宇宙空間でのサバイバルアドベンチャー
Breathedge(ブレスエッジ)は、一言で言うと、宇宙空間でのサバイバルアドベンチャーゲームです。宇宙船の事故に巻き込まれた主人公が、その時散らばった物資を回収して残骸をクラフトしながら、遭難からの生還を目指す…という話です。
拠点を育てていくタイプではない
本作の特徴は、舞台が宇宙空間であることです。腹持ちや水分といったゲージに加えて、酸素ゲージというものが存在します。酸素ゲージは拠点から外に出ると減っていき、酸素が供給されている拠点に戻ると回復します。この点が宇宙版サブノーティカと呼ばれる所以ですね。
ただこれは探索に制限があるだけで、生き残ることのみを考えるなら簡単です。栄養や水がほぼノーリスクで取り放題ですし、最初からHPを無限に回復できるベッドもあるからです。サバイバルゲーによくある拠点建設もありますが、それを守り育てていくタイプではなく、仮宿の1つとして設置しただけでした。
メインは探索。とにかく先へ先へ。できることが増えていくサバイバル系ではなくて、新しいエリアで新しい事実を探っていくアドベンチャー要素のほうがだいぶ強い作品でした。
プレイ時間とサイズ
クリア時間:29時間
サイズ:11.14GB
日本語あり(設定から変更)
他の人のレビューを見ると20時間~30時間くらいが目安ですかね。
1章、2章、3章以降といったふうに分けると、それぞれ9時間、11時間、9時間といったところでした。マップが広いため移動時間でだいぶ時間を食いましたね。アイテム取り忘れなどで無駄に往復することもあり、攻略なしでクリアするのはなかなか時間がかかると思います。
ユーモアは笑えたり笑えなかったり
プレイ前に見たレビューでは、ユーモアについて述べたものが多かったです。実際にプレイしてみたところ、ユーモアなんてレベルじゃなかったですね。考えなしの主人公はボケっぱなし、相棒の人工知能は辛辣ツッコミをし続けるという全編おふざけのバカゲーのノリでした。
字幕が読みにくい
ただ笑える笑えないの前に、字幕を読みきれないことが多かったです。
ただボーっとしているだけでも酸素ゲージが減っていくゲームということもあって、字幕を読むのも命がけでした。
ブラックジョーク多め
題材は政治、意識高い系、ジェンダー、環境問題など、ポリコレに喧嘩売った系が多かったです。それにプログラマー(メタ)系がチラホラと。
全体的に対象物をコケにして馬鹿にする系が多いですね。指を指して笑う、ド直球に人を傷つける笑いです。これはロシアンジョークなのか、あえてのナンセンスなのかはプレイして判断して欲しいですね。
以下は抜粋ですが、傾向がわかるかと思います。
ベジタリアンの帰結…?
これは感心しました。
パロもチラホラと。
字幕だけでなく、ポスターやコンソール画面まで完全翻訳されていてそのクオリティの高さに驚きました。ローカライズは完璧です。
洗練されていないゲーム設計
やり甲斐があるゲームですが、いろいろと不親切な仕様が多いです。
アイテム全般
まずインベントリが狭すぎる。それでいてツールが不必要に多い。しかも耐久度があるという。ツールや水や食料だけでインベントリの半分が埋まる。ただでさえ、息継ぎで探索先と拠点の往復が多いのに、持ち切れないことが原因でさらに往復回数が増えることは本当にストレスでした。
そんな必死に集めたアイテムを収めるストレージ(コンテナ)もコストの割にそれほど大きくない。散らかすことが前提の調整だとしたら面白くない冗談ですね。
不親切な案内
初心者最大のつまづきポイントが第1章のラストミッションだと思います。拠点周辺でひとつずつチュートリアル的なものをこなしていったら、突然2000mくらい離れた場所に行け!と指示されて困惑した人も多いでしょう。
実際にこのミッションを攻略するには、新素材を拾いにいって、新しいツールや装備を作成して、酸素ステーションをいくつか設置して…という段階をいくつも経るのですが、最初にしては不親切だなと感じたことを覚えています。
ノーヒントでも悪くないんですが、酸素ゲージがあるため、探索も長時間できず、探索→わからない→息継ぎに戻る→探索→わからない→息継ぎに戻る…この繰り返しになると心が折れかけましたね。ひらめきの問題ではなくて、試行錯誤に時間がかかるのが、ただただダルかったです。
ミッションの流れが同じ
結局のところ、探索とアイテム作成を繰り返すだけのゲームなので、わりと単調ですね。2章までなら、装備を作成して探索範囲を広げたり、バイクに乗れたり、拠点を建築したりと、体験できることが広がっていく新鮮な喜びがありました。
しかし、3章以降はただ新アイテムを作っていくだけで、新しい体験が広がっていく感じがありませんでした。ルートを妨げる扉を開けるカギを作成し続けるような感じです。扉を開ける以外に他に意味がないので作りがいがないというか、達成感がありませんでした。
感想:洗練されてないが感心する部分も多々
グラフィックや世界観はとても好きで、宇宙空間は漂っているだけで癒やされますし、巨大建造物の迫力には畏怖と感動の念すら覚えます。システムや外観は本当に良くできています。それっぽい雰囲気だけのゲームはいくらでもありますが、ブレスエッジはちゃんと形になっているのが素晴らしいです。それだけに非常に惜しい作品ですね。アイテム周りの若干のUI改善や、終盤の単調な展開の修正もしくは削除。これだけでも名作になり得たと思います。
総合して、細かい不出来な点に目を瞑れば、なかなか希少な体験のできる面白いゲームでした。酸素という極限のリソースを消費しながら宇宙空間を探索することは、独特の緊張感を味わえる非日常体験でした。ツールや装備をクラフトして新たなエリアを開拓できるワクワク感もあります。部分を見れば、感心できる箇所もあるのですが、全体としては洗練されていないところが目立つ、そんな作品ですね。
個人的にはゲームクリアまでプレイできた点で、ある程度は楽しめました。ゲーム性が面白いというより、グラフィックと雰囲気が好きでした。ユーモアは笑えたり笑えなかったりでしたが、たまにヒットするものもありました。ストーリーは普通といったところで、正直ハマれませんでしたが、一貫性はあったと思います。ただ実際の進行は単調で退屈でした。
このゲームに向いている人・いない人
向いているのは、宇宙が好きな人、SF系が好きな人、サバイバルゲームで拠点育成より探索が好きな人、ポリコレ嫌いな人、冗談を冗談と流せる人。
向いてないのは、雰囲気ゲーが苦手な人、拠点育成が好きな人、アイテム整理にこだわる人、ブラックジョークが苦手な人、フェアなゲーム性が好きな人。
全体的にシリアスを装ったバカゲーのノリですので、真面目にやればやるほど損をするかと。宇宙を舞台にしたズッコケ主人公のバカゲーくらいのノリで楽しむのがちょうどいいと思います。
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