概要:ダイスチェックシステムがあるSF読み物

| 作品名 | Citizen Sleeper 2: Starward Vector (シチズンスリーパー2: スターワードベクター) |
| 開発 | Jump Over The Age |
| リリース日 | 2025年2月1日(Steam) |
| ジャンル | アドベンチャー、ビジュアルノベル、SF、RPG |
| 価格 | 2,800円(Steam) |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam,Windows) |
| 日本語対応 | あり |
| インストールサイズ | 約1.54GB(PC版) |
| Steam評価 | 非常に好評(92%) |
| プレイ時間 | 約8時間 |
- Qどんなゲーム?
- A
スリーパーと呼ばれる人工生命体が主人公。
果たして自分は人間なのか人工物なのか。そんな問いを抱えながら、逃亡と選択を重ねていくSFアドベンチャー。
テーブルトークRPG風のダイスチェックシステムがユニークですが、基本はテキスト中心の読むゲームです。

- Q前作やらなくていい?
- A
本作からでも大丈夫。
直接的な繋がりはなく、単体で完結しています。ただし、前作のキャラクターが登場するので前作をやっておくと「おぉ!」となれるかも。
率直な感想:良作だけど前作ほど刺さらなかった

いい作品でした。それは間違いなく。
前作から2年ぶりのプレイでしたが、再登場したキャラクターのことはしっかり覚えていましたね。それだけ前作は自分にとって印象の強い作品だったのでしょう。
ただ、前作ほどではなかったというのが正直なところ。
これは作品の完成度というより、自分の受け取り方の問題ですね。
理由は2つ。
- 前作と趣向が大きく変わらなかったこと
- 主人公と各キャラクターとの関係性が薄まったこと
ストーリーとテーマはほぼ前作と同じ

ストーリーの大枠は前作とほぼ一緒です。
会社に強制的に働かされていた状態から、誰かの手によって解放される。
しかし解放は不完全で、記憶は曖昧、支配の名残も残っている。
会社は追ってくる。逃げるしかない。
その逃亡の道中で人々と出会い、自分の行く末を考える。
中心となるテーマも同じです。
スリーパーは人工物でありながら、人間の心を持っている。
「俺は作り物なのか? それとも人間なのか?」
この揺らぎを軸に、
出会う人々の反応を通して「人間らしさとは」を浮き彫りにしていくストーリー。
- 「うわ。ロボットやんけ!」と拒絶する人
- (うわべだけでも)人間と同じように接してくれる人
- 他人のことなどどうでもいいよという人
スリーパー(主人公)は、人間性を映す鏡のような存在で、この構造自体は、今作でも変わりなく……。
というか、
ほんとに変わりなく、どうしても既視感がありました。
ロールプレイの幅広さや、テキストの質(日本語翻訳が素晴らしい!)、時折垣間見えるハートフルさは相変わらず好き。利己的にも利他的にも振る舞え、どちらを選んでも良いという構造も懐深くて良い。
それでも、前作と違って……みたいな独自性には欠けているように感じました。
しいてあげるなら、利他的な行動をする際のリスク、いわゆるお使いクエストの難易度が上昇していることですね。
緊張感は確実に増したゲーム性

システムは前作と同じく、TRPG風ノベル。ダイスチェックでタスクを進めてテキストを読み進めるゲームですね。
- ターン開始時にダイスが振られる
- ダイスの目をタスクに割り当てる(割り当てない選択も可能)
- 成功・失敗で結果が変わる
ここまでは同じ。


画像説明:タスクには「良い結果・普通・悪い結果」の3種類があり、ダイスの値がいいほど良い結果が出やすい。失敗した場合、ペナルティがあるため、あえてダイスを使用しないという選択もアリ。しかし、中にはターン制限のタスクもあり、低い成功率でも挑戦しなければならない状況もある。
最大の違い:失敗のペナルティが重くなった!

前作と違うのは、一定条件下でのチェックの失敗に恒久的なペナルティが加わるようになったこと。
「負荷」という新たな要素が追加され、負荷が高い状態でチェックに失敗すると、ダイスがダメージを受けます。
- ダイスに3回ダメージが入ると破壊
- 全ダイスが壊れると(上級難易度では)ゲームオーバー
- 壊れたダイスは修理可能だが、回数制限あり
つまり、リカバリーできないロストがあるという設計。
前作では、ストーリー的に少し気まずくなったり、ゲーム的にも足踏み程度のペナルティでしたが、今作では取り返しのつかない事態につながるようになったのです。
あくまでも、「負荷が高まった状態でのみのペナルティ」なので普段は失敗し放題で気楽なものです。
依頼専用マップの緊張感がすごい

通常のタスクでは、負荷が大きく上がることはほとんどありません。
問題は、依頼専用のマップです。
- 物資を最大5つ持ち込み可能
- 毎ターン1つ消費
- 物資が尽きると飢えで負荷上昇
- チェック失敗で負荷が増えやすい
安全に動けるのは実質5ターンまで。
それ以降は、チェック失敗+飢えで一気に負荷が跳ね上がります。
負荷が高いと毎ターンのようにダイスにダメージが入り、一度に複数個壊れることも。
運要素が非常に強く、何事もなかったかのようにスイスイ進行することもあれば、成功率75%でも失敗する時は失敗するし、ダイス目が悪くて何もできないターンも普通にあります。
自然災害に耐えているような理不尽さと無力感。
某有名TRPGを想起させる、極限状態のヒリつきがあります。

「負荷」を1貯めるかわりに、主人公ごとに設定されているプッシュ(必殺技的な)を発動させることも可能。個人的にはあまり強いとは感じなかったな。左のスキルはダイスに補正をかけるものでこっちはかなり強い。
必死さは増したが報われない
このシステムによって、プレイ中の緊張感は前作以上になりました。
本当に「必死」になれる。
ただ、その必死さが報われないと感じたのも事実。
前作ではここまでペナルティはなくて「いけたらいく」くらいの気持ちでお願いごとを聞いて、感謝されて、「いいよいいよ」くらい。
それが今作では「マジで大怪我するけど、やるか……」で、ヒイヒイ言いながら帰ってきて、感謝されて、「それだけ?」って思っちゃう。
「もっと褒めて」じゃないけど、命を張ってる割に見返りやカタルシスが控えめで、他の人のストーリーの補助としての立ち回りが多いため、主人公自体の存在感も薄め。
身体だけがどんどんボロボロになっていくなーと。

仲間が増える展開は熱いが、掘り下げ不足
逃亡の過程で仲間が増えていく展開自体はめっちゃ好きでした。
ユニークな面々が様々な事情で集まってくる感じは、ワンピース的でワクワクします。
ただ、
- 個別エピソードが少ない
- 共闘感が弱い
- 仲間ダイスの存在感が薄い
といった点から、添え物感が否めませんでした。尺的にもシステム的にも薄味。
総評:良質だが、前作は超えない
相変わらず丁寧で、良質な作品です。
ただ、
- 話の傾向が前作とほぼ同じ
- ゲーム性はハードになったが、苦しさが増えただけ
- 感動より緊張が勝る構成
という印象が強く、
ハードになったけど、内容は繰り返しで新鮮味が少なく、気分的にあまり盛り上がらなかった
というのが正直な感想です。
悪くはないけど、前作は超えなかったな、という結論。
最後に一つだけ。これから遊ぶ人へのメモとして。
依頼前にダイスはリロールされるので、出発前に使い切っておくと吉。


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