。各キャラの固有パッシブが絶妙なアクセントになっていて、スキル同士のシナジーはもちろん、パッシブを活かすデッキ構成も考えられる。さらにはメンバー構成ということまで含めると、一体どこまでビルドを作れるんだろうと。底の見えなさが凄い。
全体的なバランスについて

バランスでいうと、主人公が使えるドローカードが突出して強いと感じました。1枚で2枚ドローというだけで「結構来ているな」という感じがしますが、中には1枚から3~4枚ドローにつながるものもあり、使い得なんてレベルじゃなくお手軽に最強。
逆に、こうしたドローカードを引けないと毎ターン2枚ずつしか引けず、その状態の「何もできなさ」はヤバい。
こうした極端に振れた要素もあって、全体的にクリア自体はそんなに難しくはないですね。縛りのない序盤だからなのかもしれませんが、一手が命取りになるようなシビアさはなかったです。だからこそ、要素の多さが逆に煩わしく感じられたのですが…。
総評:別ゲー感はすごい
総じて「別ゲー感」が半端ない一本。アニメ調のビジュアルやキャラ(デッキ)の多彩さ、本格的なストーリー演出は大きな魅力ですが、情報量と独自ルールの圧倒的密度は10年選手のネトゲ級。
非常にクオリティの高い作品だと思いますが、中身は超マニアックで人を選ぶのかなと。自分はちょっとついていけませんでした。ストーリーも力が入っているのはわかるけれども、戦闘の不満を上回るだけの魅力が伴っているかというと、現状では正直微妙で、今回はここでリタイア。
正式リリース後もまだアプデ続いているようなので、もっと手軽になったら再開も考えます。
StSフォロワーの中でも群を抜く個性と深みを持つタイトルなのは間違いなく、ハマれば何百時間と長く遊べる沼ゲーでしょうから、ローグライクデッキ構築に自信がある人はぜひ挑戦してみてください。
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