2ヶ月99円のオファーが来てたので、前々から興味があったオーディブル(Audible)を試してみました。
結論から言うと、非常に良い体験でしたが、継続は見送りました。
読み上げではなく朗読
Audible(オーディブル)は月額1,500円でオーディオブックが聴き放題のサービスです。以前はコイン制度で1ヶ月=1コイン=1冊というシステムでしたが、今は何冊でも聴き放題になっています。
自分はかつて、電子書籍を自動音声ソフトで読み上げて聴いていたことがあります。まあでもやはり、自然な人間の声による朗読は別格ですね。情報だけが目的でも、感情の乗せ方や間の取り方がうまい朗読の方が理解しやすいです。
特に感動したのが、宮部みゆきの『火車』。本編だけでなく、ベテラン俳優の三浦友和さんのナレーションが素晴らしかったです。この作品はハードボイルドな主人公のモノローグ(独白)が多く、セリフ以外の部分にも主人公の個性が表れています。こうした描写は、ドラマなどではなかなか表現しきれない部分ですが、それを含めて完璧に演じきっていた三浦さんの演技力には驚かされました。
素晴らしい朗読とは?
いや~なんて素晴らしい作品だったんだろうなと聴き終わった後にレビューを見ると、意外にもナレーションに対する不評がそこそこあり、それによると年齢を感じさせるしゃがれた声が聞きづらいとのことでした。たしかに声優の発声に比べると聞きづらさはあったと思いますが、ドラマでは普通レベルの十分聞き取りやすい声であり、むしろそれだからリアルでピッタリだと思ったのですが…。世界の広さというか…ショッキングな評価でしたね。
これは朗読に明瞭性を求めるか雰囲気を求めるかの違いで、どちらが良いとかいう話ではないでしょう。個人的には作品によると思っています。専門書などはフラットに情報を伝える淡々とした語り口の方がいいですし、娯楽小説であれば人間ならではの表現があった方がより楽しめます。その判断基準は個々の感覚によって異なりますから、ゆくゆくは正確性か味かの2パターンから選べるようになればいいですね。
倍速視聴に対する感想
再生速度は0.5倍~3.5倍まで設定できます。
たとえば、1.0倍で12時間の作品を1.2倍で聴けば10時間(-2時間)、1.5倍で8時間(-4時間)、2.0倍で6時間(-6時間)で聴き通すことが可能です。
ただ、自分の能力的に倍速視聴を続けることは難しかったですね…。
聞き取れはします。1.5倍、2.0倍でも。しかし、これが10分やそこらではなく、何時間もの間集中して聴くとなると話は別です。速ければ速いほど「ながら聞き」の難易度が上がり、ちょっとでも聞き逃してしまうとあっという間についていけなくなります。自分の能力と視聴環境だと漏れが多すぎて、こんな読書なら不要だなと。
主に聴いていたのは、散歩中や掃除中など、他のことに気を使わなくてもいい時間帯でした。頭も耳も暇な時間で、絶好のスキマ時間だと最初の頃はウキウキで聴いていたのですが、しっかり聴こうと思うほど負担が増え、徐々に二重作業が辛く感じられるようになっていきました。音楽とは異なり、情報はただ受け取るだけでなく吟味する時間も必要で、それを片手間で行うことは自分のキャパシティをオーバーしていました。かといって、じっくり向き合って聴くなら、普通に本として読んだ方が自分に合っているし、もういいやって。
好きこそものの上手なれ
まあ、こう書くとあまりにも負担負担という感じですが、実際には相当の量を聴き込み(2ヶ月で15冊くらい?)、負担と興味がちょうどよくつり合って、気持ちよく聴ける日もありました。振り返ると、それはシンプルに興味深い本を聴くことができたからこそ楽しめた部分も大きいですね。ただし、そのような当たり本に出会えることはそう頻繁ではありません。
結局、情報を得ることが自体が負担です。それをカバーするのは好奇心や興味です。どんなに優れたサービスでも、自分の内なるモチベーションを引き出すことができなければ、楽しむことは難しいのかもしれません。その好奇心や情熱が今の自分には不足していました。
ただ、この体験を通じて「今の時間はどうだ?」「この時間は?」というスキマ時間を探ることで、自分のライフスタイルを見直すきっかけにはなりました。また、何もしないボーッとしている時間も自分にとっては貴重なリラックスの時間であり、もったいないようだけど必要な時間だったんだなということの再認識もできました。こうした自問の機会を得られただけでも非常に価値ある体験でした。
もし興味があれば、30日(時期によっては2ヶ月も?)の無料トライアルを利用できます。自分のライフスタイルや好奇心、モチベーションについて理解を深めるための良い機会になるかもしれません。
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